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2005年 11月号



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     ケア・インターナショナル ジャパン メールマガジン
**読むだけで国際協力**  2005年11月1日
< http://www.careintjp.org >

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先月は「グローバルフェスタJAPAN 2005」が行われ、CAREブースもパネル
展示やCAREグッズの販売などを行い、大盛況でした。ご来場いただいた方
の中には、「いつもメールマガジン読んでいます」という読者の方もいら
っしゃって、大きな励みになりました。これからも、国際協力や
CARE International Japanの活動に興味をもっていただけるきっかけに
なるようなメールマガジンを目指して、スタッフ一同頑張ります!

┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■今月のPICK UP!!
▼都市に広がるスラム
−スモーキーマウンテン 〜マニラ・トンド地区
−メキシコのスラムとストリートチルドレン
▼HIV/AIDSに対する取り組み 〜タイの事例
■国際協力用語事典
「貧困」
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■□■ 今月のPICK UP!! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

都市に広がるスラム

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私たちの住む日本の社会は、当たり前にインフラの整備がなされ、一般的
には衣食住を手にすることができ、公共サービスを受けることができる点
からみれば、その住環境はとても快適なものといえます。世界には最低限
度の生活水準をも満たしていない地域があり、そこに住み、生活している
人々がいます。「スラム」とは都市部で極貧層が居住する過密化した地区
のことであり、そこに住む人々は医療などの公共サービスが受けられない
状況にあります。

┼───スモーキーマウンテン 〜マニラ・トンド地区───┼

東南アジアの島国フィリピンの首都マニラは、かつて東洋で最も美しい町
のひとつと言われていました。しかし近年では、世界でも有数のスラムを
多くもつ町として知られるようになりました。

マニラのトンド地区には、かつて東洋最大のスラムとして有名になった
「スモーキーマウンテン」と呼ばれたゴミ捨て場がありました。マニラ
とその周辺から運び込まれた大量のゴミが山積みされ、放置されていた
ために自然発火が起こり、白煙が立ち上っていたことから、その名がつ
いたとされています。「スモーキーマウンテン」には3000世帯、2万人以
上もの人々が、小屋を建てて住んでいました。フィリピン政府はこの地
域の再開発政策を進め、1994年には廃棄禁止に踏み出しました。住民と
の激しい闘争のさなか、1995年に起こったゴミ山崩落の大惨事がきっか
けとなり、この「スモーキーマウンテン」は閉鎖されました。住人は、
一旦は政府の用意した仮設住宅に移動したものの、その後トンド地区か
ら約20km離れたパヤタスゴミ捨て場に移住し、以前と同じような生活を
送っています。しかし、ここでも2000年に崩落事故が起きており、この
ときの被害者は1000人以上ともいわれています。

では、なぜこのような危険な住環境と知りながらも、そこへ集まり、留
まる人たちが後を絶たないのでしょうか。

こうしたゴミの山に住みつく人々の多くが、農村で職を失って都市に流
入した貧しい移民たちです。仕事を求めて都市へ出てきたものの、仕事
が得られず住む場所もない人々はやがてスラムに住みつくようになりま
す。生活のためには働かなければならず、生きていくためのお金を得な
ければなりません。彼らはすさまじい悪臭と不衛生で危険が伴う劣悪な
環境の中で、日々ゴミの山から缶や鉄、アルミニウムなど再利用できそ
うなものを集め、それをわずかなお金にかえて生活しています。彼らの
ようなゴミを拾って生活する人々を、スカベンジャー(scavenger)と
いいます。その中には小さな子どもたちも多く含まれており、抵抗力の
弱い子どもたちは常に、汚染された空気と感染症の危険にさらされてい
るのです。

こうした子どもや女性たちを支援するため、さまざまな民間団体が支援
活動を行っています。安全な上水と衛生的な下水処理などの環境整備、
恒常的に持続可能な経済基盤を目的とした自立支援、子どもとその親た
ちの教育支援など、彼らの生活改善のために今日までさまざまな支援が
なされてきました。

┼───メキシコのスラムとストリートチルドレン───┼

メキシコシティは約2000万人が暮らすラテンアメリカ最大の都市であり、
標高約2,200メートルの高地に位置しています。世界一の大気汚染と
ゴミ問題で有名なこの都市では、スラムで生活する人々が年々増え続け
ています。

メキシコでは植民地時代の名残で、多くの農民が貧しい生活を送ってい
ましたが、近年の工業化による都市の発達に伴い、仕事を求めて多くの
農民が地方から都市へと押し寄せるようになりました。しかし、彼らの
仕事は肉体労働、家政婦、物売りなどに限られ、生活に充分な賃金を得
ることは困難でした。移住してきたものの、職に就けない人々はスラム
をつくって住むようになっていきました。メキシコは2002年に国内総生
産(GDP)が世界第9位へと上昇した中進国ですが、国民の半数以上が貧
困層に属しているといわれています。1994年にアメリカ、カナダとの自
由貿易協定(NAFTA)が発効され、貿易自由化により経済規模が成長した
にもかかわらず、貧富の差はいっそう拡大しています。スラムで暮らす
人たちの生活は非常に苦しく不安定ですが、その実態は特に子どもたち
にとって深刻なものとなっています。子どもたちの親は大半が教育を受
けておらず、賃金の低い職に就くため、収入は増えません。日々の暮ら
しがやっとで子どもたちの将来を考えることはおろか、子どもに愛情が
注げなかったり、ストレス発散のため虐待してしまったりする親も多く
いるのです。

メキシコシティのスラムでは、ストリートチルドレンと呼ばれる路上で
暮らす子どもたちが多く存在します。公的な統計データはなく、ストリ
ートチルドレンの正確な人数を知ることは困難ですが、現地で活動する
NGOによると、2000年時点でメキシコシティの路上に暮らす子どもたち
の総数は、2万人〜3万人にも上ると推定されています。ストリートチル
ドレンの境遇はさまざまで、家族と暮らしながら路上に働きにきている
場合、時々家に帰る場合、帰る場所がなく路上に暮らしている場合、家
族全員が路上に暮らしている場合などに分けられます。

メキシコシティでは、ストリートチルドレンを支援するため、政府や宗
教団体、たくさんのNGOが活動しています。路上で流行するHIVとエイズ
に関する啓蒙活動に力を入れる団体、ドラッグ依存症の子どものリハ
ビリテーションに取り組む団体、職業訓練を実施する団体など、組織に
よって活動内容や考え方はさまざまです。また、あるNGOでは、貧困地
域において、住民を含めた保育活動に力を入れています。ストリート
チルドレンが生まれる背景には、貧困を原因とする家庭の崩壊がありま
す。貧困を解決しない限りストリートチルドレンは増加し続けるという
厳しい現実があります。

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HIV/AIDSに対する取り組み 〜タイの事例

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現在、多くの国々(特に途上国)では、十分な社会保障制度が確立され
ていない状況にあります。ここでは、保健医療制度について考えたいと
思います。来月12月1日は世界エイズデーですが、今回はタイにおける
HIV/AIDS対策を取り上げます。

タイ政府のとったHIV/AIDS対策は、発展途上地域の予防プログラムとし
ては、数少ない成功例だと言われています。1990年代初頭にピークを迎
えてから、新たなHIV/AIDS感染者数は80%以上も減少しました。

▼政治的意思
タイでは、1984年に初めてエイズが確認されると、1987年に国家エイズ
予防対策計画が策定されました。HIV/AIDSに対する政府の対応は、財政
的な支出の約束に裏づけされたものでした。1987年から91年にかけて、
タイ政府と支援国からの供出は、68万4000ドルから1000万ドルに急増し
ました。1997年までに政府によるエイズ対策プログラムへの年間支出は、
8200万ドルまでに達しました。

▼多方面からの参加による協同
患者から個人開業医、僧侶に至るまで、多くの関係者がエイズ対策プ
ログラムを立案し、実施するために政府と協力しています。たとえば、
HIV/AIDS感染者からなる150のグループは、他のHIV/AIDS患者の支援お
よび啓蒙活動を行っています。タイ・エイズNGO連合は、NGOのエイズ活
動の調整を行っています。また革新的な取り組みとして、政府は「女子
の脆弱性削減計画」を策定し、若い女性が教育を受け続けられるように
奨学金を提供し、売春婦になるのを防ごうとしています。これは、多く
の女性が教育を受ける機会がないために性産業での職に就かざるを得な
い状況が背景にあります。

▼ハイリスク・グループに的を絞る
1989年、タイ第2の都市でタイ北部に位置するチェンマイの性労働者の
44%が、HIV陽性であることが判明しました。タイ政府が力を注いだの
は、売春が存在することを否定する代わりに、売春施設を訪れる男性
を減らし、性労働者にコンドームの使用を奨励することでした。1991年、
コンドーム100%使用プログラムを立ち上げ、ハイリスク・グループに
年間3100万個のコンドームを配布しました。診療所でも1年に6億個の
コンドームを無料で配布しました。

このような努力により、めざましい成果がもたらされました。1988年
から92年にかけ、売春施設でのコンドームの使用率が14%から90%に
上昇しました。さらに、売春施設を訪れる男性の数は、1施設当たり平
均、1日4.0人から1.5人に減少しました。その結果、1991年には50%で
あった性労働者のHIV/AIDS感染率は、2001年には10%未満に減少しました。

▼教育キャンペーン
コンドーム100%使用プログラムと並行して、政府による情報提供キャ
ンペーンも行われました。それにより、エイズ情報がどこでも入手可能
になりました。シリアルの箱から広告掲示板、テレビにいたるまであら
ゆるところで情報提供が行われていて、テレビやラジオでは、1時間ごと
に1分間のエイズ教育のスポット・コマーシャルが流れました。このよう
な情報は、HIV/AIDS感染者に対する偏見を消し去る効果がありました。

▼国際支援
タイのHIV/AIDS対策プログラムには、豊富な資金および技術支援が国際
的に提供されてきました。たとえば、国連エイズ合同計画(UNAIDS)は資
金を調達し、プログラムの評価を行い、HIV/AIDS患者を支援しています。
二国間協力では、米国国際開発庁(USAID)や欧州連合(EU)、オーストラ
リア国際開発庁(AusAID)などの連携が挙げられます。

タイの例を見てきましたが、政府の明確な意思と十分な支援が得られれ
ば、ある程度の効果を生み出せることのよい事例と言えるかもしれません。

■□■ 国際協力用語事典 ■□■━━━━━━━━━━━━━━━

貧困

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「貧困」は国際協力に携わる私たちにとって大きなテーマです。しかし、
「貧困」とは何かという問いには答えに窮してしまう人も多いのではない
でしょうか。実際に、貧困とはどのような状態を表すのか、その概念、
定義には一つの確定されたものはないと言えます。

それでは、貧困を示す物差しにはどのようなものがあるのでしょうか。
1990年代まで、貧困とは物質的欠如である、という捉え方がありました。
所得の低さ、食料の不足など購買力の弱さを数値化することで貧困ライ
ンを作るのです。たとえば、「どれくらいの人が1日1ドル未満の所得
であるか」や「どれくらいの人が1日に2200kcalを摂取できないか」
などといった統計の利用です。しかし、はじき出された数値が本当に貧困
を指すかといえば、そこには疑問が残ります。自給自足の暮らしをする人
たちは1日1ドル未満の所得です。また、宗教的理由などにより質素な暮
らしをしている人たちは、2200kcalものエネルギーを摂取していない場合
もあります。彼らは自分たちが貧困状態にあるとは認識していません。
「外部者」が決めた条件を満たさないからといって貧困であるとすること
にも問題があります。

貧困を所得の面から計っているものの例として、「貧困率」があります。
「貧困率」とは、国民全体における国民平均所得の50%以下の所得の人の
割合です。2000年の時点で日本の「貧困率」の高さは27カ国中5位、という
先日の経済開発協力機構(OECD)のレポートに驚かれた方は多いのではな
いでしょうか。世界第2位の経済大国であるはずの日本が「貧困率」にあ
ってはトルコやアイルランドに肉薄して世界で高いグループに位置してい
るのです。貧困率は、第1位がメキシコ、第2位がアメリカとなります。
つまり、「貧困率」はその国の全体的な生活水準ではなく、貧富の格差、
所得格差の大きさを指すものなのです。それゆえ、「貧困率」が高くても、
必ずしも国全体が生活苦に陥っているというわけではないですし、他国か
らの支援が必要というわけではありません。

貧困の定義には矛盾がつきまといます。貧困状態にある人々を所得の面か
ら数量的に捉えることだけでは貧困の本来の状況に接近できないとし、平
均寿命、教育の普及率、1人当たりの所得などを包括的に含めた人間開発
指数(HDI)などの指標も使われています。しかし、そもそも当事者が実際
に「貧困」を感じているか否かという価値観の問題もあり、一律的には
定義し難いのです。

CAREでは貧困を表面的・一元的に捉えるのではなく、経済的・社会的な
不平等が生み出される構造に着目し、人々が持って生まれた権利を行使
できない政治的な環境をも貧困の一環として捉えています。そこで、貧
困をなくすことを目指した活動は、必然的に生活改善にとどまらず、不
平等の是正や機会の創出を目的としています。

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★☆★編集後記★☆★∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
復帰第一線目にして、難しい話題をトライさせていただきました(シロウ)
経済的な安定って生活の基本ですよね。
愛情にもお金にも満ちた家庭が理想ですが、
せめて片方だけでも欠かさないでいたいものです。。 (さちこ)
貧困の形はさまざま。
だからこそさまざまな角度から貧困にアプローチすることが大切ですね。(めぐ)

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