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東ティモールの駐在員が解説!CARE独自のジェンダー研修

先日、オンラインで実施された東ティモールフェスタに、東ティモール駐在員の伊藤が現地から参加。
現在、当財団が東ティモールで実施している農業用水改善事業の活動として、6月下旬に行ったジェンダー研修を解説しました。

カードを使って考えてみる

まず、ジェンダーと性別の違い等、基本的なことから学びます。
そのツールはカード。カードには、家畜の世話、農作業、子どもの世話、料理など、様々な活動している絵が描かれています。
男女の役割、意思決定について、カードを仕分けしながら学ぶ手法になっています。
女性が普段していることを男性はできるか、男性と女性は仕事を分担できるか、などの質問を投げかけ、改めて男女の意思決定について考えます。

1日の男女別活動を見える化してみる
次に、男女別に1日の活動について、時間とともに書いてみます。
男性の活動には、家畜の世話、休憩などと書かれています。 女性の活動には、子どもに水浴び、学校に送るなどと書かれています。
これにより、女性の方が多くの役割を担っているということが分かりました。そして、男性は何ができるのかと問いかけることによって、男性の協力を促します。参加者からは、畑仕事をする、子どもを学校に送るなどの声があがりました。


ジェンダー・ボックスに書き込んでみる

ここからは、男女別に作業をします。
女性が・男性が期待されていることを書き出します。これにより、ステレオタイプを明らかにしていきます。
男性には、お酒、家畜の世話、家族を愛すことなどがあげられました。
女性には、やさしい、静か、家事、家族を愛すことなどが記されました。
この作業を通じて、明らかになったことは、例えば、女性も豚の餌やりをしているにもかかわらず、女性自身も家畜の世話をしているという認識がない、言い換えれば、女性は男性の手伝いをしているという認識であったということです。
ここでも、男女で分担できる活動はあるかという問いを投げかけ、参加者同士で意見交換をします。

質疑応答

問】識字率は?読めない・書けない方への対応、連絡方法は?
【答】活動地のエルメラ県アッサベ郡の識字率は正確にはわからないが、参加者20人中2~3人は読めない・書けないのではないかと思う。
ファシリテーターが言葉で説明している。石を使って、はい・いいえを判断している。また、書ける人がヘルプしている。レーナーやアシスタントが必ずメモを取り、発言を記録するようにしている。
連絡は口頭でしている。

【問】パブリックスピーキング研修とは?テキストがある?
【答】ケア・インターナショナルが開発した研修マニュアルを使用している。
まず、スタッフが研修について説明、その後、参加者に前に出てもらい、プレゼンする。以上のような講義と実技を合わせたもの。

【問】農業用水設備について、電力を使うのか?ガソリンなどは必要か?
【答】電気が使えないため、基本的には山の上の方の水からパイプを通して、水汲み・点滴設備に利用。電気を使わず、重力で水を流している。地形の関係でポンプが必要な場合は、発電機付きのポンプを導入している。

【問】東ティモールの男女の役割はどのようなものか?
【答】女性は家事・育児、男性は畑の仕事・家畜の世話が中心になっている。但し、女性も、鶏など小さい家畜の世話はしている。

【問】女性のエンパワメントへの反発はあるのか?
【答】まず、地域のリーダーに説明し、理解を得ている。男性には、研修を通じて理解を得ており、今のところ、大きな反発はない。

【問】給水設備を作ることで、将来的に水汲みなしにはできるのか?
【答】給水設備を家の近くに作ることは、NGOや地域住民も進めている。水汲み設備の設置により、水汲みの負担は減ると期待している。政府も水道の整備を進めている。

【問】下水道設備は?
【答】お手洗いは、タンクが下にあり、そこにたまるようになっている。残念ながら今のところ下水道設備はなく、地下に吸い込まれていく。

【問】読み書きができない人への対処法は?
【答】読み書きができてない方は、学校に行く機会のなかった人たちが多く、理解するのに時間がかかる場合が多い。よって、何度も具体的な例を用いて説明している。例えば、性別の説明は、母乳をあげるのは性別ですか?ジェンダーですか?というような問いかけをしている。

【問】プロジェクトの改善点はあるか?
【答】プロジェクト自体がまだ始まったばかりなので、まだ改善点はわからないが、今後、わかってくると思う。

 【問】識字率・格差は、減ってきているのか?
【答】時代が進むにつれて、東ティモール自体に小学校の設立が増えていて、格差は減ってきている。30~40代の方々は非識字率が高い。学校に行けなかった方が多いためだが、今の子どもたちの就学率は比較的高い。

【問】コロナの影響について教えて欲しい。
【答】都市部はリモート授業などを行っていたが、地方は設備がないため、普通に学校に通っていたところもある。今現在は、学校についてはコロナの影響はあまり感じられない。

【問】ジェンダー平等に男性の参加を促すのは難しいのでは?
【答】実際には、男性の参加は結構ある。農民グループの女性の夫が参加してくれることも。皆、新しいことを学ぶ意欲、楽しさがある。女性のエンパワメントにより収入が増えるというメリットもあるので、男性にメリットがある。

【問】ジェンダーワークショップは、男女別で常に活動しているのか?
【答】基本的には、男女別で話し合い。その後、全体で発表・話し合いがある。

【問】イスラム圏に見られるような、女性が教育を受けると、嫌がらせを受けるなどの雰囲気はあったのか?
【答】そのようなことはない。一方で、東ティモールでも、男性の方が優先的に教育を受けさせてもらえるという現状はある。

【問】ジェンダー平等研修の成果はどのような形で現れているのか。プロジェクト評価ではどのような指標を用いているのか?
【答】研修の成果が表れるのはまだ先、時間がかかる。プロジェクトの評価方法は、アンケート比較。スタッフが質問を用意し、答えてもらう。指標は、水汲みの時間が減るかどうか、定例委員会で女性の発言回数をカウントなどがある。

【問】CAREの研修参加される参加者には何かインセンティブを用意しているのか?ランチなど以外に、金銭的インセンティブがあれば教えてほしい。インセンティブ提供なしに研修に農民はよろこんで来られるのか?
【答】おやつを朝と午後に提供、食事を提供。研修を行う場所まで歩いて行けるため、インセンティブはそこまで提供しなくても参加してくれる。農業研修は、知識をすぐに活かせるため、参加する場合が多いようだ。

関連情報

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: info@careintjp.org
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