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スリランカ:プランテーション居住者の生活改善事業(TEAプロジェクト)終了報告

ケア・スリランカ ヌワラエリヤ事務所駐在
TEAプロジェクト プロジェクト・マネージャー  栗原 俊輔

期間
2003年5月~2006年5月(3年間)
地域
スリランカ 中部山岳地帯の中央州およびウバ州
対象者
中央州およびウバ州における15の紅茶農園に居住する労働者およびその家族(ほとんどがインド系タミル人)、約9000世帯
関係者
スリランカ国プランテーション産業省、社会サービス提供団体
ドナー
国際協力機構(JICA)
事業規模
9,900万円(3年間)

2003年5月より3年間実施した「プランテーション居住者の生活改善事業(TEAプロジェクト)」は、今年5月7日をもって終了した。気がつけば事業終了、と思うほどの速さで過ぎた事業期間であったが、振り返れば思い出すことに枚挙にいとまがないほど充実した3年間であったと思う。

事業背景にあるさまざまな要因

写真提供:ハーシャ・デ・シルバ

(C) Harsha De Silva


プランテーション居住者の生活改善事業

プランテーションとは単一作物農業のことを指し、スリランカではイギリス植民地時代に導入された。このとき労働力とされたのが南インドのタミル人である。彼らはイギリス人によってスリランカ(当時のイギリス領セイロン)へ安価な労働力として連れてこられ、農園経営者にすべてを統括管理されて暮らしていた。イギリスからの独立後、イギリス人が占めていた経営側の役職は、主にスリランカの多数派であるシンハラ人の上流階級へと移ったが、農園に代々住み、農園内労働者として働くタミル系住民にとっては、支配層が変わっただけで、その労働・居住環境はプランテーションが導入された19世紀当時から何も変わっていない。

現在も彼らの子孫が労働者として同じプランテーション農園に住み続けている。生まれてくる子どもも中学を卒業すると同時に労働者として農園で働くという繰り返しが行われている。農園経営者の管理下にある生活という要因に地理的要因も加わり、農園内の生活は外部の地域社会から完全に隔絶したものとなっている。農園内には、中学までの教育機関や診療所など生活に必要な施設は整っているものの、今日のスリランカ国内の水準と比べてかなり見劣りがし、改修もあまり行われていない。また、日々の生活も単純労働の繰り返しで、さしたる娯楽もない中、男女を問わず飲酒に走る傾向があり、せっかく得た収入もその費用に消える家庭も多い。アルコール中毒は、農園コミュニティでは深刻な問題となっている。

前途多難な事業開始

以上のような背景のもと、この事業では、紅茶プランテーション農園に居住するタミル系住民の社会生活改善を目的として活動を行った。まず、インフォメーション・センターを各農園に設置して地方行政員と農園住民の定期的な接点を作り、住民の情報・社会サービスへのアクセスを可能にすること、さらに、農園経営者側をも巻き込み、円滑な公共サービスの提供および経営者自ら生活改善に取り組むことを目指して活動を開始した。しかし、「生活改善」と言葉で言うのは簡単であるが、その歴史的背景から、スリランカのプランテーション農園住民への事業実施は、開始当初から前途多難であった。

元来、農園経営者が農園内の職住を統括管理する制度に慣れきった社会であり、農園経営者側および農園住民の双方に対して事業への理解を求めることは想像以上に労力の要る作業であった。経営者側へは、プロジェクト・マネージャーをはじめ、チーム・リーダーなどが総動員で対象となる3つのプランテーション会社本部まで足を運び、事業の必要性を根気よく説明した。最終的に、現地で活動を開始するための覚書を交わしたのが、事業開始からすでに半年近く経ってしまったプランテーション会社もあった。また、各農園ではフィールド・スタッフが各居住地をまわり、住民に対してこの事業の趣旨を説明し、活動を開始することを知らせていったが、そもそもこのような事業の必要性を感じない住民も少なからず見られ、行政サービスの重要性やアルコール中毒の深刻さを説いて、理解を求める必要があった。

事業進行とともに得られた住民からの理解、経営者側の協力

経営者側の協力

さまざまな紆余曲折を経て、最終的には対象とする15のすべての農園にインフォメーション・センターが開設され、地方行政官が定期的にセンターを巡回し、情報・サービスを提供することが可能になった。またセンターでは、住民が、以前はほとんど得ることのできなかった政府・民間・NGOによるサービス情報についても知ることができるようになり、それらの活動を進めていく過程で、住民および農園経営者側からの理解と協力が少しずつ得られるようになった。また、出生証明書の発行巡回サービスや各農園でのミニ・プロジェクト実施の際には、住民の自主的な取り組みと経営者側からの金銭的および物資面でのサポートが得られ、無事に遂行することができた。

農園経営者およびプランテーション会社からの協力体制の変化には目を見張るものがあった。当初はこのような事業に対して懐疑的である、または、紅茶の収穫作業に及ぼす悪影響を心配する経営者やプランテーション会社も多かった。しかし、インフォメーション・センターなど「目に見える」成果が増えていくにつれて、この事業が農園コミュニティ全体に良い影響を与え、経営者側も住民の生活が改善されることで農園運営がスムーズになるなど、経営者側の利点も理解されてきた。

農園住民のさらなる生活改善、また生活向上を目指して

これらの成果をもとに、第二期として2006年7月より新しい事業を開始した。新事業「紅茶農園内住民組織の運営能力向上プロジェクト」では、既存の農園内住民組織を巻き込み、住民および農園経営者側にCAREがこれまで行ってきた役割を少しずつ渡していき、CAREが去った後も自主的に継続できる体制作りを目指していく。

■関連情報

後続事業の 「紅茶農園内住民組織の運営能力向上プロジェクト」終了報告

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