寄付で支援する はじめての方へ
Facebook
Twitter
Instagram

ウクライナ人道危機:ポーランド国境の最前線で情報収集にあたるCARE職員の1日

ポーランドとの国境で対応するCAREドイツの職員のステファン・ブランド


CAREドイツから現場へ向かった緊急メディアマネージャーのナインジャ・タポロギーは、パートナー団体とともにポーランドとウクライナの国境にいます。

ここ数日は、長時間対応に追われています。今朝は午前6時30分に起き、軽い朝食をとってから、ポーランドと接する国境に到着するウクライナ難民のレセプションセンターに向かいました。

ナインジャとジェンダー専門家のショオバーン、そして護衛と物流を担当するエマニュエルは、車で約1時間半かけてコルチョバにある2つの倉庫に到着しました。そこにはバスや車がたくさん停車し、難民だけではなく、援助団体のスタッフやジャーナリストなどが集まっています。電子看板には「ポーランドはウクライナを助ける」という文字が映し出され、その下には両国の国旗がハートの形で飾られています。レセプションセンターの前には、バスを待つ多くの人々が並んでいます。

国連によると、ウクライナで紛争が始まって以来、100万人以上の人々がポーランドに逃れてきたと報告しています。難民の多くは女性、子ども、そして高齢者であり、キエフ、ハリコフ、その他のウクライナの都市からやって来ています。

レセプションセンターの端に座って食事をしている女性数人のグループが見えます。ある援助団体のスタッフから、その家族は2日間食事をしていないと聞きました。彼女たちが食事を終えるのを見て、ナインジャは歩いてそばに行き「英語を話せますか?」と尋ねると、「少し」と女性の一人が答えてくれました。ナインジャは彼女に、どこから来たのか尋ねました。「ハリコフから」。彼女は、混み合ったバスに揺られ、22時間以上かけて国境にたどり着いたと教えてくれました。道中、何度も何度も爆弾の音が聞こえたといいます。そして、2日間もの間、食事と睡眠をとれていない彼女は、まずここで休息し、それからポーランド南西部にある町の友人のところへ行くのだと話してくれました。

レセプションセンターには、約2,000台ものベッドがぎっしりとおかれており、全てが使われています。子どもたちは遊び、うとうとする人もいれば、携帯電話用の無料のSIMカードを受け取るためにカウンターに並んでいる人もいます。

これらのセンターは、言うまでもなく、避難を求める人々や彼ら・彼女らを支援するスタッフのためのものです。絶望的で疲れ果てた状況にある難民にも、プライバシーの権利があります。だからこそ、避難所や交通手段の支援、その他すべての人道支援は、個人の保護や尊厳、選択の自由を確保するために、専門的に調整され、また実施されることがとても重要です。

外に、新しいバスが到着しました。温かい食事を提供するテントの前に人々が並んでいます。私たちは、現場の様子を撮影してから、次の場所に向かいました。

プシェミシルのレセプションセンター

約35分後、別のレセプションセンターに到着しました。午後1時です。ここでも、センターの前に多くの人々が集まっています。時折、ベルリン、エストニアや他のヨーロッパの都市や国を示す段ボールのボードを持って、センターの前を歩き回る男性を見かけました。

そして、ここでも、センターの隣に立ちすくむ2人の若い女性に会いました。彼女たちの背中には小さなバックパックがありました。荷物はそれが全てなのです。1人のバックパックには、書類が入ったファイルが入っています。二人の姉妹は次のバスを待ち、長い間ポーランドで働いてきた母親のところに向かうのだといいます。お姉さんが、自分たちだけで国境を越えてきたのだと、ナインジャに教えてくれました。

ウクライナの人々が最も必要としているものを尋ねると、21歳の彼女は、涙を必死にこらえていました。ありがとうとさようならの意味を込めて、ナインジャは体に気を付けてと伝えます。車に向かいながら、母親のところまで無事に到着することを祈りました。

メディカの国境検問所

午後3時頃、メディカの国境検問所に到着しました。昨日も来ましたが、今日は何時間もの渋滞に巻き込まれずにすみました。現場の支援スタッフはあまりいません。今日は昨日とは異なり、負傷者や慢性疾患のある人々への医療支援も提供されています。多数の女性、子ども、高齢者、時には車椅子の人々が国境を越えているのを目にしました。

CAREスタッフであるナインジャたちにとって、こういった現状を把握することは、今後の人道支援を計画するためにとても重要です。ナインジャたちの目標は、女性と女子を中心に、男性や男子も含めた特定のニーズを考慮に入れながら、人々が真に緊急に必要としているものを提供することです。

車に戻る途中、若い男性に会いました。彼の顔には小さな傷があり、殴られたように見えます。視線が定まらず麻痺しているようですが、幸いなことに彼は医療支援の方向に歩いています。私には彼が経験したに違いない恐怖を想像することさえできません。

クロシチェンコの国境検問所

今日の最後の目的地は、メディカのさらに南にあるやや小さな国境検問所です。クロシチェンコには、車や小型バスに乗った人々がやって来ます。敷地内には人がほとんどいませんでした。夕暮れになったせいかもしれません。

ナインジャは同僚のショオバーンと、再び、現場の状況を映像に収めました。ショオバーンはジェンダー専門家として、ナインジャたちが今日、目や耳にしたことから、今後CAREとして行うべき支援を決めます。ショオバーンは同伴者のいない女性や子どもたちが、性的な暴力を含めたあらゆる搾取を受けることのないように気を配ります。特に、今後の滞在先が決まっていない女性を心配しています。

ホテルに到着したのは午後8時でした。簡単な夕食をとった後、撮影した映像を編集し、写真をアップロードして、世界に散らばるケア・インターナショナルのスタッフへ情報を共有しました。そして、午後11時30分に眠りにつきました。

ウクライナの人々が耐え偲んでいるすべての苦しみを思い浮かべます。そのような、今まさに起きている困難な状況と、不確実な未来における彼ら・彼女らの回復力と忍耐力を称えずにはいられません。 世界中の寄付者の皆さまからのご支援のお陰で、CAREのような援助団体が、最前線でこうしてウクライナの人々を少しでもサポートできることをうれしく思います。


ご支援方法についてのご案内

 クレジットカードでのご寄付の場合:
こちらから「今回の寄付」をご選択の上、寄付の使途は「ウクライナ危機緊急支援事業」をお選びください。
各種クレジットカードをご利用いただけます。

郵便局からのご寄付の場合:
<口座番号> 00150-4-49006
<加入者名> 公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
※郵便局窓口にて、振込手数料が無料の口座である旨お申し出ください。
※お振込いただく際は、振込み用紙の通信欄に必ず「ウクライナ(W)」と明記してください。記載がない場合は一般寄付としてお取り扱いいたします。

寄付金については「寄附金控除」の対象となります。
個人および法人の皆さまからのご寄付は、確定申告の際に、寄付金控除の対象となります。なお、個人の皆さまへの領収書は、ご希望いただいた方にのみ発行させていただきます。必ず通信欄にその旨明記していただくようお願い申し上げます。

【領収書発行を希望する皆様へ】
寄付金控除のお手続きには領収書が必要となります。領収書の発行については以下をご覧下さい。
オンライン寄付の場合:「領収書の送付」の項目にチェックを入れて下さい。
郵便局からのご寄付の場合:振込用紙の通信欄に「領収書要」と明記して下さい。

*当財団は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当面の間、すべての職員に在宅勤務を奨励していることから、領収書の発送が大幅に遅れる可能性がございます。予め、ご了承ください。


関連情報

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: bokin@careintjp.org
活動レポート一覧に戻る

最新レポート

  • 東ティモール:「遠隔集落における生業改善事業」を開始しました

    東ティモール:「遠隔集落における生業改善事業」を開始しました

  • アッサベの野菜を展示させていただきました

    アッサベ産の野菜を展示させていただきました

  • ニュースレターを発行しました

    ニュースレター「CARE World」46号(ネパール事業やモロッコ地震など「災害」対応特集号)を発行しました

  • ニュースレター46 モロッコ緊急支援

    モロッコ地震など緊急支援事業へのご協力ありがとうございました

  • ニュースレター46 ネパール事業

    ネパール「遠隔地の学校における教室改修支援事業」の進捗をお伝えします

あなたのチカラで
女性と女子を支える

最も弱い立場におかれた女性と女子に支援を
届けるために、あなたのサポートが必要です。
月1,000円からのサポーターになりませんか?

寄付について詳しく知る

©︎Juozas Cernius/CARE