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コロナ禍の世界人道デー、シリア、4年連続で人道支援従事者にとって最も危険な場所に

8月19日は、国連が定めた「世界人道デー(World Humanitarian Day)」。
2003年のこの日、イラク・バグダッドの国連事務所本部が爆撃され、22名の人道支援関係者が犠牲になり、100名以上が負傷するという痛ましい事件が起きました。

世界人道デーは、世界各地で起きている紛争や自然災害などの人道問題に焦点をあて、支援の輪を広げるとともに、困難な現場で人道支援に携わる人々に思いを寄せるための日です。

コロナ渦で迎えた2020年の世界人道デー。
CARE独自の「人道支援従事者安全データ(Aid Worker Security Database)」によると、シリアが4年連続で、人道支援従事者にとって世界で最も危険な場所となっていることが判明しました。

2020年の前半で、すでに20人のシリア人の人道支援従事者を含めた74人の人道支援従事者が命を失っています。シリアでは2011年以降、紛争の激化が続いています。シリアの後に続くのは南スーダンで、14人が亡くなっています。また、2020年6月時点での死亡者数は、昨年の同時期と比べて30%増加しています。

CAREのパートナーであり、シリア北西部で活動する水と衛生分野のエンジニアのHiba(仮名)は、「継続的な人道支援は、シリア北西部に住む何千何万という人々にとって大きな希望の光となっています。私たち、シリアで人道支援に携わる者たちの活動がシリアで生きる人々にとっての最後の望みであり、生きる意味といっても過言ではありません。私たちは人道支援に携わる者として、感染病の蔓延に直面することを覚悟しています。ですが、それほど感染病に対して慎重にならないあまりに、多くの仲間が職務中に亡くなってしまったのです。人道支援に従事する者であるかそうでないかなんて、新型コロナウイルスに感染する上では関係がありませんから」といいます。

また、CAREの中東・北アフリカ地域の統括部長のNirvana Shawkyは、「シリアがまた、人道支援にとって危険な場所と認定されたことはとても痛ましい事実です。特にシリア北西部では、人道支援が過去数か月間で軌道に乗りました。しかし、人道支援従事者への攻撃が続いたり、国境封鎖が重要な支援を必要な人々に届けることを困難にさせたりと、状況は今までにないほど過酷になってしまいました。私たちの支援を必要とするシリアの人々は、日々苦しみの中にあり、試練に追われ、その上受け入れられないような仕事をしなくてはなりません」といいます。

最も高い死亡率を示したのはシリアでしたが、一方の南スーダンでは、2020年以降これまでで、人道支援従事者への攻撃が最多でした。

CARE南スーダンの事務次長、Mercy Lakerは、「南スーダンの人道支援の実施は、常に危険な仕事です。業務中に不当な嫌がらせを受けた人道支援従事者の人数は数知れず、不法引き留めや山賊行為などの攻撃を受けた人の数の把握もできないほどです。NGOは、スタッフの安全か、支援の介入がなくては生き残ることができない人々か、どちらを守るかの選択を強いられる必要はないのです。この選択をしたところで、その損失は莫大なものになるでしょう」と述べます。

Humanitarian Outcomes(世界中の人道支援従事者の安全について独自の研究を行っている機関)の最新レポート「Figures at a Glance 2020」によると、国内出身の人道支援従事者は、国外からの人道支援従事者に比べて矛先を向けられやすいという結果が確認されています。事業企画に携わるCAREのスタッフのうち97%は現地住民ですが、彼らは自身のコミュニティや同僚を助けるための努力を惜しみません。

ケア・インターナショナルの緊急支援部長のSally Austinは、「人道支援に携わる者の多くは、現地スタッフであり、彼らは現地にとっての真のヒーローといえるでしょう。欧米諸国で新型コロナウイルスに立ち向かっている者と同様、そのヒーローとはゴミ収集に携わる者であり、トラック運転士であり、看護師です。そして、人道支援従事者でありコミュニティサービスへの従事者なのです」と訴えます。そして、「いずれにしても、新型コロナウイルスの影響で、国内事業の最前線で活躍している現地コミュニティや市民社会、NGOのもたらす重要な役割は強調され、人々により認識されるようになってきています。それらの組織の中には、女性がリーダーシップを取るものや、女性のみで構成されているものもあります」と強調します。

今年2020年は、新型コロナウイルスの影響により、人道支援従事者は、より多くの脅威に立ち向かうことが求められています。誤った情報や緊張状態の高まりから、中断を余儀なくされている人道支援活動もあります。コンゴ民主共和国では、医療従事者は、コミュニティ内に新型コロナウイルスを持ち込むとして非難され、また、コートジボワールなどにおいては、ある地域内での抗議が検査施設の破壊につながりました。

Austin部長は、「私たちが活動する中で、スタッフとそのパートナーの安全確保と、地域住民に対し適切で確かな情報発信をすることによって得られる活動への理解が重要です。また、これらは、新型コロナウイルスへの対応にも重要になってくるでしょう。近代化が進みデジタル時代となっている今日は、特に恐怖心はウイルスの蔓延と同じ勢いで広がります。そして、他のコミュニティがそこから影響を受けることもあります。特に地方では、不名誉を被ることが新型コロナウイルス感染者にとっての一番の懸念となっています。そのため、アクセスや信頼の不足、また恐怖心から、感染したとしても検査や支援を受けようとしない人々もいるかもしれないのです」と訴えます。

ご参考

ご参考

出典:CARE「人道支援従事者安全データ(Aid Worker Security Database)」

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 目白カルチャービル5階
Tel: 03-5950-1335 Fax: 03-5950-1375
Email: info@careintjp.org

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