生きるチカラを信じて支える ケア・インターナショナル ジャパンは、貧困の根源の解決に向け、災害時の人道支援を行うとともに、「女性や子ども」に焦点をあてた活動を通して、最も困難な状況になる人々の自立を支援しています。
ニュースリリース

ミャンマー、サイクロン「ナルギス」から1年

[ 2009.5.20 ]

サイクロン「ナルギス」がミャンマーに大打撃を与えてから、1年がたちます。このサイクロンは、7万8000人を超える死者を出し、さらに5万6000人がいまだに行方不明となっています。

この緊急事態に対する世間の注目が薄れてから久しいですが、現地では、拡大しつづけるさまざまな障害にもかかわらず、生活と生計の回復に向けた努力が続けられています。

災害から1年たち、すべてを失った人々はもう一つの打撃を受けています。最近の不作により、多くの人々が生計を失い、食べるにも事欠く状態となっているのです。全人口の85%は、収入、食糧、またはその両方を米の収穫に頼っています。

ミャンマーの事務所を管轄するケア・オーストラリアのCEO、Dr Julia Newton-Howesは、次のように述べています。「1年が過ぎましたが、ミャンマーにおけるサイクロン、ナルギスの影響はいまだに深刻です。昨年12月の収穫の80%が失われたことにより、食料配給を継続しなければなりません。人々は生計を立て直すために大きな支援を求めていますし、基本的な人道支援も依然として必要とされています。この莫大な損失は、以前から最も被害を受けやすい立場にあったイラワジ・デルタ地域の人々が回復する過程において、多大なる影響を及ぼします」。

サイクロン「ナルギス」がミャンマーを襲って以来、CAREは195の村で、30万4265人に生命維持に必要な支援を行ってきましたが、人道支援のニーズはいまだに大きいままです。昨年の収穫の大部分が失われたということは、田植えの再開に必要な種と燃料を買うための資金がないということです。その結果、イラワジ・デルタ地域では食糧不足と栄養失調が深刻化しています。デルタ地域に住む最貧層の人々は通常、農家で働くことで収入を得ていますが、植える作物がないため、現在は収入がありません。

CAREは、農家が次期の収穫のための田植えに必要な経費を支えるため、種、ハンドトラクター、燃料などの多くの支援を行っていますが、国連の緊急アピールから得られた資金が予想よりも少なかったことに加え、現在の世界的な経済危機が援助機関の対応能力に大きな重圧をかけており、いまだに大きな懸念があります。

「サイクロンがミャンマーの人々から生活と生計を奪ってから1年たちます。しかし、悪い状況が重なった最悪の事態により、同国のイラワジ・デルタ地域に住む何百万人もの人々は、また別の緊急事態に遭遇する寸前にあります。今までにも増して、支援が必要とされているのです」とDr Newton-Howesは話しています。

CAREの支援活動

サイクロン発生。そのとき、女性は...

現地からのストーリー
  ~洪水で流されたとき、死ぬのが怖いとは思わなかった。私が怖かったのは、赤ん坊を失うのではないかということ

支援活動
サイクロン「ナルギス」により、13万以上の人々が死亡ないし行方不明となり、さらに240万人が被災しました。低地のデルタ地帯では、町や村全体が完全に破壊され、農産物の収穫も台無しになり、水源は汚染され、住民の暮らしは壊滅的な打撃を受けました。それから1年、CAREは、最も大きな被害を受けた地域の195の村に住む30万4,265人に対して、支援を行ってきました。

CAREの支援計画・体制
CAREは、現在実施中の生活・インフラ・産業の復興支援と同時に、緊急の救援を進めるため、3段階の復興計画を実行に移してきました。サイクロン発生前からミャンマーで活動を行っていた500人のスタッフに加え、CAREは追加で300人のスタッフを雇用し、これらのスタッフはサイクロン「ナルギス」の復興計画の実施をサポートしました。

CAREの支援活動
シェルター(被災者用住宅)
CAREの当初の被災者用住宅建設活動は生存者の緊急なニーズに応えたものでしたが、現在はさらに耐久性のある住宅の建設に注力しています。国連は、現在10万世帯が一時的な被災者用住宅に住んでいると推計しています。

災害対策
将来発生する自然災害からコミュニティを守るための災害対策として、住民の意識向上のための活動、災害予測地図の作成、家庭やコミュニティレベルでの行動計画の策定、そして今後発生する可能性のある津波や洪水からコミュニティが避難できる高台の建設などが行われています。

農業
農民にディーゼル式脱穀機やトラクターを提供しました。また、堆肥づくりや収穫技術の研修とあわせて、肥料や水稲用の種子も提供しました。人口の85%が食糧としてあてにしている米の収穫には次の田植えが決定的に重要であり、CAREは1万世帯の農家を対象に支援を行っています。

家畜
口蹄疫の防疫策として、6万頭の畜牛や水牛にワクチンを投与する予定です。これまでに、イラワジ地区で9,583頭、ヤンゴン管区で22,857頭の畜牛と水牛に第1回目のワクチンを投与しました。また、ヤンゴン管区の8,944頭の畜牛と水牛に ブースターワクチンを投与しました

水・衛生・保健
貯水池の改修、新たな貯水池の建設、貯水池周辺柵の設置、井戸の掘削、衛生管理の促進、水質テストの実施、給水など一連の水・衛生・保健活動を継続して行っています。いくつかの地域では、水に含まれる塩分が、依然として解決すべき大きな問題となっています。飲料水の配布も継続して実施しており、15の村の 2,065世帯に対して毎週83,034リットルの安全な飲料水を提供しています。また、現在までに21の村で135の衛生管理促進活動が実施されました。

心のケア
被災したコミュニティにおいて心のケアのためのさまざまな活動を実施し、心に痛手を負った被災者の精神面での回復を支援しています。

食糧
対象となる村で、通常の食糧配給を継続して実施しています。昨年12月の米の収穫の80%が失われたことにより、当初、今年4月末で終了することになっていた食糧配給は、今年いっぱい継続する予定です。

漁業
漁業分野での生計復興も継続されています。CAREは、50万匹の小エビの稚魚と80万匹のクルマエビの稚魚を水路に放流し、また、200の投網と160のプッシュネットおよび8000のカニの捕獲用わなを18の漁村に住む3,606 人の漁師に配布しました。

所得創出
100人以上の困難な立場に置かれた女性たちが選出され、小商いのための助成金を受けました。彼女たちは、100ドルの助成金と経営管理のための研修を受けて、自らが住むコミュニティのさまざまなニーズに応える小規模なビジネスを立ち上げる予定です。

■サイクロン発生。そのとき、女性は...
昨年の5月、サイクロン「ナルギス」がミャンマーを襲い、13万もの人々が死亡したり行方不明となりました。このサイクロンで亡くなった人の61%が女性でした。女性たちは、サイクロンによる洪水から逃れられるほど強くはなかったのです。亡くなった女性のほとんどは、自分の子どもが洪水で流されないよう守ろうとして命を落としました。

ミャンマー情報部局(Information Management Unit)では、このサイクロンで54,630人の女性が死亡したり行方不明となったと推計しています。生き残った女性たちは、大波に自分の子どもがさらわれて行くのを目前で見たことにより心に傷を負いました。Kungyangonのある女性は、サイクロンが6歳の息子の命を奪ったときのことを次のように語っています。「大波が私から息子をさらって流し去りました。末っ子を肩に乗せていたので、自分にはどうすることもできなかったのです。このときのことは忘れることができません」。女性が子どもを連れて大波に逆らって泳ぐということは大変なことでした。

何人かの女性は、このサイクロンで家庭の大黒柱である夫を亡くしました。家庭に頼りになる男性がいない中、以前の生活を取り戻すには多くの困難がともないます。このサイクロンですべての物ががれきと化しました。夫や子どもを亡くした女性たちは、体力面だけでなく、精神面でも大きな苦しみを抱えています。援助機関から家の再建に必要な救援物資を受け取っても、女性が世帯主となっている家庭では、女性だけの力で家を建て直すことはできず、女性たちはコミュニティの人々に住宅再建の手助けを依頼するしかありません。土地を所有している女性たちでさえ、夫なしで農業をやっていくことを考えると沈んだ気持ちになる、と話しています。

CAREは、社会的に弱い立場の人々が元の生活に戻れるよう支援しています。以前、女性たちはコミュニティ内で二次的な役割しか果たすことができませんでした。家族のために育児や食事の支度のような社会的に割り当てられた仕事だけをすることが女性の義務だと考えられていました。村における意思決定グループに女性の姿はありませんでした。女性は何も知らないし、適切な決断を下すことはできないと見なされていました。コミュニティでは男性の住民たちだけに意見や助言を求めることが好ましいことと考えられていました。

しかしサイクロンの後、CAREや他の援助機関は、コミュニティ内で女性の意見が取り入れられるようにするため、積極的に村の管理委員会メンバーとして参加するよう女性たちに働きかけました。女性たちはCAREが実施した衛生管理研修に参加し、その知識をコミュニティに広めました。彼女たちは、これまで研修などというものに参加したことはなく、コミュニティ内で知識を共有する機会もなかったと話しています。以前よりもコミュニティの人々が女性に対して敬意を払うようになったと女性たちは感じています。今では、女性がコミュニティで一定の役割を果たしている地域もあります。

CAREは女性の社会参加を促しており、CAREが実施するすべての活動において女性が参加できる機会を設けています。女性への支援を強化するため、CAREは所得創出事業や女性の能力向上を意図した技能習得のための事業を実施しています。

■現地からのストーリー
~洪水で流されたとき、死ぬのが怖いとは思わなかった。私が怖かったのは、赤ん坊を失うのではないかということ

2008年5月にミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」は、13万人以上の命を奪いました。これらの人々の61%が女性です。大半の女性は、子どもが流されてしまわないよう助けようとして命を落としました。Ma Win Mawは、なんとか生き残ることができた女性の一人です。彼女はそのとき妊娠9カ月でした。

サイクロンが襲ってきたとき、彼女は4歳の息子を抱きかかえ、今にも飲み込まれそうになっている家から必死に逃げ出しました。「私が家を去ると同時に、家は崩壊しました」。

彼女は近くにある小屋の屋根によじ登り、怖がる息子を衣服で包んで、水が屋根まで上がってこないことをただ願いました。「息子は寒さで震えていました。私たちは屋根の上に座り、水位が下がるまで待ちました」。息子を失うかもしれない、夫やほかの子どもたちが無事かどうかもわからないという恐怖で、彼女は悪夢のようだったと振り返ります。「母親として、私は息子とお腹にいる赤ん坊のことが心配でした」。

1年

幸運にも、Ma Winは息子を守ることができ、無事に7人目の赤ん坊を産みました。しかし、彼女のように生き残った人々は、その後、元の生活を取り戻すために痛ましい道のりを経験してきました。「サイクロンの後、残されたものは何もありませんでした。赤ん坊の人生がまだ始まってさえいないのに、サイクロンがこの子の人生を変えてしまうのではないかと、とても心配でした」。Ma Winはこのように話しています。

今回のような災害の後、特に困難な状況に置かれるのは女性たちです。男性に比べて貯蓄は少なく、教育レベルも低く、頼るべき社会的なネットワークも小さいのです。これらの女性を支えるために、CAREは女性たちの専門的な技術を向上させ、収入を得られるよう支援しています。

サイクロンから1年たった現在、Ma Winのような女性たちは、自らの、そして子どもたちの将来の計画を立てることができるようになりました。CAREの支援を受け、Ma Winは村で商売を始めました。彼女は今、家族を養うだけの十分な収入があり、初めて将来のことを考えることができています。「私は子どもを学校に行かせることができます。私の最大の願いは、子どもたち全員が教育を受けることです。サイクロンは私たちの生活を破壊したけれど、以前よりももっといい将来のために努力することができる。母親として、子どもたちの見本になりたいと思っています。そして、どんな困難があろうと、私が子どもたちを守るということを彼らに知ってほしい」。

ケア・インターナショナル ジャパンでは、サイクロン発生直後から、サイクロン被災者支援のための緊急募金ご協力の呼びかけを行い、個人の皆様、また企業の皆様*より合計15,062,075円のご支援をいただきました。ご支援いただきました皆様に、心より感謝いたします。

*株式会社イースクエア、株式会社イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)、株式会社オクタ、サノフィ・アベンティス株式会社、ソシエテ ジェネラルグループ、ソニー株式会社、株式会社ポーラスターインク、三菱商事株式会社ほか。

関連リンク

ミャンマー「サイクロン被災者への緊急支援事業」

ミャンマー「サイクロン早期回復のための農業支援事業」

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
広報担当
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
e-mail:info@careintjp.org

  • CAREパッケージ
  • CARE支援組織
  • ジェンダーハンドブック
  • フォトギャラリー
  • お名前

    ふりがな(かな)

    登録メールアドレス(半角)

  • accountability2012.jpg