トルコ・シリア地震 発生から1年:震災対応への資金不足により人々は希望を失いつつあります
2月6日は、トルコ南部とシリア北西部を襲った一連の地震から1年にあたります。最も深刻な被害を受けた地域では、気温が0℃近くあるいはそれ以下になるなか、何千もの家族が復興への困難に直面し続けています。
最も被害の大きかったハタイでは、水不足や不十分な衛生施設といった継続的な課題が、特に幼児や高齢者、障がい者といった社会的弱者に大きな健康リスクをもたらしています。交通機関の途絶も依然として大きな懸念事項であり、特に遠隔地の農村部や交通の便が悪い場所に住む住民にとっては、生活、教育、医療、社会サービスへのアクセスに影響を及ぼしています。
国境を越えたシリア北西部では、2023年2月の地震の後、人々は人道支援資金の不足と暴力衝突の再燃に直面しています。このため、冬に悲惨な状況で暮らす400万人以上の人々の苦しみはさらに深まっています。
「2023年、地震の後、被災地域では継続的な食糧不足と食糧価格のインフレを目の当たりにし、北西部地域のシリア人の5人に4人が食糧不安に陥りました。「この年はまた、過去4年間で最も顕著な敵対行為の激化を目撃しました。資金不足のため、CAREを含む人道支援団体は、この冬、脆弱な生活を優先するよう求められています」
2023年、シリア北西部でCAREは、42,000世帯に食糧クーポン券の配布と現金支援を行い、9,000世帯に温かい食事を提供しました。資金削減のため、2024年には、これらの数はそれぞれ約45%と83%と大幅に減少する見込みです。
「暖房や防寒着など、この冬に必要とされるものが増え、燃料を含む必需品の価格が高騰していることを考えると、個人は早期婚を強要されたり、食糧を買うために借金したり、児童労働に従事したり、食事を抜いたり、食費を全体的に減らしたりといった、否定的な対処法に訴えるかもしれません」とハニファ事務局長はいいます。
▲地震から1年後のシリア北部アレッポの仮設住宅。この地区は地震で最も被害を受けた地域のひとつで、数百棟の家屋が甚大な被害を受け、多くの家屋が倒壊しました。500人以上が死亡し、数千人が家を失いました。
2023年12月現在、54億1,000万ドルを必要とするシリアの人道対応計画は、必要資金の3分の1しか確保できていません。同時に、トルコにおける人道的対応も同様の資金難に直面しています。
「地震から1年が経過した今、我々は、政府と支援国が、トルコと戦争で疲弊したシリアの双方において、地震に関連する永続的な影響と長期的な社会経済的リスクに迅速に対処する責任があることを訴えます。十分な資金がなければ、両国の人道的危機は深まるばかりです」
サマンダーで生まれ育ったギョニュルさん。シリアとの国境に近いこの小さな町は、アンタキヤ市からわずか25kmのところにあり、2023年2月の大地震で最も大きな被害を受けた町のひとつです。
ギョニュルさんは、2人の娘の母であり、4歳と1か月の赤ちゃんの祖母でもあります。地震の少し前に骨髄移植を受けた下の娘は、この非常に厳しい生活環境下で健康状態が悪化することを心配しています。
「震災後の最初の数か月は、もっと多くの支援がありました。今は援助が減っています。人々は働きたいのですが、仕事がありません。援助の減少は、主に人道支援に頼っている多くの家族に影響を与えるでしょう」と、ギョニュルさんはいいます。
CAREは、ギョニュルさんとその家族をクーポン券の配布を通じて支援しています。この支援により、ギョニュルさんは、洗剤や消毒剤、洗濯用洗剤、その他の衛生必需品や、卵、チーズ、パン、野菜などの食糧を買うことができています。
トルコ南東部の被災地では10万世帯以上が今なおコンテナの避難所で暮らしています。さらに、5万世帯以上が、折りたたみ式の簡素なコンテナやテントでの生活を余儀なくされています。
そして、この地域では冬の間、平均最低気温は 0°C 以下に達し、アディヤマン、カフラマンマラシュ、マラティヤの農村部では、冬の早い時期に降雪も想されており、防寒対策に向けた支援が最優先事項となっています。また、被災により困難を強いられる女性や女子に対しての中長期的支援も必要とされていることから、CAREは、この後も引き続き、被災地での支援活動を継続して参ります。
2024年3月以降に改めて、1年間の支援活動についてご報告させていただきます。
©︎Juozas Cernius/CARE
Copyright © CARE International Japan, All rights reserved.