CAREが生まれた国アメリカ。そのアメリカで、先日の大統領選挙を経て、アメリカ史上初の女性の副大統領が誕生します。もし、この状況が異なっていたら、アメリカにはさらに深い亀裂が入っていたことでしょう。しかし、アメリカの人々がみな前向きに働いていけるように、今後やるべきことはたくさんあります。一方、世界中のCARE事務所からの活動から、将来への期待を感じることが多々あります。様々な対立を乗り越えていくというストーリーもよく耳にします。これまでの世界のできごとを振り返ると、アメリカの人々もまた同様な道筋を辿ることができると考えられます。
レバノン在住の
ハンナは、シリア難民の受け入れを行っています。ただ、難民の受け入れに対する周囲の受け止めは、常に良いわけではありません。ハンナは、「難民の人々は、全てを失い、戦争のために祖国を離れざるを得なくなった人々です。彼らが苦しむのは、これでもう十分だと思いませんか。私たちは、彼らがこれ以上の苦痛を感じる代わりに、手を差し伸べるべきなのではないでしょうか」と訴えます。
恐ろしい現状に策を講じようとしているのは、レバノンだけではありません。CAREは、これまで、政府や市民社会、そして平和構築に対して、272の事業を通して、1,110万人に直接支援を、3,900万人へ間接支援を届けてきました。以下は、それら事業の一部です。
難民受け入れを行っているレバノン在住のハンナ
・傷ついた人々の声を聞く:ラテン・アメリカでの家庭内労働者に対しては、何かを提供する前に、彼らが求めるものを聞くことが求められます。ケア・インターナショナルの事務総長、Sofia Sprechmannは、「家庭内労働者の求めるものを把握するには、時間がかかる」といいます。
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女性や若者への支援の増加:「これらのイニシアチブは、あなた方を向上させ、勇気づけ、支援します。」パレスチナでの
PEACE IIプロジェクトでは、女性の政治参加が66%向上しました。この事業は、20人の若者の活動家たちの、インターンシップを支え、実践的な技術の取得に貢献しました。さらに、メディアを通して女性の政治参加を訴える方法を学んでいる学生との協働での活動も行いました。
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メディアの活用:パレスチナでのPEACE IIプロジェクトでは、8つのメディア・グループを集め、女性の政治参加を訴えたり、それに関するコンテンツを発信する戦略を立てたりしました。また、レバノンの
Bujar Hoxhaやトルコの
Salah Hamwiに、社会の緊張をほぐすのにどれほどメディアが重要であるかに対する意見を聞きました。
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多様なリーダーシップへの焦点:カンボジアの「社会へのアカウンタビリティの枠組みに関する調査」では、意思決定過程への参加に変化が見られました。以前は政治参加の100%が多数派民族の男性であったのが、現在では58%が女性、38%が若者、他の38%が少数民族の人々という結果になっています。
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地元組織との協働:
コンゴ民主共和国のカトリックの教会は、CAREの性教育授業のための教材を婚前のカウンセリング集会で用いました。このことは、長い目で見るとコミュニティやカップルのためになるでしょう。
スリランカでは、地元の紅茶農園の所有者をコミュニティの開発会議に参加させる取り組みが行われました。この取り組みにより、争議解決のための時間を16時間削減することができました。また、ストライキの抑止により、1日あたり13,300ドルの財産を抑えることにつながりました。
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世代を超えて考える:イエメンの「
平和事業財団(FFP)」では、事業計画の決定者のうち78%が、対話に参加している4,050人の若者による意見の、意思決定への影響にうなずきました。また、若者の89%は、自身のコミュニティにおける意思決定に対して肯定的な影響を及ぼしていると感じています。
パプアニューギニアでは、学校に通う子どもたちが意見を広め、解決策に対処していくことを推進しています。「大きな変革の一つは、事業活動に若者が携わるようになって研修時に集団で働くことで、お互いを支え、意見を聞き合い、意見交換をするようになったということです」といわれています。
・社会の連帯意識を構築する:ヨルダンの都市生活支援事業を通し、参加者の84%が生活の向上を認識しました。これは、新たな人々や文化との触れ合いがもたらしたのです。特に女性の場合は、クラス内の他の参加者と交友関係を構築し、問題解決に取り組むことができたといいます。