「危機」によって、より一層弱い立場におかれた人々に支援を届けるCARE
紛争や自然災害などの危機は、人々に平等に害を与えるものではありません。危機が起きたとき、社会の差別構造が表面化し、弱い立場におかれた人々がさらに困難な状況に追いやられます。
ここでは、ウクライナ危機とトルコ・シリア地震を例にとり、CAREがどのようにそのような人々に支援を届けているのかをお伝えします。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、CAREは、主に欧州のメンバー国が主導する形で、ウクライナ国内およびその周辺国で避難民への対応を行っています。
その中でも、CAREフランスは、ルーマニアとモルドバで対応を行っています。その特徴は、現地事務所を設置することなく、現地のパートナーとともに全面的に活動を展開している点です。特に児童保護やジェンダーに基づく暴力を専門とする現地のパートナーと連携し、子どもの保護に焦点をあてた活動を行い、軍事侵攻からおよそ1年間で、両国あわせて5,814人(内訳:女性2,392人、男性482人、男子1,025人、女子1,324人)に支援を届けました。
CARE全体では、2022年9月にウクライナ西部の都市リヴィウに「CAREウクライナ事務所」を設立。また、東部のヴィニツィアに出張所、ポーランドのジェシュフに越境拠点をおき、各所が連携して支援活動に取り組んでいます。今後とも、ウクライナ国内およびその周辺国において、パートナー団体と連携し、避難民への支援を継続していきます。
2023年2月にトルコ南部で発生した地震は、2011年から12年以上にわたり内戦が続いているシリアの人々に追い打ちをかける形となりました。
シリア北西部では、地震発生前に、すでに410万人もの人々が人道支援を必要としていました。特に、トルコとシリアの国境の両側にある地域には、多くの避難民が暮らしており、およそ200 万人もの人々が、簡易的なテントなどで生活をしていました。仮住まいの衛生状態は悪く、水害やコレラの流行などすでに過酷な状況にあったところに、地震が追い打ちをかけました。
CAREは、地震発生以前から、シリア北西部で人道支援活動を展開。地震発生後も、この地で長年活動しているCAREトルコが中心となり、現地のパートナー団体と連携して活動を行い、これまでに57万人以上に支援を届けました。具体的な活動は以下のとおりです。
今後は、当面のニーズを満たすという緊急性を超えて、イブラヒム事務局長が指摘するように、ビジネスの立ち上げや再開、拡大によって被災地の復興を支援すべく、女性起業家を対象にしたリーダーシップトレーニングや助成金の提供を行います。また、難民キャンプごとの支援サービスの格差を埋めるべく、大きな格差が確認されたイドレブ県のダナ、カフル・タハリム、マーレ・タムスリン小地区や、アレッポ県のアフリン小地区などへの支援に注力していきます。
©︎Juozas Cernius/CARE
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