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ガザ:武力衝突激化から1年 ー活動を継続・拡大するために5,000万ドルを必要としています


CARE「ガザで最も危険にさらされている人々のために5,000万ドルが必要」

悲劇的な2023年10月7日の出来事から12か月が経ち、ガザでは容赦ない暴力と苦難の1年が続きました。激しい紛争によって、ガザでは少なくとも41,000人が死亡し、住民の大半が避難しました。また、医療や教育のインフラは壊滅的な打撃を受け、ほぼ全域で食糧不足が生じ、飢饉の脅威が高まっています。戦闘の激化に加え、人道的アクセスの制限が強化され、支援活動への負担はますます大きくなっています

人道支援局長が見たガザの現状





CAREは、ガザでの数十年にわたる経験を持ち、根深く、強固な関係を築いています。現地スタッフとパートナーは、大きな個人的リスクに直面しながらも、支援を必要としている人々に手を差し伸べるため、たゆまぬ努力を続けています。過去1年間で、189人の人道支援従事者が死亡し、500人以上の医療従事者が亡くなっています。継続する敵対行為、道路の損壊、国境地帯での軍事的制限により、新たな支援物資の輸送は事実上遮断されています。

文字通りの通行止め、そして比喩的な障害にもかかわらず、CAREのスタッフとそのパートナーは、安全な水、ヘルスケア、シェルターなどの分野で重要な支援を行っています。これまでに、女性と女子を中心に、72万3千人以上、危機的状況にある人口のおよそ35パーセントにあたる人々に支援を届けました。

しかしながら、その支援はまだ十分とは言い難く、支援を必要としているすべての人々に届けるには多くの課題があります。CAREは、停戦、すべての民間人の人質の解放、完全な人道的アクセスを求め続けています。

そうしてこそ、緊急に必要とされている広範な活動を始めることができるのです。皆さまのあたたかいご支援のおかげで、私たちは新たなニーズに迅速な対応が可能となっております。昨年1年間のガザでのCAREの活動の概要は以下のとおりです。

[1] 複数のサービスを受けた人がいるため、部門別参加者数の合計は全体の合計を上回る

水と衛生| これまでの支援件数:595,098人
• ボトル入りの飲料水、緊急衛生キット、基本的な尊厳グッズの配布。
• 水のトラック輸送、貯水用ポリタンクの世帯への提供、ごみの収集や浄化槽の汚泥除去などの衛生サービスの提供。
• 今後の活動:地下水井戸、ポンプ場、海水淡水化プラント、貯水、トイレ、入浴施設、農場内の灌漑網など、家庭やコミュニティの水・衛生施設の復旧。

シェルターと基本的生活必需品| これまでの支援実績:44,358人
• 避難場所の安全を確保するためのプライバシー・パーティションなどの配布
• テント、仮設シェルター資材、軽度の損傷を受けた住宅ユニットの修理キット、雨天や冬季の天候に備えてシェルターを補強するためのシーリング材/防水材の提供
• スリーピングマット、マットレス、毛布、枕、調理器具、皿、食器類、ジェリー缶、洗濯バケツ、ゴミ袋、ガスコンロ、ソーラーランプ/サーチライトなどの家庭用品の配布。

健康| これまでの支援実績:246,162人
• 性と生殖に関する保健に重点をおいた、緊急薬品、使い捨て用品、消耗品などの医療施設への支援
• CAREのパートナーによって運営されている6つの移動アウトリーチ・チームが、一次保健相談と性と生殖に関する保健サービスを提供
• 子どもたちやケア提供者向けにデザインされた保健キット、妊娠中の母親や乳幼児向けの物資、救急箱、子ども向けのレクリエーションセットの配布
• コミュニティ保健ワーカーによる、伝染性・非伝染性疾患、母子ケア、心のケア支援、応急手当に関する啓発講座
• 7月に開設されたプライマリー・ヘルスケア・センターでは、プライマリー・ケア、妊産婦の健康、安全な出産、心理社会的支援などのサービスを提供し、毎日約200人の患者にサービスを提供している

保護| これまでの支援実績:8,706人
• 女性、女子、高齢者、また妊産婦のための特別なニーズに対応した、年齢と性別に特化した尊厳キットの配布
• 性的暴力やジェンダーに基づく暴力の防止などに関する啓発活動
• 女性、男性、女子、男子の経験を理解し、特定のニーズを満たす方法を特定するための迅速なジェンダー分析2の完了
• ジェンダーと保護の問題に関する現地パートナー・スタッフへの研修

食糧安全保障と生計| これまでの支援実績:17,364人
• 避難家族に栄養価の高い食料をバスケットで提供


私たちは、状況が許す限りすぐに、満たされていない莫大なニーズに応えるため、あらゆる努力を惜しみません。

私たちの資金調達目標である5,000万ドルは、緊急のニーズに応え続けることを可能にすると同時に、今後数年間の困難な時期における地域社会の再建を支援します3

[2] https://www.care.org/wp-content/uploads/2024/05/Rafah-RGA_Final_May2024.pdf
[3] CAREは、現在の緊急対応を効果的に管理し、他の緊急事態にもリソースを継続的に投入できるよう、ガザ危機基金への寄付金の20%を、今回のような緊急事態へのスタッフの迅速な派遣を含む、技術支援、管理、緊急事態への準備費用に充てるために留保します。




継続的な取り組み

CAREのガザでの活動は、ヨルダン川西岸地区と同様に、緊急対応だけではなく、コミュニティが安全で持続可能な生計を立てるための長期的な協力にも及んでいます。CAREは、危機発生時に外部チームを派遣するような緊急支援に特化した機関とは異なり、コミュニティに深く根ざし、信頼関係を築き、現地の専門知識に基づいて人道的対応を行っています。 パレスチナのコミュニティにおける私たちの活動は75年以上にさかのぼり、95パーセントがパレスチナ人であるCAREの国内事務所スタッフと、ジュズール、パレスチナ農業救済委員会、マアン開発センター、パレスチナ医療救済協会、パレスチナ赤新月社などの信頼できる現地パートナーによって、事業が実施されています。CAREの地域主導で世界とつながったアプローチは、世界的なCAREのインフラとリソースを活用することを可能にし、同時に、多くの国際組織が活動することが困難な状況であっても、脆弱なコミュニティに手を差し伸べることを可能にしています。 現在の紛争が明日終結したとしても、パレスチナの人々は前途多難な道のりに直面するでしょう。CAREの献身的なスタッフとパートナーは、寄付者の支援とともに、パレスチナの人々が困難と絶望から立ち直ろうと奮闘し、より希望に満ちた未来を目指すなかで、パレスチナの人々に寄り添っていきます。



希望への道

壊滅的な紛争が始まって12か月が経過しましたが、ガザからの報道は依然として厳しい状況です。しかし、明るい話題も毎日耳にします。ポリオ撲滅キャンペーンの成功、感染症の蔓延と闘うための、安全な水と衛生設備の改善など。CAREの新しいプライマリー・ヘルスケア・クリニックは、安全な妊娠・出産への支援を含め、何百人もの人々に必要なケアを提供しています。これらやそのほか多くの成果に対して、私たちはガザの勇気ある仲間たち、彼ら・彼女らと肩を並べて働く現地のパートナーたち、そして彼ら・彼女らの人命救助活動を可能にする献身的なドナーたちに深く感謝しています。私たちは、増え続ける新たなニーズへの対応拡大に向け準備を進める一方で、暴力の停止、すべての民間人の人質の帰還、完全かつ妨げのない人道的アクセスを改めて求めます。そして、ガザの人々を代表して、私たちの活動への皆さまの寛大なご支援に感謝いたします。

▼心のケア支援とレクリエーション活動は、暴力や度重なる移住に直面した子どもたちが心を強く保てるよう支援することを目的としています



妊産婦の健康における最前線

ルハイファ・アル・ファッラ、首長国赤新月病院産婦人科部長
ガザ地区のほとんどの病院が使えなくなった後、私たちは移動診療所に頼らざるを得なくなりました。パレスチナの人々にサービスを提供するために、このようなクリニックを立ち上げた人たちもいます。助産師の役割は、最も基本的な手段でサービスを提供し続けることです。産前産後のケア、心理的なサポート、どんな問題や障害にも対処できるような相談など、女性にサービスを提供しています。病院への襲撃が続き、首長赤新月病院とアル・ナセル・メディカル・コンプレックスが使えなくなったため、私たちは妊娠中や授乳中の母親にサービスを提供し、手助けするために、これらの診療所を設置せざるを得なくなりました。 ここに来る女性の大半は、貧血を患っていたり、身体が弱く免疫力が低下していたり、栄養失調に苦しんでいます。受診の間に体重が大幅に減っている女性もいます。また、尿路感染症などの感染症のケースや、この戦争中に流産したケースも多く、その割合はおよそ50パーセント以上も増加しています。死産のケースも多く、空爆や恐怖、絶え間ない避難の結果、赤ちゃんは母親の胎内で亡くなっています。

また抗生物質や鎮痛剤、ビタミン剤全般が不足し、女性たちは私たちが処方するビタミン剤を頼りにしています。なぜなら、ご存じのとおり、現在食ベ物の品質が落ちており、女性たちは皆、缶詰に頼らざるを得ないためです。このようなことが原因で、身体が弱くなり、免疫力が低下しているのです。しかし残念ながら、ビタミンや栄養補助食品は非常に不足しています。

時折、粉ミルクや紙おむつなどを配りに来る団体もありますが、現在は何も届いていません。ラファへの侵攻以来、交差点が閉鎖され、支援は入って来ることができなくなりました。市場に行けば野菜や果物があるという女性でさえ、その値段は驚異的で、ごく一部の人を除いて、ほとんどの人には手が出ないといいます。 私たちはプレッシャーの中で働くことに慣れています。間違いなく以前の戦争よりも悪質で破滅的な戦争ですが、これは私たちが経験した初めての戦争ではなく、私たちは最低限の手段を駆使して働くことに慣れています。

▼何万人もの避難民が避難しているアル・マワシの診療所での助産婦ルハイファ・アル・ファッラ

【ご参考:パレスチナにおけるCAREの活動】

ガザとヨルダン川西岸地区のパレスチナ人コミュニティで75年以上の間活動してきたCAREは、人道支援と長期的な開発支援において、同地域で重要な役割を担ってきました。そして、グローバル基準のアプローチに基づき、現地パートナーとのネットワークを築いてきました。これら現地パートナーとの強力な関係は、現在のガザでの活動にとって極めて重要となっています。信頼できる現地パートナー団体と協力することで、CAREは多くの国際組織がアクセス困難な地域を含む、ガザ全域のコミュニティで支援を提供することができています。

ガザ、エルサレム、ラマラ、ジェニン、ヘブロンに事務所を構えるCAREは、国連機関、非政府組織(NGO)、政府当局、民間セクターと協力しながら、パレスチナ全土の人道戦略を調整する重要な役割を担っています。緊急ジェンダー分析など、CAREの調査・分析手法は、効果的な対応を計画するために、人道部門全体で頼りにされているものです。

CAREは国連機関やNGOの協力的なネットワークの中心にあり、互いに相乗効果を生かし、重複を避けながら、最も必要としている人々に確実に支援を届けていきます。同時に、国際的な連合体としてのCAREの組織構造により、私たちはエジプトやヨルダンなどの当地域の他のCAREチームとも連携して物資を事前に配置し、治安やアクセス状況が許す限り、対応の規模を拡大できるようにしていきます。

【ご参考:パレスチナにおけるCAREの活動】



関連情報

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: bokin@careintjp.org
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