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ケア・ジャパン ニュースレター
**読むだけで国際協力** 2005年2月1日
< http://www.carejapan.org >
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2月号のテーマは「デジタルデバイド」です。IT化の進む現代、インター
ネットは最も身近な情報源の1つです(このメールマガジンもIT化の賜物
ですよね)。今回は、インターネットのもつ大きな力とそこから生まれる格
差について考えていこうと思います。
【コンテンツ】
★デジタルデバイドとは?
★インターネットがもたらした社会の大変革
★世界に広がるデジタルデバイド
★デジタルデバイド解消に向けた取り組み
★デジタルオポチュニティの創出
【デジタルデバイドとは?】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「デジタルデバイド」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。デジタ
ルデバイトとは一般に、パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)
を使える環境にある人とない人との間で生じる情報格差、また使える環境にあ
っても、パソコンの知識や操作能力の違いにより生じる情報格差、さらに
それによってもたらされる経済格差を指します。
収入、世代、居住地域などの違いによって情報ネットワークへアクセスで
きる人とできない人とでは、得られる情報量に差が生じ、そこからさまざまな
機会における格差が生まれ、それが待遇面などの格差につながる場合もありま
す。また、企業間にもデジタルデバイドが存在します。インターネットの普
及を背景に、多くの企業が情報ネットワークの活用を進めていますが、すべ
ての企業でIT化が進んでいるとは限りません。そのほか、国と国との間で
の格差も懸念されています。情報通信技術がますます進展する先進国に比べ、
途上国ではインフラすら未整備なままです。
【インターネットがもたらした社会の大変革】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ネットワーク社会が到来する以前から、先進国と途上国の間には得られる
情報量に大きな格差がありました。一国内でも、都市と地方では同様の問題
があることが指摘されてきました。都市では地方よりも社会インフラが整備
され、都市生活者は、公的、私的を問わず、便利で有益なサービスに容易に
アクセスできるようになっています。都市では仕事の種類が多岐にわたり、
より幅広い職業の中から仕事を選ぶことができるのも周知の事実です。今回
のテーマであるデジタルデバイドとそれがもたらす格差は、本質的にはこう
した得られる情報の違いによる生活水準の格差の問題と変わりはなく、その
延長線上にあるとみなすことができます。
それでは、なぜネットワーク社会がもたらす情報格差の問題のみが個別に
「デジタルデバイド」という言葉で定義され、その解消が言われるようにな
ったのでしょうか。それは、端的に言うと、デジタルデバイドがもたらす格
差が、従来型の社会では考えられなかったような劇的な大きさになり得ると
考えられているからです。つまり、デジタルデバイドという新しい言葉の登
場は、ネットワークによる恩恵の大きさ、社会へのインパクトの大きさの裏
返しであるといえます。
このことを示す例として挙げられるのが、アメリカにおける雇用の国外流
出の事例です。アメリカでは、関連企業を中心に、ビジネス拠点を国外のよ
り低コストの地域に移す動きが活発化しています。日本語の壁に守られてい
る日本のビジネスとは異なり、国際標準語である英語を使用するアメリカの
ビジネスは、海外に高いレベルで英語を話せる労働力を見つけることが容易
です。このため、これまで国内で安泰であった多くの雇用が、海外の安い労
働力との直接的な競争にさらされ、失われつつあります。企業側は、これま
で物理的な距離がネックになって国内の高い労働力に頼ってきた雇用分野に
おいて、ネットワーク越しに海外で労働力を確保するようになっています。
こうした産業分野で労働者が安定して職を得るには、より高度な専門知識
や技術を持つことが必要となっています。アメリカのIT関連労働者の中には、
海外の労働者よりも高い水準の技術を持っている人も多くいますが、特別な
技術を持たない人は、物価がはるかに安い海外に住む労働者との間で厳しい
競争にさらされています。
ネットワーク社会を実現するインターネットというインフラは、それを
利用することによって得られる情報による利便性のレベルの話にとどまりま
せん。インターネット上では、これまで多くの場面で障害となってきた物理
的な距離がその意味を大きく失い、企業や個人の行動様式が根本的に覆され
る可能性を秘めているといえます。デジタルデバイド問題の拡大は、このよ
うなインターネットの特異性に基づいているといえます。
【世界に広がるデジタルデバイド】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
世界に先駆けてインターネットの普及が先行していたアメリカでは、1999年
に商務省が、民族集団・収入・学歴などによって、パソコン保有率やインター
ネット接続率などに大きな格差があることを指摘した報告書を発表しました。
この報告書の中で、デジタルデバイドを縮小するため、学校や図書館など公
共のアクセスポイントを増加させる必要性が指摘されました。
デジタルデバイドによる情報格差が人々に与える影響の大きさが認識される
ようになり、また世界共通の問題となって現れてきたこともあって、2000年の
「九州・沖縄サミット」のテーマとして取り上げられました。この時に採択さ
れた「IT憲章」では、情報技術が経済的発展を促進する大きな可能性をもっ
ている一方で、先進国と途上国間における経済的格差を増幅させ、国際社会の
安定を揺るがしかねないとの認識から、デジタルデバイドへの協調した取り組
みの必要性を強調しています。
しかし、実際に情報・知識格差の解消の具体的な解決策はサミットでは提
示されませんでした。というのも、「デジタルデバイト」という問題を解決
するための方法について、「国際ルールや規制を作ることによって格差をよ
り小さくする」「自由に競争を促進させることがIT普及につながる」など、
参加国の立場によって見解が分かれたためです。
【デジタルデバイド解消に向けた取り組み】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
★世代間のデジタルデバイド★
日本におけるデジタルデバイドの問題で大きなものは、年齢による格差
です。IT機器のわかりにくさが情報接触への大きな壁となっているので、
それを解消するために子どもや高齢者が扱いやすい機器(端末)やIT製品
の開発によって、情報へのアクセスをしやすくすることで格差をなくすとい
う方法があります。また、総務省や各自治体が主催しているIT講習会など
は、端末への苦手意識を取り除き、技術を習得して情報ネットワークを利用
する機会を増やすことにつながります。同時に、政府・自治体によるインター
ネットシステムの基盤整備、企業の新製品開発の努力、情報教育講習会への
参加機会の提供など、企業・政府・自治体が大きく手を組んで格差解消へ向
けた対策を推し進めることが必要でしょう。
★ネットワークの恩恵が行き渡りにくいマイノリティ★
ネットワークを通じたビジネスや個人によるやりとりが盛んな国々に対し
て、アフリカやアジアなどの地域では、少数でコミュニティを構成しながら、
ネットワークから完全に分離された生活を営んでいる人々が多くいます。こ
れらの人々がネットワーク社会の恩恵を受けるまでには、さまざまな障害が
考えられます。ハード面でのインフラ整備に加えて、コンピュータを操作す
るための技術の習得も必要です。こうした地域には、外国語はもちろんのこ
と、母語の読み書きさえもままならない人もいるため、コンピュータの操作
方法を覚える上で大きな障害になることが予想されます。また、たとえコン
ピュータの操作ができるようになったとしても、母語である少数派の言語だ
けではインターネット上で入手可能な情報量が圧倒的に少なく、他の無数に
ある外国語のウェブサイトから有益な情報を得ることが難しいことが考えら
れます。
こうしたさまざまな困難が立ちはだかっている状況においては、ネット
ワーク社会から恩恵が受けられるようになるまでに、多くの時間と工夫が
必要です。識字教育の拡充や、映像や音声によるネットワーク資源の有効
利用など、総合的な取り組みが必要になるでしょう。また、こうした問題
とは別に、完全に生活様式が異なる人々に対して、どこまでこれらの全く
新しいネットワーク社会への参加を促すのか、といったことについても当
然、議論の余地があるといえます。
【デジタルオポチュニティの創出】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
先に挙げたアメリカの雇用の国外流出問題にみられるように、ネットワー
ク社会は世界の労働市場に大きな影響を与えています。ネットワークを通じて
人と企業のグローバル化が進んだ結果、こうした問題がもはや一国内の問題で
はないことがますます明らかになっています。この種の問題は、企業の移転先
となった諸外国の雇用にも密接に関連しています。
ネットワーク社会の恩恵を受けて、ITサービス産業を始めとした分野を中
心に大きく経済成長を遂げているインドやアイルランドの例があります。これ
らの国は、コンピュータの操作能力が高い、英語能力が高い、低賃金である、
税制が優遇されているなどの理由で、アメリカやヨーロッパの企業が国内業務
をこれらの国に移管するようになっています。当初は単純労働型の業務が中心
でしたが、時間の経過とともに、より複雑で付加価値の高い業務を行うように
変わりつつあり、技術的なノウハウと経験を蓄積していくことでその経済的な
影響力を高めています。
最近は、デジタルデバイドというネガティブな側面を表す言葉に代わって、
ネットワーク社会への参加によってもたらされる新たな機会という意味の「デ
ジタルオポチュニティ」という言葉が使われることが増えています。上記で見
たインドやアイルランドの例は、こうしたデジタルオポチュニティの成果の1つ
といえます。社会全体でネットワークのインフラを整え、ネットワークへの参
加度を高めることは、より多くの人がデジタルオポチュニティの恩恵を受けら
れることにつながります。現在の社会は、高度なネットワーク社会へと移行す
る過渡期にあり、今後、新たなライフスタイルやビジネスの形態が次々に模索
されていくことが考えられます。そうした中で、ネットワーク社会による恩恵
が、一部の人のみに偏ってもたらされるのではなく、立場の違うより多くの人
に幅広く行き渡るようにすることが求められているといえます。人々の間でデ
ジタルデバイドをできるだけ生じさせることなく、さまざまな新しいデジタル
オポチュニティが創出されることが望まれています。
新たな地球規模の問題として取り上げられるようになったデジタルデバイド
ですが、一方で、それほど騒ぎ立てる必要はないとの批判もあります。パソコ
ンやインターネットに限らず、経済的に豊かな人や高学歴者が、付加価値の高
いさまざまな商品やサービスに最初に関心を示して購入することは何も特別な
ことではありません。長期的に見れば、パソコンやインターネットもまだ普及
の初期段階であるため、格差が大きいのは当然でもあります。デジタルデバイ
ドは格差を引き起こす直接的な原因ではないので、すべての人がインターネッ
トを利用できるようになり、デジタルデバイドが解消されても格差がなくなる
わけではありません。社会的・経済的格差という根本的な問題の解決こそがデ
ジタルデバイドの解決に必要なのです。
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【編集後記】∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
デジタルデバイドは「格差」の一部でしかないですね。。(さちこ)
パソコンを使いこなせても、自分に必要な情報・機能を選択する能力はまた
別物なんですよね・・・情報の波を乗りきるのは大変です。(英)
インターネットは所得の格差をなくす方向に機能するでしょうか。
デジタルオポチュニティの可能性に期待です。(アツシ)
身近なデジタルデバイド…今度祖父にパソコン講習会しようと思います。(めぐ)
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