活動報告:学習教材「ラファエック」を通した自立支援事業
当財団は、CARE東ティモール事務所とともに「学習教材『ラファエック』を通じた自立支援事業」を実施しています。長年にわたる皆さまからのご支援に、改めてお礼申し上げます。
学習雑誌「ラファエック」は、都心から離れた地域も含めた、全ての幼稚園・小学校、そしてコミュニティに届いている唯一の読み物です。現地の言葉である「テトゥン語」で書かれた定期刊行物がほとんどない中、学校や家庭での学習を助けるだけではなく、読み書き計算が難しい大人たちにとっても貴重な情報源となっています。
この度、2022年7月1日から12月31日までの半年間における、本事業の活動報告書が完成いたしました。ぜひ、ご一読いただき、アジアで一番若い国「東ティモール」の子どもたちの学び、そして未来へとお心をお寄せいただけましたら幸いです。
主な成果
配布実績
雑誌名 |
対象 |
配布数 |
ラファエック・キーク |
未就学児~小学校低学年 |
228,033 |
ラファエック・プリマ |
小学校3年~6年生 |
263,648 |
ラファエック・バ・マノリン |
教師 |
24,224 |
コミュニティ・ラファエック |
成人 |
103,967 |
計 |
619,872 |
コミュニティとの連携
◆ワークショップ
各地域で1回ずつ、計13回のワークショップを実施し、581人(男性289人、女性292人)が参加しました。コミュニティ、特に、首都ディリから離れた農村地域やそこに住む女子や女性のコンテンツのニーズについてさらなる洞察を得るとともに、「コミュニティ・ラファエック」に掲載されている、農業、栄養、妊産婦の健康などに関する改善策をラファエックチームのメンバーが実演して紹介しました。
◆「ヤング・ジャーナリスト」によるインタビュー
ラファエック配布対象校の生徒が「ヤング・ジャーナリスト」となり、東ティモール内の主要なステークホルダーや影響力のある人物へ、インタビューを行うプロジェクトを行いました。このプロジェクトは、女性の発言力、リーダーシップ、意思決定、ジェンダー平等などに関連する重要なメッセージを伝えることを目的としたものです。また、若い学生たちがジャーナリズムの実践的な経験を積み、自尊心、自信、人前で話す能力を高め、ロールモデルとして他の学生を鼓舞することにもつながりました。
障がいを持つWelcianaさんとAntonioさんも選ばれ、東ティモール青年国民会議所の会長であるMaria Dadi Soares Magnoさんに、「市民社会組織における女性のリーダーシップと意思決定の促進」についてのお話を聞きました。Magnoさんからは、「体が不自由だからといって希望を失うことなく、夢と可能性を持って目標に向かって進んでください。私たちは家族、社会、国家の中で皆平等です」というメッセージもいただきました。
オンライン・プラットフォーム
◆
Facebook
アクティブフォロワーが
150,260人(42%が女性)に達し、東ティモールで最もフォローされているFacebookページのトップ5の1つになっています。報告期間中は500 USドルの資金調達にとどまりましたが、未対応のサービス開拓によって、認知度をさらに高めるよう努めます。
◆ウェブサイト
報告期間中、ラファエックのウェブサイトには合計
6,231人の訪問者がありました。訪問者の86.85%が携帯電話から、12.06%がデスクトップから、1.09%がタブレット端末からアクセスしていました。
◆Youtube
YouTubeチャンネルを新たに立ち上げました。現在チャンネル登録者数は183名で、520回再生されています。Facebookページと共に、効果的な資金調達手段として活用することを計画しており、今後より注力してまいります。
モニタリング結果
報告期間中、生徒、教師、コミュニティに対して
880件の個別インタビューを実施しました(男性345人、女性535人で、13の自治体で障がいのある生徒3人とコミュニティ・メンバー1人含む)。また、51校の教員を中心に、合計51回の授業観察を実施するとともに、合計212校を訪問し、124人の教師(女性71人、男性53人)と面談しました。調査結果の概要は以下の通りです。
学生
・「ラファエック・キーク」を受け取ったことがある:98%
・雑誌は家に持ち帰っており、学校を楽しくするのに役立っている:97%
・家に持ち帰っている回答者のうち、自宅で親が一緒に雑誌を読んでいる:31%
・「ラファエック・プリマ」の雑誌を受け取った:99%
・雑誌を家に持ち帰っている:87%
教師
・教師用雑誌を受け取ったことがあり、教育実践の改善に役立った:97%
・教師用雑誌には、教室での生徒管理に関する有益な情報が掲載されている:94%
・雑誌に掲載されているアクティブ・ラーニングの手法を、教室内で1つ以上使える:98%
・体罰は有益ではない:90%
コミュニティ・メンバー
・娘や息子から「コミュニティ・ラファエック」を受け取っており、子どもが学校に通い、家庭で雑誌を読んでいる:98%
・家庭でコミュニティ雑誌を読んだり、子どもとゲームをしたりすることが多い:92%
・配偶者が雑誌を読んでいる:58%
今後に向けて
ラファエック事業を継続していくために、社会的企業へと移行していくことを計画していますが、今後1年はそのための重要な期間となります。FacebookやYoutubeなどのオンライン・プラットフォームを成長させるとともに、子ども向け電子書籍などの新しいアイディアについても前進させていく予定です。
また、教師向けの追加の参考書として、過去に掲載されたコンテンツを主に収録したガイド本「リヴル・セマティク・バ・マノリン」を制作しました。現在は承認プロセスの途中で、完了すれば2023年5月中に印刷され、教師に配布される予定です。
ご寄付のお願い
ラファエックを創刊して20年、東ティモールの成人識字率に改善は見られるものの、子どもたちの就学率や退学率においては課題が残り、特に農村地域に置ける状況は深刻です。本事業を継続し、困難を抱える子どもたちへ自立に向けた後押しができるよう、皆さまの温かいご寄付をお待ちしております。
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本件に関するお問い合わせ先
公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375Email: info@careintjp.org
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