
当財団は、長年にわたり、東ティモール山岳部のアッサベ郡において、農民たちの生業手段の多様化に取り組んでいます。同郡は、コーヒー生産地として有名なことから、更なる生業手段の多様化に向けその可能性に注目し、2024年からは、株式会社ゼンショーホールディングス(Zensho)他と連携して、コーヒーの生産・品質の向上と、フェアトレードを通じた生産者の生計向上に向けて、ともに取り組んでいます。
2026年9月、Zenshoほか、現地のコーヒー加工・輸出事業者であるMMC、およびCAREは、コーヒー生産者のコミュニティを訪問し、農園の視察や住民との話し合いを行いました。
そこで見えてきたのは、コーヒーのフェアトレードを通じて収入を増やすことだけではなく、その収入を家族の暮らしや地域の発展にもつなげたいという、生産者たちの願いでした。同行したZenshoの社員の方々にとっても、熱心にコーヒー生産者に農園改善のための指導をしたり、今後の活動に向けてアイディアを共有したりと、非常に有意義な機会となりました。

コーヒー農園の再生から、収入の向上へ
生産者からは、古くなったコーヒーの木が多く、十分な収穫が得られないことや、農園の管理・再生に必要な技術を学ぶ機会が少ないことなどが、課題としてあげられました。
このような声を受け、農園の(コーヒーの)木の剪定や苗木の植栽、土壌改善、病害虫対策など、生産性と品質を高める方法について意見を交わしました。また、コーヒーの果皮を活用した肥料づくりなど、地域の資源を生かした取り組みも進めています。
今後の活動案の一つとして、若者を中心としたコーヒー農園の整備グループづくりも提案されています。苗木の育成や古い木の植え替え、堆肥づくりなどを通じて、農園の再生を進めるとともに、若者が農業技術を身につけ、地域のコーヒー生産を支える担い手となることを目指します。
コーヒーの収入が支える、子どもたちの未来
今回、生産者との話し合いで特に印象的だったのは、コーヒーの収入を家族の生活向上につなげたいという思いです。
実際に、コーヒーの販売収入は、子どもの学費や通学用の靴・学用品の購入、家庭用品の購入、住宅の修繕などに活用されています。コーヒーの生産を改善し、安定した収入を得ることは、子どもたちが教育を受け続け、将来の選択肢を広げることにもつながります。
一方、地域には乾季の水不足や雨季の道路事情、教育・保健施設へのアクセスなど、暮らしにかかわる課題もあります。住民からは、水供給設備の整備や幼児教育施設の改善など、地域全体の生活環境をより良くするための提案も寄せられました。
女性や若者が、自ら収入を生み出せる地域へ
コーヒーだけに頼らず、収入源を増やすことも重要なテーマです。話し合いでは、女性たちから野菜栽培やタイス(伝統的な織物)の製作・販売などを通じて収入を得たいという声が上がりました。また、若者による苗木生産や養鶏、養魚、野菜栽培などの活動も提案されています。
このような取り組みに、住民同士で貯蓄し、必要に応じて融資を受けられる村落貯蓄貸付組合(VSLA)の活動を組み合わせることで、小規模なビジネスを始め、育てる機会を広げることも期待されます。

一杯のコーヒーから始まる、持続可能な地域づくり
今後は、コーヒー農園の改善を中心に、野菜栽培などの生計向上活動や女性・若者の参加を組み合わせ、コーヒー生産者だけではなく、地域全体に恩恵が広がる取り組みを目指します。
そのために、Zensho、MMC、CAREは、生産者や住民の声を大切にしながら、社会開発資金(*)の活用方法や具体的な活動内容を検討していきます。まずは一部の集落で取り組みを始め、成果や課題を確かめながら、段階的に活動を広げていくことを目指していきたいと考えています。
コーヒーの品質と生産量を高めること。その収入で家族の暮らしを支えること。さらに、女性や若者が自らの力で未来を切り拓ける地域をつくること。
一杯のコーヒーが生産者の暮らしと地域の未来を支える力となるよう、CAREはパートナーや地域の人々とともに持続可能な生計向上に取り組んでいきます。
(*)社会開発資金とは:現地の人々が必要とする様々な社会開発活動に充てられる資金として、生産者からの原料買取価格に含まれる金額。
(東ティモール事業 現地統括 伊藤洋子)

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本件にかかるお問い合わせ先
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