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2021年度 最も報道されなかった10の人道危機 ―パンデミックの陰で、気候変動とコロナウイルスは女性と女子の危機を増幅させました

今般、CAREは、「2021年に最も報道されなかった人道危機」を発表しました。ここでは、前年までの6年間でメディアの注目をほとんど集めなかった10の危機に焦点を当てています。国連によると、昨2021年、世界中でおよそ2億3,500万人の人々が人道支援を必要とし、この数字は2022年では2億7,400万人に達すると予測されています。これは、地球規模では28人に1人ということになり、飢餓が蔓延し、広がっていることがわかります。多くの人々にとって毎日が生き残るための闘いとなっていますが、世界の注目は主に新型コロナウイルスに集中している状況です。

トップニュースにならなかった10の危機について、まず1つにザンビアの貧困と飢餓があげられます。ザンビアでの人道的緊急事態は、2021年に主要なニュースとして取り上げられず、長引く干ばつ、気候変動、新型コロナウイルスと、主に女性に影響を与える貧困は注目されませんでした。その結果、記録されたオンライン記事はわずか512件で、この国が抱える問題は2021年で最も放置された危機の第1位になりました。

第2位は、ウクライナの人道的危機です。国の東部では、7年以上にわたって武力紛争が激化しています。340万人の人々が人道支援を必要とし、そのうち3分の2の人々は子どもと女性であり、暴力、搾取、差別に直面しています。これに関するオンライン記事の数はわずか801件でした。

第3位はマラウィの忘れ去られた危機です。人々はすでに気候変動がもたらした事態に苦しんでいます。ハリケーン、洪水、干ばつなどの極端な自然災害が頻繁に発生していますが、記録された記事の数はたった832件でした。

これらのように人道的危機に関するメディアの報道がほとんどないこととは対照的に、同じ期間(2021年1月1日から9月30日)にメディアは次のことを報道していました:

    • ・362,522件のオプラ・ウィンフリーのハリーとメーガンとのインタビューに関する記事
  • ・1,636,992件の在宅勤務に関する記事
  • ・3,537,062件の東京オリンピックに関する記事
  •  
  • 気候変動の事態は、危機に瀕している国々に多大な影響を与え、貧困、食の安全、飢餓を悪化させ、避難や退避につながると考えられます。このような状況はすでに記事で明確に発信されています。

    Concessa Nizigiyimanaをはじめとするその影響を受けた人々はこの事実を確信しています。彼女の母国であるブルンジは、今年の忘れ去られた危機のうち7位にランクされています。彼女は「大雨のあとの洪水によって、私たちは、破壊された家を離れることを余儀なくされました。寒さと飢えに苦しんでいるキャンプに避難しなくてはなりませんでした」といっています。

    マラウィに本拠をおくケア・インターナショナルの南アフリカのアドボカシー部長のChikondi Chabvutaは次のように述べています。「マラウィの100万人もの人々が現在食糧不安に苦しんでいるのに、国際的なメディアではほとんどそのことを報じていないことは本当にひどいことです。

    気候変動は、ここにいる人々に対して、南北問題以前から大きな打撃を与えています。すでに降雨の遅れや破壊的で予測できない降水パターンにより、土壌の養分が失われ、土壌はやせ、作物は壊滅され、深刻な飢饉という結果に結びついています。約3年前、サイクロンIdaiはマラウィを襲い家族は、未だにその影響に苦しんでいます。低栄養状態の深刻化や食糧を見つけるのに困難な環境により、種子や代わりの家畜を食べたりしていますが、それも困難になっています。極度の暑さと降雨、干ばつの増加、より巨大なハリケーンなどの窮地に立たされているのは世界で最も貧しい女性と女子です。

    これらの危機はジェンダーに基づく暴力を増加させ、女性の生活に最も大きな影響を与え、女子が学校に通うことを妨げています。しかし、この気候変動に対応し、新しい水システムやより耐性のある種子などの大災害を回避するための対策には費用がかかり、ほとんどの人にとって手ごろな価格ではありません。」

この問題にどう立ち向かうのか

CAREイギリスのCEOであるLaurie Leeは次のように述べています。「世界中の多くの「忘れ去られた」人道的危機に十分な関心が集まらないのは、私たちにとって継続的なフラストレーションと懸念につながっています。人間の困難に対応するための人道的努力はより高いレベルの国民の意識によって効果をもたらし、より強力な国民的および政治的支援を可能にするでしょう。

各国がこの危機に対処するためにはより多くの資金が必要です。EUは、機器や災害に対処するための人道援助予算を増やすことで対応しましたが、英国では2021年に政府が援助を削減したためFCDOの予算が大幅に削られ、2019年と比較して1億6,600万ポンド以上減少しました。このレポートで言及されている10か国にその分の支援が届けられました。一方、向けられるべき注意は、明らかに緊急性の低い問題に向けられています。

しかし、国民の意識の欠如が人道的危機への低レベルの財政的支援を招くという事実は、希望でもあります。現地で被害を受けている人々への具体的な支援がメディアの努力によって拡大する可能性があることを意味しているからです。このレポートが何らかの形で世間の注目を集め、役立つことを願っています。

CAREの観点からは、支援組織として現場の外国人特派員とさらに緊密な連携を図り、質の高いコンテンツとニーズの構造的原因に関する情報を提供しデジタルメディアをさらに活用することが重要です。Lee氏によると、メディア報道の焦点もまた重要で、「被害を受けた人々が彼らの視点から状況を説明できるようにすることが必要不可欠です」と話してます。

2021年にトップニュースにならなかった10の人道的危機

1.   ザンビア 120万人が十分な食糧を確保できていない

2.   ウクライナ 340万人が人道支援を必要としている

3.   マラウィ 人口の17%が重度の栄養失調

4.   中央アフリカ共和国 280万人が人道支援を必要としている

5.   グアテマラ 人口の3分の2は1日2米ドル未満で暮らしている

6.  コロンビア 490万人が武装集団の管理下で暮らしている

7.  ブルンジ 230万人が人道支援を必要としている

8.   ニジェール 18万人の子どもたちが食糧援助を必要としている

9.   ジンバブエ 570万人が食糧不足に陥っている

10.  ホンジュラス 280万人が人道支援を必要としている

おわりに

分析方法について:国際的なメディア監視サービスであるMeltwaterと協力して、CAREは2021年にメディアの注目を受けなかった人道的危機を分析しました。2021年1月1日から9月30日までの間に180万を超えるオンライン記事が分析され、これを行うために少なくとも100万人が紛争や気候変動による災害の影響を受けた国を特定しました。その影響を受けた人々の総数はACAPS、Reliefweb、およびCAREのデータを参考に導き出されます。その結果、40の人道的危機の人道的危機が分析にかけられ、最も注目されなかった10の危機をまとめています。


「緊急支援基金」へのご協力のお願い

メディアが取り上げないこのような人道危機に対し、CAREは国際NGOとして、グローバルネットワークとこれまでの支援実績を活かし、人道支援活動を行っています。

国際社会から関心が払われていなくとも、真に支援を必要としている人々がいます。
緊急支援基金」へのご協力をお願いいたします。


本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: info@careintjp.org

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