世界難民の日:ダダーブ難民キャンプの飲料水問題 ―難民とNGO職員のリアル
来る6月20日の「世界難民の日」によせて、ケニアにある世界最大級のダダーブ難民キャンプからCAREドイツ・CAREオーストリアの緊急連絡調整官のサラ・イースターが「子どもたちの歯と歯の間にはさまる泥 ―毎日300人の新規到着者により飲料水資源が足りなくなっている」とのレポートを送ってきました。
そのうちの一人がファトゥマさんです。私は彼女の家族の小屋の土間に座り、上を見上げます。古びた青いドレス、緑のスカーフ、チェックのショールなど、色とりどりの布が目に飛び込んできます。それらはすべて、家の屋根である大きな毛布を支えている枝の間の穴を覆っています。ファトゥマに「家族はどこで寝ているの」と尋ねると、彼女は床を指差しています。8人の家族が暮らしています。5人は外の広い空の下で寝ています。雨が降ったらどうするの」と尋ねると、彼女は赤い長いガーバッサー(ソマリアの女性が上半身を覆うために着るショール)を指差します。その下に3人の小さな孫を入れ、一緒に雨が止むのを待ちます。そして、自分たちの頭の上に家が倒れてこないようにと祈ります。ファトゥマさんからそう聞かされたとき、私が思い浮かべたのは、前夜のことです。ファトゥマさんが孫を服の下に抱きかかえ、子どもたちの頭の上で屋根が崩れている間、私は石壁でできた建物のベッドで寝ていました。雨が降り始めたことを喜び、安定した屋根に落ちる雨粒の音に癒されていました。
難民居住区に向かう途中、深い水域を車で走ります。先週の大雨で、道路は完全に水没してしまいました。車輪の回転が速く、路面へのグリップが失われ、車が再び固い地面に触れるまでの数秒間、ドリフトし始めるのです。同じ道を、人道支援物資を必要としている人たちに届けようとする人たちが移動しています。水面下の深い泥の中で立ち往生しているトラックとすれ違います。私は、小屋の中で生きるために必要な援助を待っている家族のことを想像します。どれだけの食糧トラックが遅れをとり、またこの時間にどれだけの安全な飲料水を積んだトラックが空の水タンクを満たし始めることができなくなってしまっているのだろうか。
紛争や災害が発生した際には、初動が非常に重要です。そして、初動活動には、通常の開発事業とは別に、緊急時に直ちに拠出できる資金(プール資金)が必要です。予測が難しい地震、津波、台風、サイクロン、洪水、干ばつ、そして感染症の拡大など、世界各地で多発する自然災害に加えて、長期化する紛争等による難民や避難民の深刻な人道危機などへの迅速かつ効果的な対応にあたり、平時からの資金の確保が不可欠で、円滑な初動活動を行えるよう、「緊急支援基金」へのご支援が必要です。 国内外で今後起こり得る災害等における初動(緊急調査や緊急支援活動等)への活動資金として、有効に活用させていただきます。
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