救い主クロコダイル/ラファエック(テトゥン語でワニの意)
2006年東ティモールを政治危機が襲いました。当時10歳だったゼファニアちゃんは、首都ディリの小学校の5年生でした。銃撃の音や逃げ惑う市民の騒ぎに怯え、よく眠れなくなりました。この時のトラウマで、ゼファニアちゃんは記憶を失ってしまい、読み書きを忘れただけでなく自分の名前や両親の名前すら忘れてしまったのです。
ゼファニアちゃんの生活は一変しました。学校にも通えなくなり学校の勉強からも取り残されてしまいました。心配したお母さんがゼファニアちゃんのためにいろいろしてくれましたが、どれもうまくいきません。お母さんが学校の修道女さんと相談しお医者さんに行くことにしました。でも、東ティモールにはまだ児童心理学を学んだ専門家が少ないのです。
ゼファニアちゃんのお母さんは、大切なわが娘の快復を決して諦めませんでした。そして、彼女をつれてもう一度学校の先生に会いに行きました。その先生は、セラピーとしてゼファニアちゃんに東ティモールのテトゥン語で書かれた雑誌から物語を読ませることを勧めました。
数ヵ月後、ゼファニアちゃんは少しずつ雑誌の中の物語を音声で聴きとることに興味を持つようになりました。1年後には雑誌の物語を自分で読み始め、少しずつ記憶も取り戻して行ったのです。さらに1年後には、ゼファニアちゃんは学校に戻り、友達と一緒に普通のクラスに出席できるようになりました。また、東ティモールで人気の雑誌「ラファエック」の作文コンクールで賞をもらいました。
ゼファニアさんは現在6年生。病気からすっかり快復し、多くの友人や両親が誇りに思うような生徒です。