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2004年 10月号(「子ども」特集 〜「子ども」の定義〜)



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               ケア・ジャパン ニュースレター

        **読むだけで国際協力**  2004年10月1日
          < http://www.carejapan.org >

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今月から3号にわたって、子ども特集をお送りします。子どもに関しては、先
進国、途上国それぞれにおいて様々な問題があります。第1回目の今月号では、
「子ども」の定義について法律・条約、そして文化・慣習・儀式から見ていき
ます。また、西洋において、子どもは社会の中でどのようにとらえられてきた
のかも紹介します。

 【コンテンツ】
★法律・条約から見る子ども
★文化から見る子ども
★子どもの歴史

【法律・条約から見る子ども】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「子ども」という言葉と概念について考えたとき、一般的には「大人(成人)」
に対する概念として「子ども」をとらえます。この場合、生まれてから成人
するまでの胎児、乳幼児、児童、少年少女などを総称しています。
 ところで、日本では、「子ども」という言葉を実際に法律上で用いることは
なく、成年に達しない者の名称としては主に小学生を指す「児童」や「生徒」、
「少年」が使われています。しかし、法律上のこれらの名称の定義も一定では
ありません。

★日本では★
 1947年に制定された「学校教育法」では、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、
高等専門学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校の9種類の学校教育について基
本的事項を定めています。学校教育法では満6歳〜12歳を「学齢児童」と呼び、
満12〜15歳を「学齢生徒」と呼びます。
 1947年に公布された「児童福祉法」は、児童一般の健全な育成を図ろうとする、
全児童に対する統合的な法律です。児童福祉法では、「児童」とは18歳未満の者
をいい、さらに満1歳未満を「乳児」、満1歳から小学校就学までを「幼児」、小
学校就学から満18歳までを「少年」として区分しています。
 労働条件などが決められている「労働基準法」では、成人に達しない未成年者
の労働のことを年少労働といい、15歳未満の者を「児童」と定めて、児童労働を
禁止しています。

★国際社会では★
 国際社会における代表的な子どもに関する条約として、「子どもの権利条約」
があります。この条約は1989年第44回国連総会で採択され、90年9月2日に国際条
約として発効されました。日本は94年4月批准、5月22日に発効されました。「子
どもの権利条約」では、18歳未満のすべての者を「子ども」と定義した上で、権
利を享受し行使する主体として積極的な子ども観を提起しています。
 また、2002年5月にニューヨークの国連本部では「国連子ども特別総会」が開
かれ、世界の約21億人の子どもたちに対し、各国が2010〜2015年までに取るべき
総合的指針となる最終文書「子どもにふさわしい世界」が採択されました。国連
では18歳未満を「子ども」と定義していますが、この総会では‘Children’とと
もに、およそ12歳〜18歳までの思春期の子どもを指す‘Adolescents’という言
葉もよく使われました。


【文化から見る子ども】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 年齢によって子どもと大人の境界線を決めることもありますが、ある1つの儀
礼を通過することによって、大人になるということもあります。
 一人前の人間になるために、子どもは成熟儀礼を経験します。成熟儀礼は、
子どもをそれぞれの地域文化の中で大人と捉えるための儀式であると同時に、
少年をより男性らしく、少女をより女性らしくすることを通じ、子どもを大人
にする儀礼でもあります。

 オーストラリアのアボリジニのある村での男子の成熟儀礼を紹介しましょう。
この成熟儀礼は集団で行われ、神、祖霊、もしくは怪物の声であるといわれる
ブルーローラー(薄くて細長い木片を紐に結びつけたもので、空中でグルグル
まわすと、うなるような音を発する)の音の響きの中で、少年たちが母親から
引き離される儀礼で始まります。少年たちは、神もしくは怪物といった超人間
的な存在によって、それまでの女・子どもたちの世界から連れ去られることにな
ります。残された女たち、そして、成熟儀礼を受ける前の子どもたちは、少年
たちがこれらの神や怪物によって殺され、再び生き返るのだと知らされます。

 ブルーローラーの音に化身した神や祖霊たちによって特別な場所に連れ去ら
れた少年たちは、数カ月から数年にも及ぶ隔離期間中、自分たちの社会のしき
たり、儀礼の手順、神話や神についてなど、大人の男として知らなければなら
ない様々なことがらについて、大人の男たちから長期にわたる教育を施されま
す。さらに地面に寝かされ、毛布、敷きもの、木の葉や枝などでおおわれたり、
目かくしをされたり、暗闇のなかでブルーローラーのうなり音を聞かされたり、
突然目かくしをはずされて、仮面をつけ仮装した大人たちや木彫りの像を見せ
られたりすることによって、少年たちは超人間的な存在との接触を感じ、それ
に恐怖します。また、一人前の男になるための修行には、睡眠や食事の禁止、
折歯、割礼といった肉体的な苦痛に耐えるという要素が含まれる場合もありま
す。少年たちには、それらが神または怪物の仕業であることが告げられ、徐々
に超人間的な存在そのものについての秘儀をも伝えられます。

 年長の男たちは、「だれか女が、われわれが子どもたちにすることを見たり
聞いたりしたら、その女を殺す」と言い、隔離期間中の出来事およびその間に
伝授されることがらは、母、姉妹、その他の成熟儀礼を受けた者でない者には
絶対の秘密とされます。この儀礼ののち、少年たちは、再びもとの社会に今度
は一人前の男として受け入れられることになります。

 イスラム教圏、ユダヤ教圏、アフリカ、オーストラリア等に広く分布してい
る成熟儀礼として割礼があります。男女とも、物事が理解できるようになる5〜
10歳になると、集団で割礼を受けます。割礼を受けた後は、男子も女子も別の
世界に分かれて住むようになります。割礼を受けるまでは男女の区別なく育て
られます。割礼という儀礼を通過して、子どもは男性もしくは女性という大人
になるのです。

 儀礼を通過して大人になるということの例には、日本でも成人式があります。
儀礼という経験が子どもを大人にしてくれるのです。


【子どもの歴史】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 歴史において、子どもは「子ども」として、つまり、大人とは違う生態能力
を持った独自の存在、というような自然科学的な視点では認められてきません
でした。「大人」と「子ども」の区別が明確化され、子どもが「子ども」だ、
あるいは、人間として生きるべく教育を享受し、大人に守られなければならぬ
存在だ、という発見は人類史において多大なる時と犠牲を経て獲得されたもの
なのです。

★ヨーロッパ近代史以前の「子ども」★
 一般的には近代以前のヨーロッパ社会では、子どもは大人の社会に混じるこ
とを求められ、一部の騎士階級の子弟を除いてほとんどの子どもは教育を受け
ることができなかったといいます。ギリシア・ローマ時代には、子どもの段階
的教育が施されていました。しかし、生まれてきた子どもは親によって子ども
と認められず遺棄されたり、拾われた子どもが奴隷にされるなど、子どもの人
権や特性を考えたものと捉えるのは少し無理があるようです。ギリシア時代と
ローマ時代にも違いは多くありますし、一概には言えませんが、基本的には近
代以前では大半の子どもの生活基盤となったのは丁稚奉公で、子どものすべて
の権利が一任されていたのは親方でした。16世紀にイギリスで定められた「エ
リザベス救貧法」では、救貧法で養育された孤児が丁稚奉公に出るのは当然と
みなされており、子どもが馬車に詰まれて工場に分配される光景も当たり前の
ものでした。

★子どもの発見★
 ついに、長いときを経て「子ども」を発見したのが18世紀後半でした。かの
有名な思想家ジャン・ジャック・ルソーはその著書『エミール』にて、大人は
子どもに大人となることを求めるだけで、「子ども」であることがどういうこ
とかを考えない、といったことを主張しました。「子ども」の成長には段階が
あり、子ども独自の権利が必要である、と指摘したのです。いわば、権利の主
体としての体系的な「子ども」の概念を考案したのです。フランスでは1789年
の革命における啓蒙活動の流れを受け、無償の公教育制度を保障し始めました。
しかし、フランスで義務教育制度ができたのは1882年であり、現実レベルでフ
ランスの子どもの権利が確立されたのは更に後のことです。ルソーの発見は100
年以上もの時を経なければ、認識され実践されることがなかったのです。

★子どもを守り始めた母親たち★
 アメリカでは独立後もイギリスのコモン・ローを土台とした法律体系をもっ
ていたので、子どもの主体性を無視した、人身売買・労働・虐待・遺棄など非
常に数多くの問題が存在しました。1776年の時点で、5分の1のアメリカ人の
子どもは奴隷だったといいます。当時は経済の合理性に基づいて、子どもは父
親の所有物として考えられていました。

 伝統的な子ども観を揺るがし始めたのは母親たちでした。19世紀になると、
フェミニズムが芽生え、女性の所有権が認められると同時に、子どもは母親
の所有物として認められたほうがいい、という見方が新興中産階級に広がり
始めました。現実的にはこの時代は、産業革命の下、単純労働の需要もあり、
子どもの環境が著しく悪化した時期とも言われています。多くの子どもは学校
に通わずに働かざるを得ませんでした。それに付随し、職場で起こる危険な事
故、人体の限界を超える過酷な労働がもたらした病気、道徳の退廃による年少
者の不順異性行為や売春、子どもの虐待などの問題が頻発しました。

 世紀の変わり目頃に、フェミニズム第二世代が口火を切り、子どもについて
舌鋒鋭く論じられ始めました。フェミニズムが求めた権利の一つが、父親の独
占性を排除した法的に平等な親権でした。そして、前世紀において積み上げら
れた母親と子どもの歴史が互いの理解を促し、ようやく子どもの福祉システム
の法制化へと社会を動かし始めたのです。また、労働市場がより高度化したこ
ともあり、子どもの就学は国際競争力低下という強迫観念も払拭され始めまし
た。子どもを「子ども」としてアメリカの法律が認め始めたのは1910年代後半
のことでした。ILO(国際労働機関)が1919年に設立され、世界的に14歳未満の
就労を禁止する条約が批准されるという予見や確証を持っていたのかもしれま
せん。いずれにせよ、この頃を境に、欧米の先進諸国から、「子ども」には保
護される権利がある、という考え方が世界に発信され始めたのです。

★「子ども」の歴史が語るもの★
 こうして先進国の過去を例に取ってみると、「子ども」を巡る問題は、倫理
観の発達だけで解決できる簡単な問題ではないことがわかります。最終的に
「子ども」を守るという方向性を導いたのはそういった倫理観に加えて、法の
整備、そして、経済という複合的な要素が絡み合った国家とその国民の成長で
した。
 現在、国々によって多様な原因により多様な形態で「子ども」の問題が存在
するわけですが、解決のためには過去にあったように問題を複合的に乗り越え
なくてはならないものなのです。


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【編集後記】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「子供」じゃなくて「子ども」ですよ☆(さちこ)
新参者で、わからないこともいろいろあると思いますが、今後ともよろしくお
願いいたします。(み)
いい成人式になるといいなぁ☆(めぐ)
国際協力フェスティバルへ行こう!!(トリ)

∞∞★∞∞★国際協力フェスティバルのお知らせ★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★
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