2025年 最も報道されなかった人道危機トップ10 ―誰が気にかけるのか

CAREオーストリア・CAREドイツ 2026年1月
2016年以降、CAREは、世界で最も見過ごされた人道危機トップ10にかかる危機報告書を毎年発行してきました。この報告書は状況の変化とともに進化を遂げてきました。過去の報告書は、見過ごされた苦難に注目し、行動を促すものでした。今日、CAREの危機報告書は、分析と解決策により強く着目し、中央アフリカ共和国の紛争・避難民問題、ナミビアの100年に一度の深刻な干ばつなど、2025年にメディアで見過ごされた危機に光を当てています。
| アンドレア・バルシュドルフ=ハーガー博士(CAREオーストリアCEO)による序文
今年は節目の年:CAREは、過去1年間で最もメディアの注目を浴びなかった10の人道危機に関する危機報告書を10回目となる発行を迎えます。2025年のメディア分析は厳しい現実を浮き彫りにしています:およそ4,300万人が、世界的な公衆の目にほとんど触れない危機の影響を受けています。
中央アフリカ共和国、ザンビア、ホンジュラスなどの国々では、紛争、飢餓、異常気象が人々の生活を破壊しています。しかし、世界のメディア報道を支配しているのは他の危機です。分析対象となった500万件の人道危機関連オンライン記事のうち、ほぼ半数がガザ紛争のみに焦点を当てています。
危機が可視化されない場合、資金調達はしばしば実現しません。2025年には人道支援と開発協力のための世界的予算が削減され、危機に直面する地域の人々にとって食料も医療も希望も減少しました。
この第10版では、過去10年間に忘れられた危機の認識がどのように変化したのかを振り返り、今後の展望を問うものです。
あらゆる統計の背後には人間がいます。本報告書は、国際社会に対し、優先順位を見直し、こうした声に耳を傾けるよう訴えるものであります。
| CARE危機報告書の10年
回顧:2016年~2025年
10年にわたり、CARE危機報告書は、世界で最も緊急の人道危機を追跡するだけではなく、それらをどう語るかも記録してきました。そのタイトルさえ物語っています。最初の報告書は「沈黙の中の苦しみ」と題し、人道危機下で人々が経験する見過ごされがちな苦難に焦点を当てました。続く「沈黙を破る」では、勢いと力強さ、そしてより大きな可視化を求める要求が強調されました。
現在、この報告書は単に「CARE危機報告書」と呼ばれています。この変化は分析を中核に据えています:データ、事実、そして最初から真実であり、今も真実である明確に記録された洞察。私たちが耳にしたり読んだりしないことは、しばしば存在しないように思えてしまうのです。
| よりよいものに向けて何が変わったのか
私たちの社会では、言葉の力に対する認識が高まっています。平等にかかるが行われ、差別的なパターンが問われ、構造的な人種差別、多様性、植民地主義的思考、地球規模の責任といった課題に直面する機会が増えています。過去10年間で「フレンズ・フォー・フューチャー」や「#MeToo」、そして「ブラック・ライブズ・マター」運動の強化といった動きが、社会の意識は変化し得ることを示してきました。つまり、視点は広がり、新たな認識が生まれる可能性があるのです。
CAREが求めるのは、まさに人道危機の見方におけるこうした転換です。メディアの報道は、災害の規模が十分な注目を集めるほど大きくなってからようやく始まることが多いです。ジャーナリズムの観点からは理解できるものの、被災者にとって公平とはいえません。世間の関心が移り変わる一方で、彼ら・彼女らの苦難は続くのです。
同時に、メディア環境そのものも進化しています。否定的な報道だけではなく解決策に焦点を当てる建設的ジャーナリズムが重要性を増しています。ソーシャルメディアを通じて、被災者の声が直接、本物として、もはや仲介者を通さずに届くようになっています。現代の技術は、ジャーナリストが現地に赴けなくても、危機地域に関する洞察を得たり直接連絡を取ったりすることを可能にしています。
これにより、より大きな近接性と対等な立場での交流が生まれます。特に女性たち、危機や災害時にはより大きな責任を担い、家族を安定させ、コミュニティを組織する役割を果たすことが多い人たちが、リーダーシップの役割においてより可視化されつつあります。
今こそ、この進展を継続的に強化することが極めて重要です。可視化されることは尊厳の問題であり、人道危機下にある人々が必要な支援を受けるための前提条件です。注目が集まらない場所では、変化のための資金も往々にして不足します。
第10回CARE危機報告書を通じ、私たちは再び注目を集める一助となることを目指します。人道危機下の人々が忘れ去られることなく、新たな視点が生まれるよう、注視していきましょう。
見られることは尊厳の問題なのです。
| メディア分析
本報告書におけるCAREの分析は、世界中のおよそ34万5千のオンラインメディアへのアクセスに基づいています。CAREはまず、100万人以上に影響を与える世界中の人道危機のリストを作成。次に、これらそれぞれの危機が1年を通じどれほど頻繁に報道されたかを調査します。総計500万件に上るメディア記事の総数を特定した後、それぞれの危機をランク付け。この順位付けにより、特にメディアの注目度が低かった危機と、最も注目された危機を特定することが可能となります。
メディアは些細な出来事や億万長者の活躍を好んで報じる一方、重大なのはこうした物語が語られない時、資源が枯渇することです。米国の人道危機向け資金は長年減少傾向にあります。2025年には世界的な援助予算が突然激減しました。その結果、支援プログラムが打ち切られ、食糧配給量は半減し、重要な医療物資が枯渇し、現地対応の要である女性が主導する組織が苦境に立たされています。
メディアが危機を報道する判断は、その国際的重要性の認識、高い安全リスク、必要な現地リソースの不足に左右されることが多い。危機の影響を最も受けている人々が自らの物語を共有できるとき、あなたの注目と支援が重要となります。
CAREのミシェル・ナン会長兼CEOはこう明言します。「CAREの活動は単純な信念に基づいています。世界の注目があるかどうかにかかわらず、最も必要とされる場所に存在しなければなりません。多くの人々がほとんど、あるいは全く注目されないまま苦しんでいます。しかし全ての命は等しく、私たちはケアするだけでなく、そのケアを行動に移す道義的義務を負っているのです」
| オンライン記事数(2025年1月1日~9月30日)

・中央アフリカ共和国 — 1,532件
・ナミビア — 2,379件
・ザンビア — 2,980件
・マラウイ — 3,436件
・ホンジュラス — 3,533件
・北朝鮮 — 4,075件
・アンゴラ — 4,132件
・ブルンジ — 5,879件
・ジンバブエ — 5,905件
・マダガスカル — 6,210件
| 提言
報道の自由を守る:ジャーナリストが独立して報道し、偽情報を効果的に打ち消すためには、安全で自由な労働環境が必要です。
現地取材を可能にする:危機地域の人々との直接接触が真実の報道を生みます。現地および国際的な支援団体が仲介役となり、アクセスを促進できます。
資源を確保する:質の高いジャーナリズムには、十分な財政的・組織的能力が不可欠です。
批判的ジャーナリズムを促進する:購読、寄付、メディア消費の省察を通じて、読者は独立系ジャーナリズムを強化し、固定観念的な物語に異議を唱えられます。
影響を受けた人々に自らの物語を語らせる:女性、女子、周縁化された集団の可視化・可聴化された物語は視点を広げ、現地にいなくてもデジタルチャネルで共有できます。
現地組織の強化:現地パートナー組織は被災コミュニティと直接連携し、文脈理解と専門知識を通じて報道を深化させます。
女性リーダーの可視化:危機管理の主要な担い手である女性たちの指導的役割は、より高い可視性と評価に値します。
| 援助削減の影響
人道危機への資金提供は長年減少傾向にありましたが、2025年は世界的な援助予算が突然激減する形で幕を開けました。この削減が多くの国で致命的な影響を及ぼしていることが明らかになりつつあり、人道危機に直面するコミュニティが最も深刻な打撃を受けています。食糧援助配給量を半減せざるを得ない状況で飢餓が増大しています。レイプやその他の紛争関連性暴力の生存者に対し、さらなる被害や致命的な疾病を防ぐために必要な検査キットが枯渇しました。
地域に根ざし、危機にある女性のニーズに対応する最適な立場にある、女性主導の専門パートナー組織の多くが、完全に閉鎖される危険に直面しています。世界中で救援プロジェクトが終了し、経験豊富な援助従事者が職を失っています。
本報告書で取り上げられているような、注目を浴びない場所で危機の生存に苦しむコミュニティにとって、人道支援資金のこの劇的な削減は、彼ら・彼女らの苦しみを増大させています。
1. 中央アフリカ共和国
・中央アフリカ人の5人に1人が避難民
・人口の80%が貧困の影響を受けています
・240万人が人道支援を必要としています
紛争と避難民問題
中央アフリカ共和国には多くの宝があり、ユネスコ世界遺産も2か所あります。密林が広がるサンガ三国保護区と広大なサバンナ景観と生物多様性に富む生態系を有するマノヴォ・グンダ・サン・フロリス国立公園。ダイヤモンド、金、ウランなどの豊富な鉱物資源に恵まれているにもかかわらず、同国は世界で最も貧しい国の一つであり、人口の80パーセント以上が貧困状態にあります。
暴力による避難民の増加
12年以上にわたり続く紛争が、同国の人道危機を悪化させています。病院や学校を含む民間人やインフラへの攻撃が繰り返され、避難民を生み出しています。中央アフリカ人の5人に1人が避難民。44万2千人以上が自国内で国内避難民として生活し、およそ66万5千人がカメルーン、チャド、コンゴ民主共和国、南スーダンなどの近隣国で難民として暮らしています。
同時に、この国自体には他国での暴力や抑圧から保護を求めてきた難民がおよそ5万3000人滞在しています。
女性と女子たちが危機の最も深刻な影響を受けています。水汲みや薪集め、家族の養いといった役割を担わねばならず、その多くは安全でない環境下で行われています。特に難民や緊急避難施設では性的暴力が増加傾向にあります。
人道支援資金不足
人口の半数以上にあたるおよそ240万人が人道支援に依存しています。その一方で、国際的な支援削減により、中央アフリカ共和国国民への支援は大幅に減少。同時に、武力紛争が人道支援活動家の活動を妨げています。2025年1月から9月にかけて、98人の人道支援活動家が危険にさらされ、1人が死亡しました。
2. ナミビア
・小麦収穫量が83.7%減少
・農村人口の80.4%が機能する衛生施設を利用できていません
・人口の37%が失業状態
100年に一度の深刻な干ばつ
ナミビアは干上がっており、それは人々と自然にとって深刻な結果をもたらしています。2024年に始まり2025年まで続いた100年に一度の深刻な干ばつにより、降雨量の減少と高温が相まって水不足が発生。家畜が死亡し、農業生産量が激減しました。2024年10月から2025年3月にかけての小麦収穫量は前年比83.7パーセント減。人口の3分の2以上が農業に従事する同国にとって、これは壊滅的な打撃です。2025年3月までに、国内でおよそ130万人が食料不安の影響を受けました。幸い、2025年10月のIPC(統合食料安全保障段階分類)報告書によると、降雨量の増加と収穫量の向上により、状況は年内に改善しました。
水不足とその影響
干ばつの影響は農業をはるかに超えます。特に農村部では、5人に1人しか基本的な衛生施設を利用できていません。水不足により汚染された飲料水を摂取せざるを得ない人々が増え、疾病の増加を招いています。ナミビアの「死亡率と死因に関する報告書(2018-2021年)」によれば、近年では5歳未満児の全死亡の10パーセント以上が下痢性疾患に起因しています。
女性のリーダーシップと緊急の解決策
ナミビアは2025年、政府の三つの最高職に女性政治家を擁する世界で唯一の国として、感動的なニュースの見出しを飾りました。この先駆的なリーダーシップは草の根レベルにも反映され、多くのナミビア人女性が地域社会における平等向上と貧困削減の取り組みを主導しています(国連人道問題調整事務所)。気候変動と頻発する異常気象を踏まえ、住民をより良く保護し長期的な生計を確保するためには、持続可能かつ迅速な解決策が緊急に必要とされています。
3. ザンビア

カロモ地区リムブワB村で、14歳のルムノ・ムレヤと祖母メイブル・ムンサカ・シアルウィンディ
・120万人が深刻な食料不足の影響を受けています
・人口の半数以上が貧困ライン以下で生活
干ばつと洪水
ビクトリアの滝では平均毎秒約108万リットルの水が落下。これは150リットル入りの浴槽およそ7,200個分に相当します。ビクトリアの滝の巨大な水流は世界的に知られる一方、ザンビアの他の地域で発生する洪水はほとんど注目されていません。
「これほどの雨は見たことがありません」と農家のマイクは振り返ります。「ダム決壊の数日前から雨が降り続きました。突然、大きな轟音とともに全てが消えました」彼の畑に生えていた3メートルの木々は完全に水没しました。
2025年2月、ザンビア北部で別のダムが決壊しました。この洪水は家屋や農地を流しただけではなく、銅鉱山から5,000万リットルの酸性廃水をムワンバシ川に流出させました。この川は数百万人の飲料水源として極めて重要です。
気候変動に強いトウモロコシ
洪水は生計手段を破壊。干ばつ、害虫被害、食料価格高騰が相まって、人口のおよそ12パーセントにあたる120万人以上の人々が深刻な食料危機に陥りました。
「過去3回の収穫期で、収穫はほとんどゼロでした」と小作農のブーンバはいいます「気温は上昇の一途をたどり、雨は遅すぎるか、あるいは激しすぎる。もはや『普通の天気』なんて存在しません」
CAREのプロジェクトを通じて、ブーンバは気候変動に強い品種でビタミンAが豊富なオレンジトウモロコシの種を植えました。「洪水で生き残ったのはこれだけでした」と彼女はいいます。「白いトウモロコシは全滅したが、オレンジトウモロコシが私たちを救ってくれました」
環境変化への適応
気候変動の影響は、農業に依存する女性や高齢者に特に深刻です。彼ら・彼女らは、干ばつと洪水、作物の不作と飢餓という両極端の狭間で苦しんでいます。
環境変化の影響に対抗するため、女性たちが主導権を握るケースが増えています。「CAREの研修に参加し、植樹や菜園作り、貯蓄の方法を学びました」と農家のフェビーはいいます。「木は炭や土壌改良、日陰、薬用として活用しています」
人口の半数以上が貧困ライン以下で暮らすザンビアでは、新たな環境現実に適応することが不可欠です。森林再生は土壌侵食を防ぎ、菜園は食料と収入を確保し、貯蓄グループは経済的自立を支えます。これらが長期的なレジリエンスを構築します。
「私たちは諦めたくない」とブーンバはいいます。「洪水の後もトウモロコシ畑が立ち続け、再び何週間も飢えることがないように」
ザンビアにおけるCAREの活動
CAREは1992年からザンビアで活動しています。現地の女性主導のコミュニティ組織と連携し、母子の栄養改善と社会的保護の強化に重点をおき、女性と女子のエンパワメントに取り組んでいます。
また、気候変動に強い農業、水の供給、森林再生に関する支援と研修を提供しています。2023年からは、チョマ地区の危機的状況にあるコミュニティに人道支援を行う「チョマ地区女性開発協会」と提携しています。
4. マラウイ

農民ムハマディ・チリンゴは、CAREの「レストア・アフリカ・プロジェクト」を通じて植えた500本以上の苗木を育てています。若い苗木が火災被害を受けたにもかかわらず、1,000本以上の木を育てることを目指しています。
・400万人が食料不安の影響を受けています
・2025年10月、複数の地区で非常事態宣言が発令
異常気象に立ち向かう共同作業
「干ばつが収まれば洪水が発生し、その逆もまた然り」
マラウイ南部ンサンジェ地区では、こうした言葉がよく聞かれます。地域社会は頻繁に発生する異常気象に備え、そのたびに復興を余儀なくされています。近年ではサイクロンの頻発化が顕著。生存に不可欠な薪や販売用木材の調達を目的とした森林伐採が継続的に行われていることが土壌侵食を招き、人と動物、環境に壊滅的な影響を与えています。
早期警報システムによる防災対策
「トウモロコシ畑があったのです」と農家のアミーはいいます。「でも雨が降って、すべてが流されてしまったのです」
マラウイでは、干ばつやサイクロン、洪水を引き起こす過剰な降雨により収穫が頻繁に失われます。気象パターンはますます予測不能になっています。
生計を立てるためにあらゆる手を尽くしたにもかかわらず、アミーと夫には追加の支援が必要でした。欧州市民保護・人道支援活動(ECHO)が資金提供するCAREの緊急支援プログラムを通じて、家族は現金給付を受け、緊急に必要な食料と山羊を購入することができました。
CAREは、洪水やその他の異常気象の影響を軽減するため、早期警報システムと地域社会ベースの災害対策の構築を支援しています。脆弱なコミュニティと協力して避難計画や災害対策計画を策定します。気象予報に加え、人々は伝統的知恵にも頼っています。例えば、異常に多いマンゴーの収穫や蟻の活動増加は、洪水の前兆と見なされています。
CAREマラウイは、ガールズ・エンパワメント・ネットワーク(GENET)や女性法律資源センター(WOLREC)といった女性主導の組織と緊密に連携し、他の現地NGOとともに、女性と女子の保護が災害対策・対応・復興の核心となるよう取り組んでいます。
より多くの木々、より良い土壌
マンゴチ地区の土壌は硬く乾燥し、太陽が容赦なく照りつけます。この地で育つものはほとんどありません。しかし、農民ムハマディの畑は例外です。彼はすでに540本の苗木を植え付け、総計1,000本以上を植える計画です。火災で一部の若い苗が被害を受けたものの、大半は生き延びました。
ムハマディの植林活動は、マラウイやその他のアフリカ諸国で植林を推進する「グローバル・エバーグリーニング・アライアンス」の「レストア・アフリカ」プロジェクトの一環です。将来的には、二酸化炭素排出権を通じて収入を得ることを望んでいます。
「この見通しが私の原動力です」とムハマディはいいます。近くの苗木園では、村人たちが苗木の育て方や手入れの方法を学んでいます。皆が共有する目標は、再び大地を緑にすることです。
マラウイにおけるCAREの活動
CAREは1998年からマラウイで活動しています。CAREは、CADECOMブランタイヤ、GENET、WOLREC、Njira Impact、Eagles Relief、Churches Action for Relief and Development (CARD) マラウイ、Circle for Integrated Community Development (CICOD)、Synod of Livingstonia Development Department (SOLDEV)、Find Your Feetなどのパートナーと協力しています。
これらの組織と連携し、CAREは、緊急人道支援と持続可能な農業、女性農家支援、栄養教育の改善、コミュニティエンパワメントといった長期的解決策を組み合わせ、特に女性と女子にフォーカスして食料不安に取り組んでいます。妊婦や母親にはバランスの取れた栄養に関する研修を提供し、貯蓄グループや現金支援を通じて家族の経済的自立を支援しています。
5. ホンジュラス

ベネズエラ、そしてエクアドルでの暴力から逃れたジェネシスとその家族は、米国へ向かう危険な旅の途中でホンジュラスの避難所に一時滞在中
・1,100万人の居住者
・人口の半数が貧困ライン以下で生活
・160万人が人道支援を必要としています
貧困、暴力、気候危機
「今年は豊作を期待していた。ところが豪雨が続き、すべてが台無しになりました」
テレサはホンジュラスの小規模農家であり、女性の権利活動家。彼女はCAREが支援するグループのメンバーで、17人の女性と4人の男性が協力し、環境変化の影響に対抗する新たな農法を試験的に導入しています。テレサの村は乾燥地帯に位置し、農業では灌漑技術が重要。しかし最近では、ハリケーンに続く豪雨により国内の広範囲で洪水が発生。
テレサと「カミナンド・トゥンホス・イ・フンタス(ともに歩む)」と名付けられた彼女のグループは、畑でトウモロコシ、豆、サツマイモ、プランテンを栽培しています。異常気象は課題だが、彼ら・彼女らはともにこの問題に立ち向かっています。「変化に適応し、変化とともに働くことを学んでいます」とテレサはいいます。彼女のグループは、CAREが全国で支援する「農民フィールドスクール」および「ビジネススクール」の一環です。
三重の危機
ホンジュラスでは、人口の半数以上が貧困ライン以下の生活を送っています。特に農村部の女性が深刻な影響を受けています。急速な環境変化は中央アメリカの「乾燥回廊」で最も顕著であり、干ばつがホンジュラスで100万世帯以上の生計を脅かしています。こうした変化は作物の不作、食料価格の高騰、移住を招いています。人々は、最善の努力にもかかわらず農業で生計を立てられないため、村を離れています。
ホンジュラスは三重の危機に直面。環境変化、飢餓、不平等である。貧困と構造的不平等は女性と女子へのリスクを増大させます。2024年、CAREホンジュラスが実施した緊急人道分析では、調査対象女性の61パーセントが前月に飢餓を経験したのに対し、男性はわずか10パーセントでした。
性的暴力の脅威
女性に対する暴力は広く蔓延。女性は身体的暴力だけでなく、精神的虐待、性的暴行、そして女性の自由を奪う経済的支配にも直面しています。女性が作物を失い、仕事を見つけられず、土地や資源へのアクセスがない場合、経済的依存度が高まります。これはしばしば、支配、虐待、搾取のリスクにさらされることを意味します。
CAREの調査では、女性たちは性的暴力のリスクがあるため娘を一人にしておくのが怖いといいます。干ばつや経済的困難の時期には家庭内暴力が増加すると語りました。
CAREの取り組み
2025年、CAREホンジュラスとそのパートナー団体は23のプロジェクトで16万人以上を支援し、そのおよそ4分の3が女性でした。貧困状態にある農村世帯約1万5千世帯が支援を受け、食料生産の増加、保健、水・衛生、栄養改善などの活動が行われました。
テレサのような農家1万人以上、そのうち女性8千人が「農家フィールドスクールおよびビジネススクール」に参加しました。これにより、灌漑システムなどの優れた農業技術や手法を導入し、収穫量を増やし、環境変化に対する回復力を強化することができました。
CAREは、女性の権利強化と意思決定プロセスへの参加促進に取り組む「農村女性総合開発評議会(CODIMCA)」などの現地女性団体と連携しています。
6. 北朝鮮
・1,000万人以上が栄養不良のリスクに直面
・慢性的な栄養不良により、子どもの18%が成長・発達障害の影響を受けています
外界から遮断された状態
一見すると、2025年に北朝鮮がほとんどニュースの見出しを飾っていないのは意外に思えます。メディアはしばしばミサイル実験、スパイ事件、軍事パレード、そして北朝鮮と韓国の間で続く対立について報じています。しかしこうした政治的な見出しの裏には、公の意識にほとんど届かない人道的危機が潜んでいます。
食料へのアクセス困難
国連の推計によれば、北朝鮮では1,000万人以上、すなわち総人口の40パーセント超が程度の差こそあれ栄養不良の影響を受けています。5歳未満の幼児は特に危険に晒されています。幼児にとって栄養不良は身体的・精神的発達に深刻な影響を及ぼします。北朝鮮の幼児のほぼ5人に1人が影響を受けています。
北朝鮮も気候変動の影響を免れていません。干ばつ、洪水、サイクロンといった異常気象が農業生産を弱体化させています。土壌侵食と作物の不作により、同国は十分な食料を生産できていません。厳しい輸入制限は追加の食料だけでなく、近代的な機械や耐旱性種子にも影響を及ぼしています。
さらに、安全な水、医療、その他の必須品・サービスへのアクセスも制限されています。
国際援助はほとんどありません
独裁政権に対する政治的・経済的制裁により、北朝鮮はほぼ完全に孤立。人道支援には特別措置が設けられているものの、情報不足、資金不足、実施の遅れにより、支援活動は著しく困難を極めています。
7.アンゴラ
・およそ260万人が人道支援を必要としています
・特に130万人の子どもたちが深刻な影響を受けています
干ばつ、コレラ、そして不安
アンゴラは対照的な国。およそ40の言語と方言、豊かな文化、そして驚くべき生物多様性が、この南西アフリカの国を特徴づけています。しかしこの豊かさの裏には厳しい現実が潜んでいます。アフリカ大陸有数の石油生産国であるにもかかわらず、国民の大半は貧困の中で暮らしています。
2025年、アンゴラは崩壊の瀬戸際に立たされました。数十年に一度の深刻な干ばつ、全国的なコレラの大流行、高まる社会不安が国を揺るがしました。数百万人が食料と水を求めて苦闘するなか、生活費高騰に対する国民の怒りが街頭で爆発しました。
雨が降らないとき
気候危機がアンゴラ南部を特に深刻に襲っています。繰り返される干ばつと不安定な降雨は多くの農民の生計を破壊しています。畑は休耕し、家畜は死にました。国連の統計によれば、およそ260万人が人道支援に依存しており、そのうち130万人が子ども。同時にコレラが急速に広がっています。
女性たちの見えない負担
多くの女性や女子たちは、水を汲むために毎日何キロも、しばしば一人で歩いて移動しています。この移動には時間がかかるだけではなく、暴力や健康問題のリスクも伴います。妊娠中や授乳中の女性は特に栄養失調や医療不足に苦しんでいます。女子たちは水を汲むために学校を休むことが多く、家族の収入に貢献するために学校を中退することさえあります。これは彼女たちの将来に深刻な影響を及ぼします。
8.ブルンジ

ガトゥンバ村の女性たち。彼女たちとその家族は洪水の影響を受けています
・120万人が食料不安に苦しんでいます
・妊産婦死亡率は10万出生当たり392人
・人口の85%が農業に従事
飢餓と難民危機
CARE危機報告書は10年間発行され、ブルンジは世界のメディアが見過ごした危機リストに9回掲載。この内陸国である大湖地域の国は、異常気象、政情不安、そして大規模な難民流入に直面しています。隣国コンゴ民主共和国(DRC)から、極度の暴力から逃れるために人々がブルンジへ流入しています。2025年10月には、DRCから11万人以上の難民と亡命希望者がブルンジに到着しました。
しかし逃れてきた後も、彼ら・彼女らは困難な日常生活に直面。資源が限られているブルンジのコミュニティや当局は、絶望的な隣人たちに避難場所以上の支援を提供することに苦慮しています。「一日二食も食べられない」というのは、ブルンジ南西部の難民キャンプで家族と暮らすエノック。国内では合計120万人以上が食料不安の影響を受けています。
生殖健康:自立への鍵
国内の女性や女子たちにとって、すでに不安定な状況はさらに悪化。家庭内暴力、早期婚、早すぎる妊娠、避妊手段への不十分なアクセス、そして家事や介護のほぼ全責任が、彼女たちの身体的・経済的安定を脅かしています。
「妊娠が立て続けに続いたため、よく体調を崩しました。仕事もできず、子どもたちにも十分な世話をできませんでした」というのは、CAREが支援する性・生殖健康プロジェクトの参加者シャンタル。
ブルンジの出生率は女性1人あたり4.67人。妊娠間隔が短すぎると、母親の身体が前回の出産から十分に回復できないため、深刻な健康問題のリスクが高まります。
「生殖健康は経済的自立の鍵」というのは貯蓄グループのメンバー、エヴリーヌ。「3人の子どもは全員5年間隔で生まれました。家族計画とCAREのパートナー団体(ABUBEF、SaCoDe、Yezu Mwizaなど)の助言のおかげ。この間隔のおかげで働き、貯蓄し、収入を築くことができました」
女性が女性を力づけています
相続法、融資へのアクセス、農業といった分野でも、農業は国民の85パーセントにとって主な収入源であるにもかかわらず、女性は不利な立場におかれています。よって、地域で女性が主導する組織は極めて重要。彼女たちの専門知識は、ニーズを特定し持続可能な変化を推進する上で不可欠です。
「現地の女性団体と連携することで、地域社会と社会的結束を強化し、可能な限り経済的収入と機会へのアクセスを実現します」と、CAREブルンジのカントリーディレクター、ジョゼ・ンタバフングはいいます。
CAREのブルンジにおける活動
CAREは1994年からブルンジで活動し、現地パートナー団体と連携しながら、女性と女子が保護と支援を受け、自らの未来を形作れるよう取り組んでいます。プロジェクトは、平等の強化、女性の経済的参加、女性と女子に対する暴力の防止、性と生殖に関する健康に焦点を当てています。
9.ジンバブエ

井戸掘り職人エフライジ・マコエロは、エルニーニョによる干ばつで家族を養うため、最も良い服を売りました。現在はECHO食料引換券プログラムを通じて支援を受けています。
・5歳未満の子供のほぼ4分の1が栄養不良に苦しんでいます
・都市部人口の28%が食料不安の影響を受けています
・農村部では270万人が繰り返し飢餓の脅威にさらされています
干ばつが飢餓を加速させています
「収穫できたソルガムはバケツ2杯分だけ。全然足りませんでした。近くの畑で仕事をした後、朝と夕方に何とか見つけたものを食べてしのぎました」と農家のアリスはいいます。それはかろうじて生き延びるだけの量。彼女と夫は3人の子どもの学費を払えなくなりました。
水不足で土壌が乾ききっているため、わずかな収入を補う作物が庭で育つことはほとんどありません。ここ数か月で、家族が飼っていた10羽の鶏はすべて死にました。アリスと夫は破滅の危機に直面しています。自分たちの畑は休耕状態のまま、他人の畑で働いています。収穫は不確実すぎ、雨も頼りになりません。
雨が降らないとき
ジンバブエでは何千人もの農民がアリスと同じ状況にあります。気温の上昇と予測不可能な降雨により気候は根本的に変化し、干ばつは10年に1度から2~3年ごとに発生するようになりました。その結果、農村部では270万人が繰り返し飢餓の脅威にさらされています。
不安定な食料事情は特に幼い子どもたちに深刻な打撃を与えています。国連世界食糧計画(WFP)によれば、5歳未満の子どものほぼ4分の1が栄養不良状態にあります。都市部でも多くの住民が供給不足と物価高に苦しんでおり、都市人口の28パーセントが食料不安の影響を受けています。
特に影響を受ける女性たち
ジンバブエでは、女性が依然として正規労働市場で過小評価されている一方で、介護、家事、生産活動など、無償労働を著しく多く担っています。女性は貧困の影響を受けやすく、気候危機の結果を男性よりも深刻に感じています。また、女性が支援を受けることも往々にして困難です。
女性と女子に対する暴力も、ジンバブエの市民社会が取り組むべき課題。
アリスにとって、栄養支援団体「ナジューション・アクション・ジンバブエ(NAZ)」や「パダレ」など地元組織からの支援は、現在生き延びるために不可欠。彼女と家族は、1人あたり食用油750ミリリットル、トウモロコシ粉10キロ、豆1.5キロ分の食料引換券を受け取っています。これは最も厳しい時期を乗り切るのに十分な量です。
アリスは来季の収穫を再開できること、そして十分な雨が降って畑を潤し、家族が再び自給自足できることを願っています。
CAREとパートナー団体がジンバブエで行う活動
CAREは1992年からジンバブエで活動。その活動は、女性と女子のエンパワメント、不平等と貧困の削減、食料安全保障・レジリエンスの促進、迅速な緊急対応に焦点を当てています。
干ばつ対策として、CAREは水インフラの改善と水へのアクセス向上に取り組んでいます。ジンバブエでは、栄養行動ジンバブエ(NAZ)などの現地パートナー団体と連携しています。
CAREはNAZと連携し、干ばつ被災地域でおよそ24,800人、アリスとその家族を含む人々に食料引換券を提供しました。
10.マダガスカル

フィアナランツォアにおけるサイクロン・バツィライの影響
・470万人が人道支援を必要としています
・上半期に4つのサイクロンが発生
異常気象と政情不安
「ここ数年、私のナスとピーマンの収穫量は激減。植物は枯れ、腐り、虫に食われてしまいました」とマダガスカルの農家ママはいいます。彼女のような小規模農家は気候変動の影響を真っ先に受けます。収穫が収入源であるため「子どもの教育費を払えなくなりました」と付言します。環境変化はアフリカ南東沖インド洋の島国に特に深刻な打撃を与えています。
干ばつ、洪水、サイクロン
2025年の上半期、マダガスカルは、干ばつ、洪水、サイクロンを含む複数の深刻な災害に見舞われました。サイクロン・ホンデとジュードはわずか2週間の間に相次いで襲来。強風と洪水により学校や医療施設が損壊し、農地が破壊され、安全な水が不足しました。2024年12月下旬から2025年3月にかけて、同国南部では20万人以上が被災し、4万6千人以上の人々が避難を余儀なくされた。特に女性や子どもは、避難や破壊の結果として標的となる暴力のリスクが高まっています。
他方、2025年を形作ったのは気候危機の影響だけではありません。マダガスカルは最近、政情不安で注目を集めました。9月末、首都アンタナナリボなどで抗議活動が発生。間もなく軍が権力を掌握しました。この混乱は、既に緊迫した人道状況下で起きました。2025年には、食料不安、疾病の発生、気候災害により、230万人の子どもを含む470万人が人道支援を必要としていました。
女性たちが経済的自立を目指して共同貯蓄
CAREは、マダガスカルで小規模貯蓄グループを通じ、女性の経済的自立を支援。「貯蓄グループに参加して人生が一変しました」というのはジョルリーナ。マダガスカル北西部マハジャンガ近郊の村で3児の母であり、小規模貯蓄グループの代表を務めています。「貯蓄グループのおかげで収入を徐々に増やせました。現在はマスコビー鴨の飼育事業計画を策定中です。これで経済的自立が実現します」グループリーダーとして、ジョルリーナは地域交流プログラムや女性管理者向け研修に参加。さらに自然災害への備えと被害軽減を支援する地域救助チームのメンバーも務めています。
マダガスカルにおけるCAREの活動
CAREは1992年からマダガスカルで活動。SAF/FJKMやAction Intercoopération Madagascar(AIM)などの現地組織と連携し、環境変化の影響への適応や食料状況の改善を支援。災害被災者への緊急支援、住宅・地域インフラの建設・復旧支援、農業活動の再開と生計手段の回復支援を行っています。
| CAREはそこにいます
数十年にわたり、CAREは本報告書に記載された大半の国々で活動。2025年には、主要な開発支援と人道支援活動を通じて、120か国以上で5,800万人以上の人々に支援を届けました。ここに記された危機は避けられないものではないと私たちは知っています。それらは選択と優先順位、そして関心の結果なのです。緊急事態が無視されれば、命が失われ、未来が奪われます。
しかし私たちが「ケアする」を選とき、物語は変わります。クリック一つ、会話一つ、投稿一つが重要です。なぜなら可視化が資源と行動を動かすからです。ここで問われているのは「誰が気にかけるのか」ということ。その答えは「私たち全員」でなければなりません。
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