ガザ:悲しみを乗り越えて生きること、働くこと ー自分たちが支援するコミュニティと同じように、ガザのスタッフは、飢え、疲労、危険に直面しています
ガザの人口の9割近くが避難し、地域全体で空爆が続くなか、CAREの現地チームとパートナーは、支援するコミュニティと同じ恐怖、飢え、悲しみに耐えながら、命を救う支援を届けるために働いています。
3月初旬以来、ガザは人道的封鎖下にあり、220万人以上の人々が、食料、医薬品、水、燃料などの必需品から遮断されています。ガザの病院の94パーセントは機能しておらず、国連は、基本的なニーズを満たすためには少なくとも1日あたり500台の援助トラックが必要だと見積もっているも、5月末時点で許可されているのは1日あたり100台にも満たない状況です。これは「大海の一滴」にすぎず、その一滴の多くはまだ必要な人々に行き渡りません。
その結果、人為的な大災害は悪化の一途をたどっています。最近激化した爆撃は、指定された人道支援区域を含む地域全体を破壊しました。CAREのスタッフやパートナーを含め、何万人もの人々が家を追われ、その多くはほとんど何も知らされずに避難しています。ほとんどの人は他に行くところがありません。
物資が減少するにつれて、基本的な物資の価格は高騰し、中には1,400パーセントも高騰しているものもあります。飢餓と栄養失調は、特に妊婦と子どもの間で広がっています。
「母親たちは、飢えた赤ん坊を私たちの診療所に連れてきます」と、CAREパレスチナ(ヨルダン川西岸/ガザ)の事務所長のジョリアン・ヴェルデウィックはいいます。CAREのクリニックの職員は、2キロの赤ちゃんが到着したことを報告しています。「最も苦しんでいるのは子どもたち、病人、高齢者です」
▼ガザ北部のジャバリア避難所の瓦礫のなか、壊れたねじれたコンクリートの板の上に座る2人の子どもたち
ガザ全域の何百万人もの人たちと同様、ジャバリア避難所の子どもたちや家族も、大きな破壊の中で暮らしています
CAREのスタッフや現地のパートナーも、こうしたストレス要因から免れることはできていません。多くの人々が避難し、食料の配給を受けたり、あるいは食料なしで生活しています。彼ら・彼女らは、自分たちが支援するコミュニティと同じように、飢え、疲労、危険に直面しています。
「例外なく、誰もが残り少ない食料の配給を余儀なくされています。彼ら・彼女らはわずか1斤のパンと少量の豆で生き延びているのです」
しかし、ガザで人道支援に携わる人々の声を支配しているのは、恐怖よりもむしろ苛立ちです。救命援助が間近に迫っていながら、それを最も必要としている人々にはまだ手が届かないからです。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、5月21日にはおよそ90台のトラックがガザに入りました。しかし、入国と配達はイコールではありません。
「人々が必要としている援助物資は、ほんの数キロ離れた場所に置かれています。そして、いまだに届けることができません。
治安の悪さ、略奪、連携の崩壊が、物資の配給をほとんど不可能にしています。指定されたルートはしばしば安全でなかったり、ブロックされていたりします。輸送隊が何日も遅れることもあります。まったく動かないものもあります。
今後の計画でも、障がい者や高齢者のいる世帯への配慮はなされていません。むしろ、人々は長い間必要とされていた物資を受け取るために、指定された集配場所まで長い距離を歩かなければならない。そして、その小包(重さ25kg強)を自分の居住地まで何キロもかけて持ち帰る必要があります。
▼ガザ北部の倉庫で物資を整理する人道支援従事者たち
CAREとパートナー団体は、北ガザの国内避難民家族に、寝具セット、テント用密閉キット、尊厳キットなど、緊急に必要とされる非食糧物資の配布に取り組んでいます
物資が減り、リスクが高まるなかでも、CAREチームは救命活動を続けています
デイル・アル・バラでは、CAREの診療所は開業しています。まだ開業している数少ない診療所のひとつです。毎日、この診療所は何百人もの患者を診療し、傷の手当て、妊産婦の健康サービス、感染症や慢性疾患の基本的な治療を行っています。しかし、医療物資は底をつき、チームは、どのようなサービスを提供し続けることができるのか、不可能な選択を迫られています。
「私たちは医療センターの扉を閉めるつもりはありません。「しかし、私たちのサービスの範囲はますます限られてきています」
診療所だけではなく、CAREは避難所にいる避難家族に安全な水をトラックで届け、脱水症状や水系感染症を防ぐためにできる限りのことをしています。スタッフはまた、治安と供給ラインが許す限り、衛生キットやその他の必需品の配布を支援しています。
すべての配達には危険が伴います。すべてのシフトは耐久力のテストです。CAREのスタッフは、その多くが自らも避難民であり、飢え、疲労、悲しみを周囲のコミュニティと分かち合いながらも働いています。
「ガザの人道支援従事者は、飢えと爆撃に苦しむコミュニティと同じ運命に直面しています。誰も安全ではなく、死の脅威が至るところに漂っています」とヴェルデウィック事務所長は力を込めます。
このような状況のなかでも、CAREのスタッフは全力を尽くしています。彼ら・彼女らは日々、人道支援パートナーと調整し、安全なルートを探し、アクセスを促し、今後数日のうちに利用できる資源がさらに少なくなるかもしれないという現実に備えています。
▼ガザ北部のジャバリア・キャンプでは、家屋が大きな被害を受けました
危険にもかかわらず、一部の人々は破壊された家に住み続け、再建できる日を待つことを選びました
ガザでは、人道支援従事者と市民の間に境界線はありません。CAREのスタッフは援助者であると同時に、親であり、兄弟であり、隣人でもあります。何度も何度も避難を繰り返し、なかには10回以上避難している者もいます。
今日、CAREのスタッフは、安全な水、衛生設備、電気を確保することなく、テントや過密状態の学校で生活しています。他の人たちと同じように、食料を求めて行列に並びます。家族のために物資を配給し、他の人たちのために支援を確保しようとしています。そして悲嘆に暮れながら、そのすべてをこなしています。
「1年半以上、私たちはガザ全域に飢餓が広がるのを目の当たりにしてきました。家族や友人がやせ細り、弱っていくのを目の当たりにするトラウマは、胸に迫るものがあります」
5月12日の週、CAREのパートナーである「Juzoor」の2人のスタッフが、ガザ北部のジャバリア避難所への空爆で死亡しました。運転手のアーメド・キラは、妻と子どもたちとともに殺されました。看護師のヤヤ・シハブとその家族も翌日殺されました。二人とも人道的対応の最前線で働き、高まるリスクにもかかわらず、コミュニティへの奉仕を続けていました。
彼ら・彼女らだけではありません。ガザでは2023年10月7日以来、少なくとも430人の人道支援関係者が殺されています。
精神的な打撃は計り知れません。CAREのスタッフは、燃え尽き症候群、道徳的傷害、生存者の罪悪感について語ります。彼ら・彼女らは救えない人々に心を痛めています。子どもたちの身を案じています。それでも彼ら・彼女らは現れます。そうしなければならないのです。他に誰もいないのだから。
©︎Juozas Cernius/CARE
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