ウクライナ危機:誰かの目に光が戻る瞬間 ― それが私の原動力になっています(希望を届けるウクライナの女性のストーリー)

朝9時。イリーナは分厚い書類の束を確認し、支援先の人々の状況を一つひとつ整理していました。
彼女はCAREの現地パートナー団体「アヴァリスト」のケースマネージャー。CAREと欧州連合の支援を受け、避難を余儀なくされた人々に心理的サポートや社会的支援を届けています。
自身も、最前線の街から避難してきた国内避難民です。だからこそ、軍事侵攻から逃げる人々が味わう痛みや恐怖、無力感をよく知っています。
「砲撃が続き、家の窓は割れ、屋根は壊れました。愛犬が負傷により亡くなったことが最後の決断でした。家族もおらず、一人で避難しました」
イリーナの日々の仕事は、遠く離れた村々への訪問や、人々を役所や病院へ付き添い、電話相談にも応じています。

イリーナが忘れられないのは、お腹に赤ちゃんを抱えて避難してきた女性です。
その女性は7か月の妊婦で、身元を示す書類も暖かい服もありませんでした。イリーナはすぐに産婦人科の入院を手配し、仲間と衣類を集め、必要な支援につなぎました。やがて女性は無事に出産し、新しい生活を始められました。
また、障がいのある息子を抱え避難した母親のケースにも奔走しました。
「母親は涙を流しながら『どこに助けを求めればいいのか分からない』と途方に暮れていました。見知らぬ町に支えもなく身を寄せる中で、息子の体調は目に見えて悪化していったのです」
長い待機を強いられていた医療審査を、法的支援チームと共に早めることで、息子は再び薬を受けられるようになったのです。
と、イリーナは言います。
「誰かが絶望で途方に暮れた目で私のもとを訪れ、やがて希望に満ちた目で見つめ返してくれる瞬間があります。その瞬間こそ、私にとっての原動力です。それは、『一人じゃない』と知ってもらえたということ。たったそれだけで、すべてが変わるのです」

ウクライナをはじめ世界各地で続く戦争や紛争により、人々の不安と苦しみは絶えません。
しかし、支援があれば未来を取り戻せる人がいます。
かつて日本も戦後、CAREからの支援により1,000万人以上が救われました。
支援と思いやりは感謝となって世界をめぐり、また新たな希望へと続きます。
どうかイリーナのように活動する支援スタッフ、そして困難の中で生きる人々を応援してください。

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