【定期通信トピック】ウクライナ侵攻から2年: 最前線での暮らしは「毎日が宝くじ」
CAREは2022年3月にウクライナにおいて活動を開始しました。
そして、過去2年にわたり、CAREは活動を通じ、120万人以上の人々に、生存に必要なものを届けてきました。当初は国内避難民のための住宅と基本的ニーズに重点をおいていましたが、現在では心のケアの支援、ジェンダーに基づく暴力、紛争に関連した暴力、住宅再建、緊急事態における女性のリーダーシップ育成などの取り組みを拡大しています。また、最前線地域における給水網の復旧にも取り組んでいます。
自分たちの暮らしは、「宝くじ」
終わりの見えない紛争は前例のない困難をもたらし、今なお、最前線にいる何百万人もの人々が恐怖のなか、不確実で悲惨な生活環境と闘っています。CAREは、特に、最前線の近くで暮らす330万人以上の人々、そのうち80万人の子どもを含む人々の状況を憂慮しています。
「最前線にいる人々は、自分たちの暮らしが宝くじになったといいます。住民たちは、水を汲んだり、高齢の親族を支えたり、薬やパンを買ったりするような重要な活動のためだけに、短い距離しか外出しません」と、CAREウクライナ事務所のファブリス・マーティン所長はいいます。
「家を出るとき、攻撃されるかもしれない、地雷を踏むかもしれない、帰ってきたときに家がまだ建っているかもわからないのです。これが今の、何百万人ものウクライナの人々の厳しい現実なのです」
CAREは戦火の激しい東部・南部地域の人々にも支援を届けています
ウクライナの東部と南部では、300万人以上の人々が砲撃と欠乏の悲惨な現実に毎日耐えています。基本的な生活設備を奪われ、多くの人々が寒く暗い地下室に閉じこもり、暴力と移住の絶え間ない脅威に直面しています。
特に、民間インフラへの被害は壊滅的で、1,523の医療施設、1,600の学校、400近くの橋が瓦礫と化しました。電気や水道のような重要なライフラインも壊滅的な打撃を受け、人道的危機を悪化させています。この破壊により、ウクライナの最も被害の大きかった地域では、72万人近くが適切で安全な住居を確保できない状態に陥っています。
この2年間で、紛争により400万人近くが国内避難民となりました。国連の人道的対応計画によると、2024年にはウクライナの人口の約40%にあたる1,460万人が人道支援を必要とするとしています。
オルガさんのストーリー
戦火中にあるウクライナではダムや貯水池が破壊され、水道インフラが大きな被害を受けました。このため、安全な飲み水を手に入れられない人々が、給水トラックを待ち続けたり、飲み水が手に入る場所まで水を汲みに行かなければならない状況です。
スヴィアトヒルスクでは、CAREのパートナー団体が、いくつかの貯水タンクを設置し、住民に清潔な飲料水とシャワー、掃除、調理用の水を供給しています。また、CAREの支援でランドリーも設置され、スヴィアトヒルスクで洗濯ができる唯一の場所となりました。
55歳のオルガさんは、自宅に井戸がないため、家族のために1日分の水を汲みに行く必要があります。
「毎朝8時に起きて、150リットルの水をバケツで家まで運びます。料理や掃除、シャワーや飲み物を作るのに、家族が毎日必要な水だからです」
特に弱い立場におかれた「女性や女子」へのフォーカス
この紛争の影響は、特に女性と女子に壊滅的な打撃を与えています。家族が離散し、保育施設は不足し、学校は閉鎖され、社会的サービスが低下するなか、彼女たちは、特に子どもや高齢の親族のために、無報酬の介護責任を負う負担が増えています。
女性や女子など弱い立場の人への性的搾取を防ぎ、トラウマを緩和するためにも、CAREは、これからも、ウクライナの人々に寄り添い、心のケアを含む支援を継続していきます。
©︎Juozas Cernius/CARE
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