シリア越境支援:ケア・インターナショナル事務総長が声明を出しました
11日、シリア越境支援延長にかかる国連安全保障理事会の決議案がまとまらなかったことをうけ、ケア・インターナショナル事務総長ソフィア・シュプレヒマン・シネイロは、以下の声明を出しました。
本日、国連安全保障理事会でシリアの越境支援の更新を阻止する拒否権が発動されたことは、シリア紛争が始まって以来、同理事会の人道的実績の最低点を示すものです。安保理がシリア人の人道的ニーズを満たすため、国境を越えた活動を行うことを国連に初めて承認した2014年以来、加盟国は常に、こうしたニーズが満たされるよう妥協点を見出すことに成功してきました。今日、安保理は、シリアの人々の人道的ニーズではなく、政治がその決定を左右することを許しました。
国連安全保障理事会の決定は、生存を国連の援助に依存している410万人のシリアの人々に壊滅的な結果をもたらすでしょう。数週間以内に、食糧、安全な水、重要な医療サービス、尊厳のあるシェルター、保護サービス、教育など、必要不可欠な物資やサービスが不足し、さらに入手が困難になるでしょう。シリアの人々に対する国連の人道的資金は枯渇し、人道的支援の中核を担うNGOの多くが閉鎖を余儀なくされるでしょう。
6月、ケア・インターナショナルは、31を超えるシリアおよび国際的な人道支援団体とともに、安保理が国境を越える支援の枠組みの更新に失敗すれば、安保理は予防可能な新たな苦しみと人命の損失を容認するというメッセージをシリア人に送ることになると警鐘を鳴らしました。すでに多くの苦しみを味わっているシリア北西部の住民にどれほどの犠牲を強いることになるのか、このような事態を目の当たりにするのは非常につらいことです。安全保障理事会がその分裂を乗り越え、シリア国民のニーズと権利を最優先し、バブアルハワ国境検問所を介した人道的アクセスを12か月間再承認する新たな決議を速やかに採択し、最も直接的なルートで支援を必要としているシリア国民に確実に届くようにすることが極めて重要です。
時間と政治的リーダーシップが重要です。
紛争や災害が発生した際には、初動が非常に重要です。そして、初動活動には、通常の開発事業とは別に、緊急時に直ちに拠出できる資金(プール資金)が必要です。予測が難しい地震、津波、台風、サイクロン、洪水、干ばつ、そして感染症の拡大など、世界各地で多発する自然災害に加えて、長期化する紛争等による難民や避難民の深刻な人道危機などへの迅速かつ効果的な対応にあたり、平時からの資金の確保が不可欠で、円滑な初動活動を行えるよう、「緊急支援基金」へのご支援が必要です。 国内外で今後起こり得る災害等における初動(緊急調査や緊急支援活動等)への活動資金として、有効に活用させていただきます。
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