生きるチカラを信じて支える ケア・インターナショナル ジャパンは、貧困の根源の解決に向け、災害時の人道支援を行うとともに、「女性や子ども」に焦点をあてた活動を通して、最も困難な状況になる人々の自立を支援しています。

パキスタン:シンド州における緊急衛生改善事業

期間
2007年8月~2007年12月
地域
パキスタン シンド州カンバー・シャダッドコット県ワラ郡
対象者
500世帯、約3,000人
ドナー
ジャパン・プラットフォーム、一般寄付
事業規模
約3000万円
水

水が引いた後、
避難所から村に戻ってきた人々。
住居が全戸なくなってしまった村もあり、
手に入る木材などで仮の住居を作って生活する被災者もいた

2007年6月に巨大なサイクロンがパキスタン南部を襲いました。このサイクロンは、大雨・高波・洪水を引き起こし、パキスタン西南部2州と山岳部1州に甚大な被害をもたらしました。災害から1カ月以上経っても、水没したままの被災地さえありました。この災害の発生を受け、ケア・インターナショナルジャパンは、7月13日~23日の間、スタッフ2名を南部のシンド州に派遣し、災害被害の調査を行いました。住居を失った被災者のうち、他地域に親類縁者のいる人々や経済的に余裕のある人々は既に別の地域に移っていましたが、頼る親類縁者がいなかったり、経済的に余裕のない貧困層の人々は、水の及ばない幹線道路沿いや川の土手などで、防水シートで屋根を作っただけの簡易テントで避難生活を送っていました。その数は、シンド州カンバー・シャダッドコット県内だけで、推定約17万。政府・国連・NGOなどによる被災地調査では、被災者の多くが家屋と共に衛生環境を維持する上で必須の生活用品、トイレや水場などの施設を失ったことが明らかになりました。安全な水やトイレが十分に確保されない状況の中、被災者の間で下痢や皮膚感染症など劣悪な衛生状態に起因する健康への悪影響が出ていました。

ケア・インターナショナル ジャパンはこのような状況をふまえ、ジャパン・プラットフォームによる事業助成金を得て、スタッフ1名をプロジェクト・マネージャーとして現地に派遣し、最も支援が届いていない地域の一つであったシンド州カンバー・シャダッドコット県ワラ郡で、衛生状態の改善による感染症の予防・治療・流行拡大の阻止を目的とした緊急支援事業を開始しました。

この事業では、前述の目的を達成して被災者の健康と命を守るために、「保健医療」「水・衛生」「物資配布」の3つを柱として活動を行いました。

「保健医療」の活動

巡回診療にて被災者の診察にあたる醫師

巡回診療にて被災者の診察にあたる醫師

避難キャンプにおける劣悪な衛生状況が原因で発生している下痢や皮膚感染症などに対応するため、医師・女性医師助手・医療専門家各1名から構成される診療チーム2チームが避難キャンプなどを巡回しました。支援が届いていない地域や女性と子どもが多い村を優先的に巡回し、基本的な治療を行うとともに、より高度な医療が必要な患者には設備の整った医療施設への照会も行いました。また、下痢などの水因性疾患・コレラ・マラリア・蛇による被害などのケースを監視し、感染症の流行を予防するための措置を講じました。診療チームは3カ月間に153箇所を巡回、協力NGOや村開発委員会との連携により、モスクの放送を使った事前告知活動が功を奏し、当初の見込みより45%増ののべ17,700人が診療場所を訪れました。この巡回診療を通して、母子保健と衛生環境に対する意識の向上が被災者の間に見られるようになっています。

「水・衛生」に関する活動

村に設置されたハンドポンプ式の井戸

村に設置されたハンドポンプ式の井戸

感染症を予防するために、安全な水と衛生状態を確保することが重要であるため、井戸とトイレの設置を行いました。当初は、避難キャンプに簡易なハンドポンプ式の井戸とトイレを設置する計画でしたが、水没した地域の水が引いた後、避難していた人々が予想以上に早く村に帰還し始めたため、避難キャンプではなく、村に恒久的に使用可能なハンドポンプ井戸とトイレを設置する計画に変更しました。最終的には、93箇所に150式のハンドポンプ井戸と1~3世帯に1式、合計250式のトイレを設置しました。現在、井戸は約2万人、トイレは約5,400人の人々に利用されています。



「物資配布」の活動

衛生状態の改善と安全確保を目的として、被災者のニーズに最も適合する12品目の衛生関連品(水浄化剤、水瓶、ふた付きのバケツ、石けん、蚊帳、マットレス、女性用生理用品、サンダルなど)を配布しました。住宅被害が深刻で生活再建がより困難な未亡人や高齢者などの500世帯を対象としました。物資の配布に関しては、計画段階から物資を受け取る被災者の選定・配布に至るまで、各村の村開発委員会の全面的な理解と協力を得て実施しました。

CAREの支援活動では、必ず住民や住民組織に計画段階から参加してもらうようにしています。今回のパキスタン緊急支援事業でも、被災者や住民組織にそれぞれの活動の計画・実施に関わってもらいました。それによって、保健医療活動では効果的な告知を行うことができ、より多くの人々が診療を受けることができました。また、「水・衛生」の活動では、事業開始前には想定していなかった被災者の早期帰還による彼らのニーズの変化にも柔軟に対応することができました。さらに、個々の被災者や住民組織が一体となり、計画・実施することで、住民間の結束・協力体制が強化されました。

また、今回の緊急支援事業では、現地のパートナーNGO(Family Planning Association in Pakistan、Pirbhat Women & Development Societyなど)、現地行政機関(シンド州保健局、ワラ郡行政府)、国連機関(WHO、ユニセフ)などと連携して、活動を行いました。それぞれの団体のもつ専門性や経験を組み合わせることによって、より効率的で効果的に活動を実施することができました。

4カ月間にわたって緊急支援事業を行った結果、被災住民の衛生状況を改善することができ、懸念された感染症の流行を未然に防ぐことができました。

*パキスタン・サイクロン緊急支援募金(受付期間:2007年7月~2007年12月)には、個人および企業の支援者の皆様から合計210万5979円が集まりました。皆さまの温かいご支援に心より感謝いたします。

村に設置されたトイレ

村に設置されたトイレ

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