スーダン:危機に瀕する母親と子どもたち
マリアさん(20)は生後9か月の娘イムティアスちゃんを座らせ、話し始めます。彼女と娘、そして隣人たちはスーダンから逃げ出し、12時間前にチャドに到着したばかりでした。
「今どこか別の場所にいるとわかっているのは、ただ銃声や爆発音が聞こえなくなったからです」と、マリアさんはいいます。彼女やその他の人々は、攻撃の後スーダンの自宅から逃げ出しました。
「ここでは、私たちは床で寝ます。近所の何人かは鍋やマットを持ってくることができましたが、私は着ているショールしか持っていません。それで眠ることができるのは、疲れ果てて歩き続けることができないからです」彼女はそう言い、乾いた砂地に手をかざします。
「夜になると、まだ泣くことができる子どもたちの泣き声しか聞こえません。戦争の音は消え去りました。私たちはまだ生きています。でも、私たちにはもう力が残っていません」
マリアさんは言い終えると、彼女の後ろで身を寄せ合っている女性と子どもたちのグループのほうに向き直りました。
スーダンは、1,200万人もの人が国内やチャドをはじめとする国外に避難を余儀なくされ、世界最大の避難民危機に瀕しています。そして人口のほぼ半数が深刻な食料不安に陥っているこの国では、多くの子どもたちが重度の栄養不良と診断されています。
CAREの南ダルフール事務所長であるモハメド・ティジャニはいいます。
「私たちの診療所で診察を受けるのは、ほとんどが女性であり、母親、そして栄養失調となった彼女たちの子どもたちなのです。私は毎日、安全を求めて続ける旅の中で直面した恐怖や、長く、そして過酷な旅、彼女たちの家族が耐えてきた飢餓と栄養失調の話を聞いています」
現在、6億人もの女性と女子が紛争の影響を受けた地域で生活しており、その数は年々増加しており、2017年から50パーセントも増えています。
紛争地域での生活では入手できる水の量が圧倒的に不足しています。また、妊娠中や授乳中の母親は、より多くの水分摂取量を必要としますが、十分な量の水が入手できない環境は、母親と子どもの両方に甚大な健康リスクをもたらす可能性があります。
・脆弱な家庭への現金支給
5歳未満の栄養失調の子どもや妊産婦がいるような最も弱い立場におかれた家庭を対象に、栄養価のある食べ物を購入したり、病院への通院費などが支払えるよう現金を配布する支援を行っています。
・医療施設の修復や必要備品等の提供
スーダン・カッサラ州にある病院内の急性栄養失調安定化センターの修復や、病院での治療に必要な設備等を支援しています。地域の病院からの紹介を通じて、同州内すべての栄養失調の子どもを対象に、適切な治療やサービスを提供しています。当センターでは、毎月50~100人の子どもたちを受け入れています。
また、欧州連合(EU)の財政支援を受けて、スーダン国内および人々の避難先であるチャド東部のゲレダ地区にて、特に5歳未満の子供や妊婦や授乳中の女性のいる脆弱な家庭に対し、健康と栄養状態の改善に焦点を当てた活動を行っています。
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