フェタウの木漏れ日
フェタウの木の下でポーズをとる農家のトアトルさん。CAREがサモアで実施する苗木配布プロジェクトの参加者の一人です。気候変動がサモアの伝統的な生活様式を脅かすなか、トアトルさんは、サイクロンの影響から土地と人々を守るフェタウの木の用途を学びました。フェタウの木はとても丈夫で海岸近くに植えると土地の浸食を防ぐのに役立ちます。また、サイクロンや雨季の大雨や強風による被害も軽減してくれます。
61パーセント。
これは、2021年にCAREが保有する画像のうち、男性によって撮影されたものの割合です。
同年、CAREが行った画像監査により、6割を超える画像が男性、そしてその多くが先進国出身者によって撮影されていたことが明らかになりました。CAREの組織内公約のひとつに「ローカルの女性人材に投資する」ことが掲げられており、フォトグラファーの採用においても、その追及を進めています。その結果、翌2022年の監査では、男女比が逆転し、64パーセントの画像が女性、その多くが途上国・新興国、いわゆるグローバル・サウス出身のフォトグラファーによって撮影されたことが確認されました。
奇しくも、今年の国際女性デーのテーマは、「DigitALL: Innovation and technology for gender equality(ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー)」。
本展では、貧困、気候変動、出口の見えない紛争、そして感染症の世界的流行など、今、人類が直面している社会課題を、写真というテクノロジーを用いて伝えている女性フォトグラファーの作品を紹介します。
本展は、より多くの方に、時間や場所を気にせず、ゆっくりとお楽しみいただけるようオンラインにて、2023年3月1日(水)から同31日(金)まで開催させていただきます。
ぜひ、サモア、シエラレオネ、バングラデッシュ、ホンジュラス、そして世界各地の難民キャンプなどで、イノベーションとテクノロジーを用いて「今をいきる女性たち」と「明日をつくる女子たち」の姿をご覧ください。
開催期間 | 2023年3月1日(水)~3月31日(金) |
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会場 | オンライン開催 本サイトにて展示作品を公開 |
ここで展示されている作品は、すべて女性フォトグラファーによるものです。
フォトグラファーの紹介とともに、作品の背景ストーリーを紹介します。
作品は、「今をいきる女性たち」と「明日をつくる女子たち」に分かれています。
貧困、気候変動、紛争、そして感染症の世界的流行などの社会課題に対し、イノベーションを駆使して人生を切り開いている女性たちの姿をご覧ください。
フェタウの木漏れ日
フェタウの木漏れ日
フェタウの木の下でポーズをとる農家のトアトルさん。CAREがサモアで実施する苗木配布プロジェクトの参加者の一人です。気候変動がサモアの伝統的な生活様式を脅かすなか、トアトルさんは、サイクロンの影響から土地と人々を守るフェタウの木の用途を学びました。フェタウの木はとても丈夫で海岸近くに植えると土地の浸食を防ぐのに役立ちます。また、サイクロンや雨季の大雨や強風による被害も軽減してくれます。
繊維工場にジェンダー平等を
繊維工場にジェンダー平等を
バングラデシュ、ガジプールの繊維工場で欧米ブランド向けの服を縫製している繊維労働者たち。CAREは、この地域で、2,200人の女性を対象に「女性労働者の能力向上プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトは、工場で指導的役割を担う女性縫製労働者の数を増やすことを目指すとともに、職場におけるジェンダー平等の達成に向けて、女性が直面する障害を取り除き、自分自身の人生をコントロールできるように支援しています。また、女性労働者が職場の委員会で発言し、リーダーとしての役割を果たせるよう、経営陣とも連携しています。
コロナ禍をいきる
コロナ禍をいきる
世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、CAREは、西アフリカの5か国において、女性フォトグラファー支援の一環として、女性写真家によるコロナの影響を記録するプロジェクトを実施。写真家のファトマタさんは、同じくコロナの影響を受けたシエラレオネの女性たちの日常を切り取り続けました。写っているのは、首都で果物の屋台を営むメムナツさん。外出制限により、地方から仕入れる果物の価格が高騰し、彼女のビジネスにも影響を及ぼしています。食費を切り詰めて、その日暮らしを送っています。
すべての人に健康を得る権利を
すべての人に健康を得る権利を
ネパールのダンガディ近郊の村で毎月開催されている妊婦健康集会で、生まれたばかりの赤ちゃんの計測方法を女性たちに実演するコミュニティヘルスワーカーのガンガ・デヴィさん。CAREは、すべての人が健康を得る権利と生殖に関する自己決定権の両方を有していると考えています。そして、複合的な保健事業を通じて、個人、社会、構造レベルでの障壁に対処しています。2030年までに、5,000万人の人々が健康を得る権利を行使し、3,000万人の女性が、性と生殖に関する健康と権利を行使できるようになるよう取り組んでいます。
女性が女性をエンパワメント
女性が女性をエンパワメント
エルバさんはホンジュラスのコーヒー農園の経営者兼オーナー。21歳のときにアメリカに出稼ぎに行き、帰国後はタマル*を売りながら、農園の購入費を貯めました。今は、3人の子を育てながら、コーヒーの品質の管理に心を砕いています。彼女のコーヒー農園で働く従業員のおよそ7割は女性。積極的に地元の女性を採用し、コミュニティ・リーダーとしても地域経済の発展にも貢献しています。
*タマルとは、とうもろこし粉にラードを混ぜて練り、肉やチーズ、野菜などを包んでとうもろこしの皮で巻いて蒸した中南米の伝統食
私たちもポンプ整備士になれる
私たちもポンプ整備士になれる
ジンバブエは過去10年で深刻な干ばつに見舞われ、国の人口の半数にあたる800万人の人々が食糧不足に苦しんでいます。CAREは、干ばつに耐えている地区の一つのチヴィ地区で、女性たちにポンプ整備士になるためのトレーニングを提供し、技術の習得を支援しています。「女性と女子を水・衛生と健康の中心に」と呼ばれるこのプロジェクトは、井戸の修復と衛生習慣に関する教育によって、安全な水を必要とする人々に水を提供することを目的とし、女性はポンプの整備士として訓練を受け、女子は学校の保健クラブに参加するよう奨励されています。訓練を受けているエミリー・マクギネスさんは、「干ばつのような厳しい時期には、人々が結束して助け合うことが必要」と力を込めています。
60か国以上に拡がるVSLA
60か国以上に拡がるVSLA
南スーダンのボル県アゴットバルの自宅前で、ミシンを動かしているのは仕立て屋のメリー・ゴフ・マビオルさん。村内貯蓄貸付組合(VSLA)のメンバーです。VSLAはCAREが1991年に⻄アフリカのニジェールで始めた仕組み。15~25人のメンバーで構成され、貯金と小規模貸付を行い、返済金の利息がもたらす収益をメンバー間で分け合う仕組み。従来型の銀行には融資してもらえず、マイクロファイナンス機関も利用できないほどの僻地では、現地の銀行として機能しています。今では、60か国以上に広がり、メリーさんのような女性の自立を支えています。
包摂的で公正な世界を
包摂的で公正な世界を
エクアドルのグアヤキルに暮らすアンディ・アバドさん(写真右)はトランス男性です。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって職を失い、パートナーのアレクサンドラさん(写真左)と彼女の2人の子どもとともに、アンディさんの叔母のいるこの地区の中心部の小さなアパートに引っ越し、二人でレストランを開業しました。しかし、そのレストランは略奪され、盗まれたものは取り戻せず、そのため多額の借金を抱え、将来の計画も立てられないでいます。世界中で人道支援を必要とする人々の数は、気候変動による緊急事態、紛争、現在進行中の新型コロナウイルス感染拡大によって悪化し、前例のない水準に達しています。CAREは、2030年までに、危機の影響を受けた5,000万人に支援を届けられるよう、現地パートナーと協力しています。
難民キャンプなど過酷な環境におかれても、希望を失わず、未来を見据え、ライフスキルを身につけている女子たちの姿をご覧ください。
難民キャンプのその先
難民キャンプのその先
ヨルダンのアズラック難民キャンプを自転車で走る抜けるシドラ・アル・ジャベルさん。彼女たちはいわゆる都市型難民で、一家は両親とシドラさんを含む8人の兄弟とともに、シリアのホムスから逃れてきました。CAREは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と連携し、キャンプ内のコミュニティセンターを運営しています。このセンターの主役は難民自身。難民のボランティアが自身のスキルを活かし、講座を開設しています。コロナ禍で人気なのは、EメールやZoomのようなオンラインツールを学べるパソコン講座。センターは、生活に必要なスキルを学べる交流の場になっています。
女子たちの身になって歩く
女子たちの身になって歩く
水いっぱいの瓶を頭にのせて運ぶバングラデシュのバルカリ難民キャンプの女子。この難民キャンプには、10万人以上の人々が暮らしており、その多くがミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民です。難民キャンプでは、水を汲むために毎日遠くまで歩かねばならず、その仕事を担うのは主に女性や女子。女性は男性の2.3倍もの時間を水汲みに費やしています。ケア・インターナショナル ジャパンは、毎年、国際女性デーに、水汲みのために毎日歩かなければならない女性や女の子たちの身になって歩く、シンプルで健康的な国際協力、歩く国際協力「Walk in Her Shoes」を開始しています。ぜひ、私たちと一緒に歩いてみませんか。
女性や女子特有のニーズへのきめ細やかな対応
女性や女子特有のニーズへのきめ細やかな対応
ギリシャのピレウス港は、同国最大の港で、年間2,000万人が利用するヨーロッパ最大かつ世界第2位の旅客港。多くの難民も押し寄せています。このような非公式の難民キャンプでは、およそ2,500人が過密なテントで生活しており、衛生設備も不十分でプライバシーも完全に失われています。このような環境下では、女性と女子は、男性とは異なる形で影響を受けます。CAREは、緊急支援において、男女それぞれの課題やニーズの洗い出しを行ったうえで支援し、女性や女子特有のニーズへのきめ細やかな対応を行っています。
質の高い教育をみんなに
質の高い教育をみんなに
ネパールのルパンデヒ州バイラワハ近郊の学校に通う女子。CAREは、2030年に向けて世界が合意したSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて取り組んでいます。そのうち、目標4「質の高い教育をみんなに」に向けては、ネパールを含む20か国で、これまでに、400万人の子どもたちがより質の高い、またはより包括的な教育サービスを受けられるよう支援しました。
ライフスキルを身につけて
ライフスキルを身につけて
シリア情勢の悪化に伴い発生したシリア難民は、隣国であるイラク国内、特にシリアに隣接するクルディスタン地域に大量に流入し、その数は 20 万人を超える状況となっています。同地域のザクホ市近郊の避難民キャンプには、26,736人が避難しています。キャンプ内で、CAREが運営する学習教室から歩いて帰宅する女子たち。CAREは、特に女子たちを対象に、避難生活後に必要なリーダーシップやマーケティングスキル、そしてライフスキルなどを身につける機会を提供しています。
家庭内労働者に基本的権利を
家庭内労働者に基本的権利を
グアテマラ西部高地の街角で弟の世話をする女子。CAREは、同国で、このような女子たちを含む家庭内労働者(家事労働者)たちの互助会組織の設立を支援しています。また、それと同時に、世界中の家庭内労働者の基本的権利を定めた国際労働機関第189号条約を批准するよう、グアテマラ政府への働きかけも行っています。
女子がスポーツをすることは大切
女子がスポーツをすることは大切
ヨルダンのアズラック難民キャンプにあるCAREとUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が共同運営するコミュニティセンターの女子向けのテコンドー教室で、柔軟性を発揮しているのはシリア難民のサハルさん。「お兄ちゃんは、女子がテコンドーをすることを本当は許してくれていないけど、毎日通っているの。テコンドーをしていると時間があっという間に過ぎてしまうの。女の子がスポーツをすることは大切よ」と語ってくれました。
私たちにできることはたくさんある
私たちにできることはたくさんある
はにかんだ笑顔を見せるベウラさんは、パプアニューギニアのブーゲンビルでCAREの「BECOMESプロジェクト」に参加するサマンサさんの4人の子どもの3番目。パプアニューギニアの主要な輸出品はコーヒーとカカオ。CAREは、小規模のカカオやコーヒー農園で労働力の大半を提供する女性に対し、農業で得た収入や農地の管理方法を伝えています。「CAREを通して、私はお金を稼ぐ方法、計画、予算、家族の世話の仕方など、多くのことを学びました。そして、一番大きな学びは、カカオの農作業は男性だけでなく、私たち女性にもできることがたくさんあるということです」と、サマンサさんは大きな笑みを浮かべました。
本件に関するお問い合わせ
公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン
03-5950-1375
ケア・インターナショナル ジャパンは、世界100か国以上で人道支援活動を行う国際NGOケア・インターナショナルの一員です。 災害時の緊急・復興支援や「女性と女子」の自立支援を通して、貧困のない社会を目指しています。
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