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ケア・インターナショナル ジャパン メールマガジン
* 読むだけで国際協力 * 2007年2月1日
< http://www.careintjp.org >
メルマガチームによるブログ<http://blogs.yahoo.co.jp/care_bora>
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┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■ 今月のPick Up!・・・持続可能な農業?
■ 国際協力用語事典・・・緑の革命
■ コラム・・・薬へのアクセス 〜ジェネリック医薬品と特許保護〜
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■□■ 今月のPick Up! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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持続可能な農業?
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持続可能な開発。本メルマガの読者であれば、もう何度となく目にされた言葉
ではないでしょうか。その「持続可能性」と切っても切れないのが、自然環境
への依存度が高い農業分野の開発です。2002年の持続可能な開発に関するヨハ
ネスブルグ・サミットでは、当時のアナン国連事務総長が、重視すべき5つの分
野("WEHAB")の1つとして、農業(Agriculture)をあげています。国連環境計
画によれば、地球上の土地の15%を農業用地が占めており、その3分の2(20億
ヘクタール)は劣化しています。持続可能な開発の課題として農業があげられ
ている所以はここにあります。
地球規模で環境破壊が進んでおり、砂漠化や土壌汚染が問題視されていること
はご存知の方も多いでしょう。それにともない、農業用地も劣化を続けており、
生産性の低下のみならず、農業を営むこと自体が困難となりつつあります。農
業は多くの途上国において主要な産業であるため、環境破壊は住民の生活に密
接に関係しているのです。
▼土壌の劣化の原因はコミュニティにあり?
土壌の劣化は、様々な要因が複雑に絡み合って起こりますが、そのひとつとし
て、土壌に負荷をかける耕作があげられます。過剰な焼畑や同じ作物を同じ土
地で連続して作り続けること、化学肥料の乱用などがその一例です。なぜ、こ
うした土壌劣化につながる方法で耕作が行われ続けるのでしょうか。その背景
には、技術的な問題だけでなく、より構造的に内在する問題があるのです。
要因の1つには、情報の問題があります。途上国では、生産者が自分たちが行
っている農法が、環境や農業生産性にどのような影響を与えているかを理解し
ていないケースが多く見受けられます。例えば、農薬の廃棄処理の方法を理解
していない、農薬を多く使えば使うほど生産性が上がる、というような間違っ
た認識を持つ場合もあります。このように、生産者が正しい知識や現在用いて
いる農法への代替案を知らないことが、環境や土壌への負荷の低い農法を選択
する妨げとなるのです。
農薬の使用方法などについての情報提供は農業技術の普及員により行われ、し
ばしば、彼らからコミュニティの代表者へ、そして生産者へと伝えられます。
しかし、その情報は、農薬を実際に使う人(生産者)まで確実に届いているの
でしょうか。また、個々の生産者のケースに合った適切な情報といえるでしょ
うか。正しい情報を行き渡らせ、生産者からの意見や質問に対応できるシステ
ムを作ることで、生産者自身が自分の状況にあった方法を選択できるようにし
ていくことが望ましいでしょう。
その他に、土地の権利の問題もあります。途上国のコミュニティにおいては、
多くの生産者が地主との契約を結ぶことで土地利用の権利を得ています。この
契約は1年単位などの短期間で更新され、来年同じ土地を耕作できるかわからな
いときもあるのです。こうした制度の下では、生産者にとって長期的な視点か
ら、土地の生産性を維持していくメリットはありません。生産者が土壌の質に
ついて当事者としての意識をもち、改善に取り組むことを促すような土地利用
制度作りが必要となります。そのためには、地主にも問題を理解してもらうこ
とが不可欠です。
▼環境だけではない!もう1つの「持続可能性」
「持続可能な農業」と聞いて、私たちは環境における持続可能性をイメージす
ることが多いと思います。しかし、「持続可能な農業」には、忘れてはならな
いもうひとつの意味があります。住民の生活を支える収入の基盤として「持続
可能な農業」であるかどうかということです。
農業生産性や環境配慮を考えるとき、しばしば発達した先進国の農業技術を活
用した農法が提案されます。しかし、必ずしもそうした技術が、どこの国・地
域でも解決方法になりうるとは限りません。20世紀半ば、高収量品種と化学肥
料を使用した農業を広めた緑の革命が起こりました。短期的な収益の増加には
効果を持ちましたが、その後土壌から栄養分を失わせる可能性も指摘されてい
ます。近年では、いわゆる無農薬農業・有機農業への転換も声高に叫ばれてい
ますが、その導入に必要な先進的な技術やコスト、手間隙がかかる農法ゆえの
労働力の増加は農家にとって大きな負担となります。長期的にも収益をあげる
には継続的な販売ルートを確立しなくてはなりません。貧困状態にある人々に
とっては現実的には難しい、リスクの高い事業といえるでしょう。
「持続可能な農業」について考えていくとき最も重要なのは、その方法が、
「住民自身が」持続可能であるかどうかを理解しているか、また「住民の生活
にとって」持続可能であるか、という点です。地球にとっての持続可能性は、
必ずしもその土地に住む人々の生活の持続可能性と両立するとは限りません。
住民との相互理解を深めていくなかで、その土地・コミュニティにあった持続
可能な農業とは何かを考え、選択していく必要があります。身近な環境の中で
の最善の方法こそが、最も「持続可能な農業」になるといえるのではないでし
ょうか。
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★☆ 国際協力用語事典 ☆★ 「緑の革命」 【Green Revolution】
20世紀半ば、爆発的な人口増加を背景に、食糧生産を高めることで世界を食糧
不足から救うことを目的として生まれた農業革命。緑の革命の生みの親として
知られる、ノーマン・ボーローグという農学者は、世界の食糧不足の改善に尽
くしたとして、1970年にノーベル平和賞を受賞しました。
緑の革命は1960年代から1970年代にかけて世界の食糧生産に大きな影響を及ぼ
しました。限られた農耕地の中で収穫量を上げるため、それまでの種苗に比べ、
化学肥料の使用を必要とする種苗へと改良された高収量品種は、短期的には収
量の大幅な増加をもたらしましたが、長期的な増加には結びつかなかった事例
も多く生まれました。高収量品種はそれに適した機械や灌漑設備の導入など費
用負担が大きく、当時、小規模農家は、その恩恵に預かれませんでした。また、
さまざまな弊害も生み出しています。耐性のある害虫が新たに発生して大量の
農薬を必要としたり、土地が痩せるなどして、次々に新たな品種、肥料を導入
しなくてはならなかったり、化学肥料や農薬が、土壌汚染や河川汚染、人体へ
の悪影響を及ぼしたことなどです。また、伝統的な農業を破壊することの1つ
の原因となり、飢餓や貧富の差の拡大へつながったとする見方もあります。
<過去のメルマガも参考にしてください!>
◆「特集:ヨハネスブルグ・サミット2002」2002年10月号
→http://www.careintjp.org/support/mg-backnumber/mg008.html
◆「特集:水の安全保障」2005年9月号
→http://www.careintjp.org/support/mg-backnumber/mg045.html
◆「特集:食糧を支える土〜耕地の減少」2005年10月号
→http://www.careintjp.org/support/mg-backnumber/mg046.html
(担当:めぐ http://blogs.yahoo.co.jp/care_bora/3249458.html)
高い倫理観に基づく目標を掲げることは重要ですが、そのプロセスを考えるに
おいては、問題にかかわる人のおかれた「現実」の中で、その中でのベストを
探していかなければなりません。ただし、ここで挙げた「現実」が、農業によ
る環境破壊の免罪符になるようでもいけないでしょう。幅広い情報を得ること
で、それぞれの生産者・消費者が意識を高めることが、よりよい選択につなが
るでしょう。
■□■ コラム ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
薬へのアクセス 〜ジェネリック医薬品と特許保護〜
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日本では最近、少子高齢化により増大する医療費を抑えるため、ジェネリック
医薬品が注目されています。ジェネリック医薬品は、知的財産権保有者以外の
事業者が製造した医薬品のうち、先発医薬品と同等の成分・効能を有するもの
をいい、低価格であることが特徴です。アメリカ、イギリス、ドイツなど欧米
では医療用医薬品全体の50%をジェネリック医薬品が占めている国もあります
が、日本での普及率は16%程度。徹底した品質管理、ガイドブックの発行、処方
箋の様式変更など、使用を促進するような仕組みが積極的に導入され始めてい
ます。自分たちで情報を集めて薬を選択していこうという先進国とは逆に、途
上国では今後ジェネリック医薬品が入手困難になるのではないかと懸念されて
います。
▼途上国と特許法
アフリカなどの途上国ではHIV/AIDS、マラリア及び結核などが蔓延しています。
途上国では高価な薬剤では購入しにくいので、これまでは先進国の企業が開発
した薬剤であっても国内メーカーが安価に薬剤を製造する方法を開発すれば、
製造・販売を許可されることがありました。また、特許法は国内にのみ有効で
あったり、特許法がなかったり、公益性の高い医薬品を特許法の適用外とする
ことによって、ジェネリック薬は生産され、安い価格で供給されてきたのです。
しかし、先進国での特許競争や市場経済のグローバル化を受けて、1994年にWTO
(世界貿易機関)はTRIPS協定(貿易関連知的財産所有に関する協定)を作成し、
医薬品を保護する特許制度が途上国も含めた加盟国の間で統一されました。途
上国には2005年までの10年間、実施の延長期間が与えられましたが、原則とし
て特許を持つ製薬メーカーは20年以上の特許使用権を行使できるようになりま
す。
TRIPS協定はその後、2001年11月の「国民の公衆衛生の保持は私的商業的利益に
優先する」とのドーハ閣僚宣言によって、一定の柔軟性が明らかにされました。
後発途上国に対しては、その国の政府が申請すれば実施延長期間を更に10年以
上延長できることになり、また、1994年のTRIPS協定作成時では国家の非常事態
にのみ発動可能とされていた強制実施権が、公衆の健康のためにも適応される
こととなりました。いずれにせよ、途上国の患者にとっては安価な医薬品への
アクセスが制限されることは確実で、途上国の政府や医薬品メーカーは難しい
対応を迫られています。
▼インド政府も特許法を改正
インドはジェネリック薬の製造では世界第3位、その輸出では世界最大規模で、
過去数年間、途上国のHIV/AIDS患者に対して安いジェネリック治療薬を提供し
てきました。2001年に同国の製薬会社が、複数の薬剤の効果を1つのピルに集め
た画期的なジェネリック薬を市場に導入すると、それまで患者1人あたり年間
1万ドルの費用がかかっていたのが100〜200ドルで済むようになったのでした。
現在、途上国でエイズ治療薬を飲んでいる患者は約70万人とされ、その約50%
はインド製のジェネリック薬を飲んでいます。
しかし、WTOに加盟しているインド政府は、TRIPS協定の基準を遵守する必要が
あります。1970年に制定された旧特許法では、製造過程が異なれば特許料を支
払わなくてもよかったのですが、TRIPS導入に併せ、2005年に特許法を改正しま
した。改正後は、インドで医薬品が特許の保護が実施されるようになりました。
ただし、革新的な医薬品のみが特許の保護の対象となると定めており、既存の
成分に改良を施した医薬品では、特許保護の対象外となります。
▼今後に与える影響
インドがこれまでのように新薬のジェネリック医薬品を製造できなくなったこ
とで、途上国側にとって医薬品へのアクセスに与える影響は大きいといえます。
特に途上国の人々が感染者の約90%を占めるHIV/AIDSの治療においては、耐性
ウイルスの問題があります。同じ薬を長期間服用していると耐性ウイルスが出
てくるため、薬の組み合わせを変えて進行を抑える必要があります。
2001年のWTOドーハ閣僚会議では「国民の公衆衛生の保持は私的商業的利益に優
先する」と宣言されました。しかし、2006年には白血病の治療薬の特許申請が
却下されたことで製薬会社がインド政府を相手に訴訟を起こすなど、特許の侵
害を主張する先進国の企業側と人命を優先する途上国の主張には隔たりが残っ
ています。途上国政府は新しい特許法を制定したり、TRIPS協定の強制実施権を
利用したりして、国内のジェネリック医薬品製造や輸出入に活路を見出そうと
しています。また、開発メーカーは差別価格を導入したり、特にサハラ以南の
途上国に対しては原則として特許権を放棄したりして、医薬品へのアクセス向
上へ協力しています。新薬へアクセスできるのは先進国の一部の恵まれた人達
だけでなく、貧しい途上国の人々を含めた患者すべてに手が届くような普及体
制作りが望まれています。
(担当:さちこ http://blogs.yahoo.co.jp/care_bora/3249906.html )
医薬品は人類共通の財産ですが、自分が製薬会社に勤務していたら特許保護を
強く望むかもしれません。でも、人の命がかかっているなら、利益だけでなく
大切なことがあると思います。
★☆★編集後記★☆★∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
*今回は、農業の分野における持続可能性をテーマに考えてきましたが、
「理想と現実」はすべての分野に共通して心得ておくべき概念ですね。(め
ぐ)
*農業は他にもいろいろと大切な問題がつまっていますね。(さちこ)
*問題は複雑だというのは簡単ですが、何がどう複雑なのかわかっていること
は本当に少ないと、今月はまた勉強になりました。(新人)
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