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ケア ジャパン ニュースレター
**読むだけで国際協力** 2003年9月1日
< http://www.carejapan.org >
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今回は、アフリカ特集最終回になります。アフリカのHIV/AIDS、9月に東京で
開催されるTICAD(アフリカ開発会議)について紹介し、まとめとして、アフ
リカのような遠い地域についてどう考えていくのか、ある童話を題材に考えて
いきます。
【コンテンツ】
★ アフリカのHIV/AIDS問題と取組みについて
★ 国際社会とアフリカ・TICADプロセス
★ 遠いところを思うとき
【アフリカのHIV/AIDS問題と取組みについて】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
世界のHIV/AIDS感染者は4000万人に上り、そのうち70%の2900万人がア
フリカに集中しています(2001年UNAIDS/WHO調べ)。また、毎日世界で新たに
6000人(1分間に4人)がHIVに感染しており、そのうち約半数が15歳から
24歳の若者で、特に若い女性が最もその影響を受けています。サハラ以南のア
フリカで新たにHIVに感染した15歳〜19歳のうち、3分の2が女性です(2003
年ユニセフ発表)。これは感染した男性が買春などで複数の女性とセックスする
ことによって起こっているからだと考えられます。女性がHIV感染すると、妊
娠した際に母子感染してしまう可能性が非常に高くなります。
HIV/AIDSは、人の生命を脅かすだけでなく、労働力の減少や孤児の増加とい
った悪影響を社会や経済全般に及ぼします。
成人の26%がHIV/AIDSに感染しているジンバブエでは、農村の3つのコミュ
ニティーで政府が調査した結果、11514人の孤児のうち11000人以上が親族の
世話を受けていることがわかりました。孤児をひきとった親族の大部分は50
歳以上の貧しい未亡人でした。AIDS孤児の発生は家庭にとって精神的、経済的
な負担になってしまいます。またコートジボワールでは家族の1人がHIV/AIDS
にかかると、世帯所得が平均して52〜67%減少し、医療費が4倍に増えていま
す。世帯所得が半減し、患者の医療費が急増すると食料にかけることのできる
お金が減ってしまい、子どもは栄養不良になります。また、親がAIDSで死んだ
り死の床にあったりすると、子どもの世話ができなくなってしまいます。ザン
ビアでの調査によると、国全体の初等教育就学率は約85%であるにも関わらず、
孤児については、都市では32%、農村地では68%が就学していませんでした。
孤児たちは学校に行けず、労働などの年齢以上の責任を負わされてしまいます。
このように子どもたちの健康に育つ権利や教育を受ける権利が奪われてしまう
のです。
では、このような現状に対してどのような取り組みが行われているのでしょ
うか。
アフリカにおいてHIV/AIDS問題に対し、政府がリーダーシップを発揮し積極
的な対策をとり、成果を上げている国もあります。たとえばウガンダ政府は、
大規模な公衆教育キャンペーンを開始し、それを通じてHIVの感染経路を人々
に教え、コンドームの使用を促進し、セーフ・セックスの必要性を説きました。
ヨウェリ・ムセベニ大統領自身もリーダーシップを発揮し、この1980年代か
ら1990年代初頭にかけての取り組みによってウガンダにおける成人の
HIV/AIDSの感染率は1990年代初頭の30%から10%に減少し、東部アフリカで
は最も感染率が低い国の1つになりました。
日本は地球規模問題イニシアティブ(GII)の枠組みの中で総額50億ドルの取
り組みを進めています。また2000年7月の九州・沖縄サミットの際には「沖
縄感染症対策イニシアティブ」を発表し、5年間で総額30億ドルの協力を行
うことにしました。TICADプロセスにおいても、予防啓発活動支援、人材育
成支援、検査体制強化など多岐にわたる支援を展開しています。
【国際社会とアフリカ・TICADプロセス】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
これまでアフリカの抱えている問題を取り上げてきましたが、これらの問題
が解決へ向かうためにはアフリカ各国の自助努力に加え、国際社会の支援が
必要です。貧困、紛争、HIV/AIDSといった問題の解決なしに21世紀の世界
の平和や安定は訪れません。
国際社会のアフリカ開発への関心を呼び起こすため、きっかけをつくったの
は日本でした。1993年、日本政府はその当時欧米先進諸国から放置された状
態にあったアフリカの声に答えて、アフリカ諸国の多くの首脳を東京へ招き、
第一回アフリカ開発会議(TICAD I)を開催しました。その背景としては、
アメリカでは冷戦が終結したことでアフリカへの地域・戦略的関心が薄れ、
ヨーロッパでは長年にわたる援助にもかかわらず成果がみられないため援助
疲れが起こり、また自国の経済も停滞していたことなどがありました。
TICADの最優先課題はアフリカ諸国のリーダーと開発パートナーとの間のハ
イレベルな政治的対話を促進し、アフリカ開発に対するアフリカ内外の努力と
支援を結集することです。第一回目の会議では、アフリカ諸国の自主性(オー
ナーシップ)と、開発パートナーとの連携を強化することが確認されました。
そして「アフリカ開発に関する東京宣言」が採択されました。アフリカ諸国は
それまでの欧米指導型の経済援助ではなく、東アジアや南東アジアにおける開
発の成功例に強い関心を示し、アジア・アフリカ間の協力の重要性が強調され
ました。
1998年には、第二回アフリカ開発会議(TICAD II)が開催され、「東京行動計
画」が採択されました。この会議では、
◎社会開発(教育、保健・医療、女性の参画など)、
◎経済開発(農業、工業、民間セクター支援、対外債務問題など)、
◎開発の基盤(「良い統治」、紛争予防と紛争後の開発)、
といった優先分野が決定されました。また、南南協力とくにアジア・アフリカ
間の協力の発展も重点におかれました。アジア型の開発モデルをアフリカ開発
に役立てたいという意図をもっていた日本政府は、アジアとアフリカの交流を
深めるため積極的に仲介役を果たしたいとの考えを述べました。
TICAD Iの開催以来、以下のようなフォローアップ活動が行われてきました。
☆アフリカにて;1995年にジンバブエ、1996年にコートジボワールにおいて
地域準備ワークショップを開催して、東京宣言の実施について検討
☆アジア地域にて;1994年にインドネシアで「第一回アジア・アフリカフォー
ラム」を開催。ASEANの経験をアフリカで生かせる地域を特定。1997年にタ
イで「第二回アジア・アフリカフォーラム」を開催、TICAD IIへの提言の取り
まとめ
☆アフリカのための新陸稲種の開発
☆TICAD国連ボランティア・プログラムで、アジアの専門家をアフリカ諸国へ
ボランティアとして派遣し、技術および知識の移転を促進
国際社会の中でアフリカの開発問題が注目される中、2003年の9月末から第
三回アフリカ開発会議(TICAD III)が開催されます。日本とアフリカ諸国のみ
ならず、主要ドナー国、アジア諸国、国際機関、民間企業やNGOなどが参加し
ます。過去10年間の TICADプロセスを評価し、平和の定着、農業開発、
HIV/AIDS並びに感染症、アフリカ内での相互協力といった分野に焦点をあて
て議論される予定です。
これまで3回に渡って、食文化や世界遺産にふれつつ、砂漠化、人口と食糧、
難民支援、紛争、母子保健、HIV/AIDSなどアフリカの抱える様々な課題につ
いて考えてきました。TICADでは国際社会が課題に向き合ってきていますが、
それでも遠い場所での話という印象はぬぐいきれず、自分たちとどう関係が
あるのか、と思ってしまうかもしれません。そういうときにどう考えていく
のか、最後に少し考えてみたいと思います。
【遠いところを思うとき】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ある街に三人の星占師がいて、いつも人々の相談にのっていました。ある年、
三人は星がいつもより暗いことに気付き、不吉な予感にとらわれます。実際、
不幸だと言って相談に来る人もいつもより多かったのです。しかし、大きな災
害は起こっていません。三人は、三百年前にも同じことがあったのをおぼえて
いました。三百年前にも相談は多かったにも関わらず、何も起こらなかったの
です。そのときのことをもう一度調べてみても、何の記録も残っていません。
三人は思いつきます。ほかの街のことも調べてみよう、と。すると、三百年前、
砂漠のむこうの街で大飢饉があったことがわかりました。砂漠を探すと、近く
で三百年前の骨がたくさん発掘されました。当時、助けを求めてこの街に向か
っていた人たちが、そこで息絶えていったのでした。三人は気づきました。
「それが、三百年前の私たちの不幸だったのさ。私たちは、何も知らぬままに、
それらの人々を見殺しにしていたんだよ。そして、その罪の意識に、毎日苦し
められていたんだ。」三人の指示で、砂漠に向かって救援隊が進むと、難民の
グループに出会いました。水もつきて死にそうになっていた難民の人たちは喜
びます。隊長は言います。「三人の星占師は、私たちの街の幸福が、周囲の全
ての街と切り離したところではあり得ないということを教えてくれたのです。」
(「星見のやぐらの立つ街」別役実 童話集『星の街のものがたり』より)
グローバリゼーションが進み世界とのつながりが強くなると言われる中、ア
フリカは、依然として日本から遠い地域です。地理的に遠いから、というこ
とはもちろんあります。でもそれだけでしょうか。学校で学ぶ社会科の教科
書の中でもアフリカの割合は低く、観光地としてもなじみがうすく、マスコミ
から入ってくる情報量も限られるため、なかなか想像がつきません。政治経済
的にもアフリカは世界の中で注目を集めることはあまりありません。アフリカ
全体のGDPが世界の1.7%(世界銀行、2002年)と低くなっているため、必
然的に他の国や地域との経済的なつながりは小さくなってしまいます。他の地
域、たとえば中東などは、戦争が起これば原油が高騰して世界経済に打撃を与
えるという理由で国際社会は真剣に対応しようとするし、インドとパキスタン
のように核兵器を持っているところでは、地域紛争でも世界的な安全保障に影
響を与えるということで注目されます。一方アフリカでは、あくまでも国の中
で、小型兵器を使った部族間の争いが続きます。外の国、私たちの暮らす日本
への直接的な影響は確かに低く、日本とは無関係、という感覚を持ってしまう
のも無理はないでしょう。
関係ないから、ほうっておきますか?
私自身、「かわいそうだから、助けてあげるべき」と人に良心を押しつけるの
も、押しつけられるのも嫌いです。それでも、知りたくないから外の世界に心
を閉ざしてしまう、というのは心のどこかが痛みます。それが、上の物語でい
うと「何も知らぬままに、それらの人々を見殺しにしていたんだよ。そして、
その罪の意識に、毎日苦しめられていたんだ。」ということなのだと思います。
「ノーブレスオブリージュ」(高貴な義務、先進国は途上国に対して援助する
義務があるということ)ということばがありますが、そんな難しいことではな
く、心を開いてみれば、見えてくるもの、感じられることがあるのではないか
と思います。
毎日忙しく生活していると、だんだんと、外の世界が見えにくくなっていき
ます。ひとつの方向に集中していると、まわりの声が聞こえにくくなります。
自分と他者を完全にわけてしまうと、自分を閉じ込めてしまって息苦しくなる
ように私は感じます。
日本からもっとも遠い地域のひとつであるアフリカに思いをはせることも、
自分の心に少し風を通してみるひとつの方法ではないでしょうか。
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【編集後記】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
この3回シリーズで皆さんがアフリカを知るお手伝いができたのなら
嬉しいです。(ソノ)
古代アフリカに興味を持ちました。(さちこ)
タイに飛んでったトリサワくん、生きてる?今回は代打ですよぅ。(まい)
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