生きるチカラを信じて支える ケア・インターナショナル ジャパンは、貧困の根源の解決に向け、災害時の人道支援を行うとともに、「女性や子ども」に焦点をあてた活動を通して、最も困難な状況になる人々の自立を支援しています。
東日本大震災ブログ

ここに「非常」があること [木村雅子のブログ]

[ 2011.12.24 ]

先日、活動がオフの日に、ふと思い立って近いけれども行ったことがなかったエリアに出掛けてみました。私たちはJR宮古駅の近くに事務所を構えて活動していますが、現在の主な活動対象地が山田町、大槌町、釜石市となっていることもあり、秋以降から活動に加わった私は、宮古市の中心部に近いエリアであっても行ったことのない場所が多くあります。この日は、日々通っている活動対象地とは逆の方向にバスに乗って出かけてみました。そして、思い掛けないショックを受けました。

宮古市の駅周辺は他の被災地と比べると比較的早く復興が進んでおり、特にこの2~3カ月は次々と飲食店が再オープンしたり大通りの信号が復帰したりと、毎日、目に見えて街が変わっていっています。しかし、中心部をいつもと違う方向にほんの少し離れると風景が一変しました。
そこには活動対象地とはまた別の、私にとってまた初めて目にする被災地の光景がありました。家屋の基礎部分だったコンクリの残骸が一面に広がり、ところどころに損壊したままの建物がそのまま残る、呆然とするような光景。沿岸部はどこも酷い被害を受けていると知ってはいるものの、日々の拠点から歩いてでも行ける距離で新たにその光景を目にしたことは大きなショックでした。そしてもう一つ、毎日目にしている活動対象地とはまた別の被災地の光景を見て、初めて当地に来た時の衝撃を思い出し、私の目が知らずのうちに活動対象地の光景に慣れてしまっていたことに気づかされました。たった3ヵ月なのに、日々目にしている山田町や大槌町などの風景は私の中ですっかり日常的なものになっていたようです。その、"薄れる""忘れる"という事とはまた異なった、"慣れる"という言葉が一番ぴったりくるような感覚に、私自身、何か危機感のようなものを感じました。
被災地は、地域によってスピードの差はあるものの、日々少しずつでも復興に向かって進んでいます。住居を失った方々も、まだまだ問題が山積しているとはいえ、期限付きではあっても一先ずの落ち着き先が決まり、そこで新しい生活のサイクルが回り始め日々の暮らしが営まれ始めています。しかしそれは決して通常の状態ではありません。差し迫った危機的な状況こそ乗り越えているものの、それは"非常"=常に非ず、常態とは大きく異なる状況の上に成り立っているものです。復興に向けて進む明るいニュースは大きな励みであり、現地も周囲も大いに元気づけてくれるものです。そこに希望を見ながら、一方でここに変わらず"非常"な状況がある事を、変な形で日常化させてしまわないよう常に認識し、また現地に居るものとして発信していかなければならないと、改めて感じました。

震災から9か月、地元の方々は目前の危機を乗り越えるため、無我夢中で走り続けて来られています。しかし前方にはまだまだ長い復興への道のりが続いています。ここまで休みなく、力を振り絞って走って来られた方々だけに、そのパワーが"いつまで続くのか"という疲労感に変わってしまわないか、心配されます。
震災の恐怖も、被災者の方々のこころに強く影響しています。 「ついこの間まで、寝間着を着て寝られなかった。深い眠りに入ってしまうことが怖くて、寝られなかった。もし熟睡している間に津波が来て、自分だけ逃げられなかったらと思うと怖くて。」震災から8カ月近くたった頃に聞いた話に、その根の深さを感じさせられました。
被災者の方からはこのところ一際、「忘れないで」という焦りのような声が聞かれるようになってきました。現地には本格的な厳しい冬がやってきています。まだまだ現地には強い励ましの声が必要です。どうか被災地の事を忘れず、引き続き応援してください。




関連リンク
CAREの活動を支援する
東日本大震災被災者支援事業

本件に関するお問い合わせ先

Tel: 03-5950-1335 広報担当

  • CAREパッケージ
  • CARE支援組織
  • ジェンダーハンドブック
  • フォトギャラリー
  • お名前

    ふりがな(かな)

    登録メールアドレス(半角)

  • accountability2012.jpg