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ケア・ジャパン ニュースレター
**読むだけで国際協力** 2004年11月1日
< http://www.carejapan.org >
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10月号〜12月号は「子ども」特集です。前回は「子どもの定義」について取り
上げました。今月号では、前半で子どもの成長に影響を与える「重要な他者」
について考えます。また後半は、メールマガジン作成チームのメンバーの1人
が今年の夏にタイを訪問したときのボランティア体験記です。
【コンテンツ】
★ 子どもの成長と「重要な他者」
★ 子どもの成長と教育〜タイでのボランティア体験から
【子どもの成長と「重要な他者」】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
子どもが成長する上で、その人格の形成に大きく影響するのが、身近にいる
親や兄弟、親しい友達などです。これらの他者は、その影響の大きさから「重
要な他者」と呼ばれることがあります。「重要な他者」の中でも、子育てに長
時間携わる親の影響は特に大きいと考えることができます。
人には本来、他者、とりわけ「重要な他者」から肯定的に評価されたいとい
う欲求があると言われています。一般的に、子どもは「重要な他者」から肯定
的な評価が得られるように、他者の期待に沿うように行動しようとします。こ
の過程で重要なのは、他者が自らの成長に関心を持ち、さらなる成長を期待し
ていると子どもが実感することです。こうした他者からの関心と期待は、子ど
もが自らを価値のある存在として認識することにつながるため、子どもが健全
に成長する前提として極めて重要です。親を始めとした「重要な他者」の期待
に応えようとすることで、子どもはやる気や活力を一層充実させることができ
るのです。
もちろん、こうした親や他者からの期待は、子どもにとって負担になること
もしばしばあります。親からの期待は、時に子ども自身の幸福を望むためとい
うよりも、むしろ親が幸福になるための手段として子どもに向けられることが
あります。また、子どもの振る舞いと、周りから期待されている振る舞いに隔
たりがあることも多くあります。自分の振る舞いと、期待されている振る舞い
の間に隔たりがあると、無理をして自分の行動を制御し、他者の期待に沿うよ
うに行動を合わせようとするか、他者に反発して自分の希望通りの行動をとろ
うとします。どちらの場合でも、子どもにとってはストレスになるので、他者
の側で子どもの意思や能力を十分尊重し、子どもに過度なストレスがかからな
いように注意することが重要と言えます。
★大人になった後の「重要な他者」の影響★
社会との接点となるコミュニケーション能力は、幼児期に周りの他者との間で
十分な意思疎通を行うことにより育まれます。子どもの頃に「重要な他者」と
の間で行われたコミュニケーションは、その後の社会生活において、新しく出
会う他者に対して一般化されて適用されます。つまり、新しい他者に期待する
反応や新しい他者に対する行動様式は、「重要な他者」との間で経験してきた
コミュニケーションのパターンに大きく影響を受けながら決定されることにな
ります。コミュニケーション能力は充実した社会生活を送る上で多大な影響を
持つため、幼児期における「重要な他者」との十分な意思疎通は極めて大切と
言えます。
また、自分を理解してくれる「重要な他者」の存在自体は、大人になった後
にも重要であり続けます。社会では、歳をとるにつれて自分の思い通りにいか
ないといった状況に多く直面するようになります。こうした困難な出来事が生
じたときに「重要な他者」に相談できることで、本人のストレスが緩和され、
うつ病などにより社会生活に支障がでる状況に陥りにくくなるとされています。
★多様性を評価する社会★
子どもの頃に尊敬に値するような「重要な他者」が周りにいるかどうかは、言
うまでもなく子どもが自ら選択できることではありません。親から十分な関心と
愛情が得られない場合や、親の育児や教育の方針が偏っている場合、さらには死
別などの理由により親がいない場合などもあります。また、子どもが生まれなが
ら持っている能力はさまざまで、子どもに与えられる環境もさまざまです。そう
した事情にもかかわらず、社会の側で一定の尺度でのみ子どもの能力や価値を評価
するとすれば、他者から肯定的な評価が得られる子どもはほんの一握りだけにな
ってしまいます。一人でも多くの子どもが自分を価値のある存在と感じ、将来的
に社会の活力となっていけるようにするには、子どもを育む社会の側が多様化し、
子どものさまざまな側面を肯定的に評価していくことが求められると言えます。
【子どもの成長と教育〜タイでのボランティア体験から】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
この夏、私はタイ西部にあるタイのNGOにより運営されている施設に1ヶ月滞在し、
ボランティアとして運営のお手伝いをしてきました。ここでは、タイ国内のエイズ
孤児、虐待や家庭崩壊などの理由で親と暮らすことが困難な子ども、ストリートチ
ルドレン、経済的に教育を受けるのが困難な子どもなど約140人とスタッフ約20人が
共同生活をしており、幼稚園とタイ国教育省から認可を受けた小学校が併設されて
います。木々に囲まれた広大な敷地内には、いくつかのハウスが点在していて、各
ハウスには数人のスタッフの下、子どもたちが十数人ずつ分かれて住み、みんなで
畑の野菜を育てたり、敷地内の大掃除をしたりと協力して暮らしています。
★Alternative Educationによる教育★
ここでは“Alternative Education”という教育思想が実践されています。これは、
教師により支配された競争主義的で丸暗記型の教育に異論を唱え、家庭における
複雑な背景を持った子どもたちの精神的自立と創造力の育成を重視した教育です。
まず精神的自立を達成するためにここでは、これまで抑圧された環境にいた子ど
もたちに自由と自分の権利を主張することが教えられます。例えば、週に1度開
かれる集会は、子どもにより進行されるなど子どもが主体となって行われ、スタ
ッフはあくまで調整役として参加します。集会は、「犬が台所に入ってきて、
衛生上、困る!」「ゴミの分別を始めたほうがいいのではないか」などといった
生活全般に関わる問題が話し合われる場であるほか、「お菓子がとられた!」
「あの子が叩いた!」など自分の権利が侵されたと思ったときには何でも訴える
場でもあります。また、食事や洗濯などの当番はごく自然に子どもたちによって
なされています。
Alternative Educationの実践に必要なもう1つの要素である創造力の育成として
は、授業の他に織物・裁縫・工作といったワークショップ、それに、この施設を囲ん
でいる川や森など自然の中で思い切り遊ばせることなどに力を入れている点がその教
育思想の現れです。教育としてはやや不十分さを感じましたが、愛情を受けずに育っ
てきた子どもたちにまず必要なのは、教育以前に彼らの閉ざされた心を開くこと、
そのためにはこのような精神的な面を重視した教育が必要であるという考えには合点
がいきます。子どもの置かれている状況や彼らの持つ背景をきちんと理解した上で、
彼らに合った教育支援をすることが大切なのです。
★子どもの成長と家族としての教育★
子どもは、マナー、人との接し方、生き方など多くの大切なものを大人から学び
ます。親は子どもにとってもっとも身近な大人ですが、ここにいる子どもたちの
半数は、長期休暇中でさえ帰る家庭がありません。ですから、ここは彼らにとっ
ての「家庭」でなくてはなりません。そしてスタッフは、「親」として「兄姉」と
して彼らの手本となり、よき理解者となり、彼らのやる気を鼓舞するといった家
族の役割を果たす必要があります。
子どもたちは概してとても明るく、皆、仲が良かったのですが、すべての子ども
がこの環境に適応できていたわけではありませんでした。特に、新しくこの施設
に入ってきたばかりの子どもがすでに出来上がっている子どもたちの輪の中に飛
び込んでいくのは大変なもの。実際に、1人の少女は皆となかなか打ち解けられ
ず、いつも私のそばにいました。私だけでなくできるだけ他の子どもたちと接触
をもたせるよう、私も含め皆で一緒に遊ぶなど工夫はしましたが、少女は結局い
つも1人ぼっちで、この状況は1ヶ月間あまり改善されませんでした。この施設
の子どもたちには、今まで過ごしてきた家庭環境の影響からか、思いやりに欠け
た言葉を発したり、些細なことで暴力的な手段に訴えてしまう子も多く、泣き虫
だったこの少女は泣き虫のレッテルを貼られて、仲間に入れてもらえないような
状況が長く続いているようでした。
そうした中、スタッフの「親」としての役割として私が必要であると感じたのは、
子どもたちに人への思いやりや善悪といったものをしっかり教えることです。
Alternative Educationの下では、スタッフは子どもたちの問題は彼ら自身が解決
するよう促しています。順番を守っておもちゃで遊ぶというルールを守れない子
ども、そしてそこから始まる子どもたちのけんかに、スタッフはあまり口を挟ま
なかったように思います。しかし、自由と無秩序とは別物です。スタッフが介入
しすぎると、子どもたちから自ら考える力を奪ってしまうことにもなりかねませ
んが、押し付けではなく、いい意味での善悪の判断基準を出し、人へのよりよい
接し方を提示してあげることもスタッフの重要な役割の1つではないかと思いま
した。泣き虫だった少女の件について私が相談したときも、スタッフの反応はい
つも「彼女はここに慣れていないだけ。時が解決するよ」というものでした。タ
イ語を十分に話せない私の代わりに、彼女の話を聞いてあげて欲しかったのです
が・・・。私はあくまで短期のスタッフ。現場経験も知識も浅い私には、ここでの
やり方が長期的にはどのようなプラスの効果をもたらすのかはわかりません。し
かし、彼女といつも一緒にいた身としては、彼女を取り巻く状況を改善してあげ
ようとする様子がスタッフに見られないのは残念でした。また、自分の無力さを
感じた瞬間でもありました。短期スタッフの頻繁な入れ替えやそれによりスタッ
フが長くじっくり付きあっていくことができないという点が、子どもにとっての
ストレスになってしまうことも考えられます。
一方で、スタッフの存在が「外的刺激」として、子どもたちにプラスの影響を与
えていることもあります。街からだいぶ離れたこの施設では、周辺に住む人以外
の人と接する機会が乏しい状態です。子どもは遊びの名人ではありますが、毎日
を同じところで過ごしているわけですから、いつも刺激を求めています。タイ、また
は世界各地から集まる多彩なバックグラウンドを持ったスタッフの存在は、子どもの
やる気を引き出す重要な要素となり得ます。ある少女は、日本人のボランティアと
接する機会を持つにつれて日本語に興味を持ち、「将来は通訳になる」と言って日
本語と英語を実に一生懸命に勉強していました。日本語を教えることで彼女の夢を
応援できることは、私にとっても大きな喜びでした。子どもたちに違った世界を見
せることで、毎日の繰り返しに何か新しい刺激を与え、彼らの視野を広げることは
スタッフの大事な役割でしょう。また、親から十分な励ましを受けずに育った子ど
もたちは、継続的な努力を苦手とし、あきらめがとても早いと言われます。スタッ
フの励ましにより、子どもたちは自信をもって自立に向けて努力することができる
のです。
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【編集後記】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
子どもの成長に愛☆は欠かせませんね(めぐ)
子どもが育つ環境は本当に大切なのだけど、
子ども自身はその環境を選べないのですね。(アツシ)
今回初めてメルマガ会議に参加しました、これから少しずつ
国際協力について勉強していきたいと思います。(英)
来月号も「子ども」がテーマです。お楽しみに!(さちこ)
∞∞★∞∞★環境成長経済フォーラム開催のご案内★∞∞★∞∞★∞∞★∞∞★∞
エコロジーだけが経済を救う
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【お申込方法・お申込先】※事前登録制です。
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