生きるチカラを信じて支える ケア・インターナショナル ジャパンは、貧困の根源の解決に向け、災害時の人道支援を行うとともに、「女性や子ども」に焦点をあてた活動を通して、最も困難な状況になる人々の自立を支援しています。

ベトナム:HIV/AIDSと人権プロジェクト終了報告

期間
2007年6月~2009年11月
地域
ベトナム ハノイ市、ホーチミン市、クアン・ニン県
対象者
HIV陽性者自助グループ、医療従事者、政策策定者
ドナー
郵便貯金・簡易生命保険管理機構(国際ボランティア貯金)、花王株式会社、キヤノン株式会社、日本ユニシス株式会社、一般寄付
事業規模
16,400千円(総事業費約20,400千円)

ケア・インターナショナル ジャパンは、国際ボランティア貯金および民間企業(花王株式会社様およびキヤノン株式会社様)のご支援を受け、HIV陽性者の人権が尊重され、偏見や差別をなくすことを目指し、「HIV/AIDSと人権プロジェクト」を実施しました。2007年6月から2009年10月末まで、ベトナムのハノイ市、ホーチミン市、クワン・ニン県で実施された同事業の対象者はHIV陽性者、医療従事者、地方行政担当・政策策定者など約5,000名でした。

事業の背景

ベトナムはHIV感染者数の増加が著しい国の一つとされています。注射器の使い回しによる薬物使用者、性産業従事者、その顧客などの間での感染率が高い傾向があります。経済や観光開発が進むハノイ市、ホーチミン市、クワン・ニン省は、薬物の流通や性産業が多くあることに起因し、ベトナムの中でもHIV感染が特に深刻な地域となっています。

さらに、近年はHIV感染リスクの高いグループのみではなく、HIV陽性の夫から妻、そして母から子どもへというように、家族内のHIV感染の増加も確認されています。

また、ベトナムでは、HIV陽性者に対する偏見や差別が強く、そういった社会の否定的な態度により、HIV陽性者や家族が適切な医療や社会サービスを受けられないという状況もあります。例えば、HIV陽性者が病院で治療を希望しても受診を拒否される、他の患者とは異なる入院服を着用させられ、HIV陽性者であるということが一目で分かるようにさせられる、不当に高い治療費を請求される、など差別を受けます。教育現場では、HIV陽性の親をもつ子ども、HIV陽性の子どもの就学が拒否されるという事例が多くあります。職場では、HIV陽性者という理由で解雇される人が多くいます。その他、地域社会での差別も深刻です。HIV陽性者がいる家族には挨拶をしない、近寄らない、隣に座らないということが頻繁に起きています。

事業の目的・内容

このような偏見や差別をなくし、HIV陽性者が良質の医療サービスを受け、仕事を継続し、HIV/エイズの影響を受けた児童が就学できることを目指し、「HIV/AIDSと人権プロジェクト」が開始されました。当事業では、第一に、HIV陽性者自助グループの能力向上研修を実施し、HIV陽性者自身が、自分たちの医療、教育、就業などの基本的な権利を擁護するためのアドボカシー活動を企画・実施できるように支援しました。第二に、医療関係者のHIV/エイズに関する知識を向上し、ベトナム政府が制定したHIV/エイズ法について指導し、彼らがHIV陽性者の人権について理解を深め良質なサービスを提供できるよう研修等を行いました。その他、医療・教育・労働問題に関わる地方行政担当者を養成する政策学校においても、HIV/エイズとHIV陽性者の権利について指導し、地方行政におけるHIV陽性者への差別をなくすことを目指しました。

活動の成果

1)HIV陽性者自助グループメンバー460名が研修に参加し、その後主体的に権利擁護活動ができるようになりました。自助グループはHIV感染予防やHIV陽性者の権利を促進するためのイベントを27回開催し、10,210名の参加者を得ました。さらに、アジア太平洋地域のHIV陽性者自助グループとの連携のため、「アジア太平洋地域HIV陽性者ネットワーク」にも参画しました。

2)医療関係者240名が研修に参画し、HIVの感染経路に関する理解を深め、院内感染を防ぐための普遍的予防策についての知識を得ました。HIV陽性者の権利についても認識が高まり、HIV陽性者へ良質なサービスを提供できるようになりました。なお、ハノイ市の3つの病院では、HIV情報コーナーを設置し、HIV陽性者へのカウンセリングや情報提供を行いました。

2)医療関係者240名が研修に参画し、HIVの感染経路に関する理解を深め、院内感染を防ぐための普遍的予防策についての知識を得ました。HIV陽性者の権利についても認識が高まり、HIV陽性者へ良質なサービスを提供できるようになりました。なお、ハノイ市の3つの病院では、HIV情報コーナーを設置し、HIV陽性者へのカウンセリングや情報提供を行いました。

3)地方行政官・政策策定者259名が研修に参画し、HIV陽性者の権利について知識を得ました。さらに、HIV陽性者、地方行政官、政策策定者の対話ワークショップも開催し、HIV陽性者の社会的ニーズについての認識を深めました。

また、HIV予防とHIV陽性者への差別をなくすことを目的としたポスターを作成し、医療機関や行政機関へ配布しました。さらに、医療関係者や行政官を対象としたHIV/エイズと陽性者の人権尊重に関するブックレットも作成し配布しました。

事業実施後の変化

以上のような活動の結果、多くの改善がから報告されました。例えば、HIV陽性者からは、「差別無く病院で治療を受けられるようになり、医師や看護師の言葉遣いや態度が友好的になった」との報告があります。HIV陽性者の家族によると、「これまで近所の人々から無視されていたが、当事業によるアドボカシーイベントの実施後は、近所から無視されることがなくなり、近所の人から積極的に話しかけられるようになった」とのことです。なお、政策策定者は、「これまではHIV陽性者は悪いことをする人がなると思っていたが、HIV感染経路をよく知り、HIV陽性者の権利も国家法で保障されていることを理解したら、今まで偏見を持っていたのが間違いだったと気づいた」と述べています。

事業終了後の課題

この事業は、2009年10月末をもって終了しましたが、今後もHIV陽性者によるアドボカシー活動は継続される予定です。HIV陽性者自助グループは、自分たちで活動資金を調達し、学校や公共施設でのアドボカシーイベントを開催することを計画しています。病院におけるHIV情報センターも継続し、今後もHIV陽性者のカウセリングや情報提供を行う予定です。政策学校における、地方行政官へのHIV/エイズと人権に関する講義も継続して実施されることが期待されています。なお、当事業で得た教訓を活かして、HIV陽性者グループおよび保健医療従事者の能力育成、そしてHIV/エイズの影響を受けた子ども達の支援にフォーカスをおいた新規事業も実施できるように計画しています。

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