「インド:新型コロナウイルス感染症緊急支援事業」の活動報告とお礼
2021年8月から2021年12月までの5か月にわたり、インド・ジャールカンド州の1,000村において実施しました本事業の活動をご報告させていただくとともに、実施にあたり、皆さまからいただいたご支援に対し、この場をお借りして、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
本事業においては、主に、長期に及んだ学校閉鎖で失われた学びを補うとともに、新型コロナウイルス・ワクチン接種の促進に取り組みました。
新型コロナウイルス感染症拡大の幾重の波をうけ、ジャールカンド州では2学期連続で学校が閉鎖され、初等学年(6~10歳)に在籍する2,500万人以上の児童たちの学習状態が低下しました。実に、82%の児童が過去に学んだ国語と算数の能力が失われたと報告されるなど、学習面での影響も深刻でした。同州では、独自のアプリを導入し自宅で学べる教材をダウンロードできる措置をとったものの、CAREの調査では、親の携帯を使ってオンライン教育にアクセスできる児童は29%以下という結果でした。
これに対し、3つの地区の学校運営委員会(4092人(30%女性))を通じて、各村にコミュニティ学習センター*を設置しました。センターの運営にかかる研修を教師865人(231人女性)に対して行うとともに、最低限の教育の資格を満たすボランティア(1826人(1187人女性))を各村およそ2名ずつ育成し、ボランティアによる児童への補習を行いました。各センターには、学習セット(物語カード、言葉カード、絵札、数字カードや文具)と自習用の国語と算数のワークシートを提供したほか、保護者100,000人を対象に、休校中に子どもが示す不安や家庭内暴力のリスクについて説明するとともに、子どもの情緒や栄養ニーズに関する意識啓発も行いました。
事業の最終評価では、数学と国語における児童たちの学習レベルが大幅に向上していることが示されました。
*コミュニティ学習センターでは、誰もが安心安全に利用できるように、新型コロナウイルスの感染の予防と同時に、性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護に対する理解促進と実践について徹底しました。具体的には、部屋の換気、児童とボランティアへのマスクの提供、体温計の設置、手指消毒液や石鹸の配置、20人以下での集まりを励行。目につきやすい場所に安全ガイドラインも展示しました。
また、苦情受付箱の設置ほか、事業関係者(事業スタッフ、学校運営委員、ボランティア、教師、ヘルスボランティ等)を対象とした保護についての啓発活動を実施。事業チームが事前告知なしに同センターを訪問するなど、在席児童に及ぶリスクの把握と未然防止にも努めました。
新型コロナウイルス・ワクチン接種については、複数の州において多様なワクチン接種アプローチ/戦略を実施し、ワクチン接種率を加速させるための支援を行いました。
インドにおいてワクチン接種が遅れていた原因の一つは、ワクチン接種への「ためらい」でした。信頼されている人物がワクチン接種を提供することによって、この「ためらい」を克服するのに役立ちました。
例えば、ワクチン接種をためらう人が多い地域においては、ワクチンについての誤解や偏見などを是正するための啓発活動を行うとともに、複雑なワクチン輸送の運営や技術指導を行うことにより、接種の需要と供給の時差が生じないように支援しました。実に、訓練を受けたワクチン提供者らは、予防接種を行う専用車など安全な接種の場を確立することによって、時間をかけて、地域の人々の信頼を得て、ワクチン接種をためらう受益者が自信を持って接種を受けられるような状況を醸成しました。その結果、特に弱者、取り残された人々、支援が届きにくい地域に住む人々への接種を優先させることができ、効果的に対応することができました。
改めて、この事業をご支援くださった全ての皆さまに心より感謝を申し上げます。
©︎Juozas Cernius/CARE
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