ウクライナ人道危機:精神科医に緊急心理社会的カウンセリング研修を実施しています
CAREは、米国の心理社会的カウンセリング専門のHeadington Instituteおよびルーマニアのパートナー団体のFONPCと提携して、500人を超える心理学者、ソーシャルワーカー、医療従事者、およびルーマニアとウクライナの国境で働くボランティアに対して、緊急心理社会的サポートとトラウマカウンセリングに関する研修プログラムを提供しています。
認知行動療法とアートセラピーに精通している精神科医のフロリアン・コレシさんは、この研修を受けた1人です。コレシ医師は、研修で習得した手法を用いて、最前線にいる別のスタッフへのトレーニングを実施し、所属するエスター財団を通じて、ウクライナの人々へのカウンセリング支援を提供することを計画しています。 以下、コレシ医師へのインタビューです。
私(コレシ医師)は、エスター財団に20年以上勤めており、これまでメンタルヘルスの分野で多くの経験があります。心理教育や保護者のための学びの場、また深刻な精神障害を持つ人々とのカウンセリングなど多くのプログラムを行ってきました。メンタルヘルスに関連するスタッフ、企業、その他の組織のトレーナーでもあります。
新型コロナウイルスの感染拡大に際しては、病院でのコロナ感染者対応の最前線で働く医師と看護師のために、患者とのコミュニケーションや燃え尽き症候群への対処方法などに関するカウンセリングを、オンラインと電話の両方で開始しました。
以前からFacebookを通じて、Headington Instituteのトレーニングについて知っていました。そして、今回の特別な研修についてFONPCから連絡をもらい、受講を即決しました。
心理的な応急処置という特別な領域で、非常に豊富な経験を持つ国際的な専門組織の視点を得るのは本当に興味深く、とても役に立ちました。知識を広げ、新しいスキルを開発するきっかけにもなりました。私(コレシ医師)が所属する財団では、今後、メンタルヘルスの問題を抱えるウクライナからの難民のための施設を開設することを計画しています。
私自身、これまでブカレストの中央駅と空港に到着したウクライナ人に対して、ボランティアとしてできることをしてきました。最大の課題は、実際に問題を伝え、表現するための言語でした。私が話をしたほとんどの人は身一つで家を出てきたような状態で、これからどうするのか、ルーマニアでの滞在と仕事などの実際的な問題を抱えていました。
私は、耳を傾け、じっくりと考える場所を彼らに与えるようにしています。 到着した人々の主な問題は、悩みのレベルだと思います。また文化の違いや、特に受入れ先の人と一緒に暮らす場合、価値観が一致するかどうか、プライバシーや所有物の安全性が保てるかについて心配していました。このような状況で落ち着いて考えられる場所を持つことは、人々にとって非常に重要です。
国境へ到着する難民の人々へのちょっとした親切な行為も、とても大切です。例えば、ボランティアは、幼い子どもを持つ母親に到着時に温かいスープや飲み物を配っています。こういった行為は、様々な感情を抱えながら言語を話せず、見知らぬ土地へ足を踏み入れ、先の読めない状況にある人々にとって非常に重要です。
また、既存のメンタルヘルスの問題を抱えている人にとっては、継続的な治療を受けるのが難しく、より深刻なメンタルヘルスの問題を抱えている人にとっては、薬を確保し続けることも課題です。これは初期段階においてはさほど重要なことではないかもしれませんが、長期的にわたり状況が続く場合には検討することが必要となります。
私(コレシ医師)がとても感銘を受け、心に残っているのは、子どもたちを悲しみや心配から守ろうとする母親たちの姿でした。子どもたちの前では笑顔で幸せに振舞っている母親が、外に出ると涙を流しながら電話をしていました。しかし、彼女は子どもたちのもとへ戻ると、再び元気に振舞っていました。彼女は自分自身にプレッシャーをかけ続け、それを自分の子どもに移さないように努めていました。
ルーマニアでは、現在のような緊急事態には慣れていないので、今回の研修のように、経験の多い人々から学ぶことは非常に役に立ちます。例えば、今回学んだ基本的でありながら便利な対処法の1つは、カウンセリングの際にテニスボールを持って行くことでした。ちょっとしたことですが、多くの治療目的に使用でき、視点を変えることができます。
研修で得た知識やスキルを、今後、他の組織や専門家だけでなく、ウクライナ難民を支援している医療スタッフやボランティアにも伝えていきたいと思います。看護師や医師の介入は、医療行為だけでなく心理的行為でもあり、緊急時の心理的援助のスタートでもあります。そのため、こういったトレーニングを提供することもとても重要です。
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