ウクライナへの軍事侵攻から1年:女性たちは互いに支え合い立ち上がりつつあるも、支援を必要としています
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が2年目に入り、国際社会は女性と女子を含む影響を受けた最も弱い立場におかれた人々を支援する意志を新たにしなければなりませんと、CAREは訴えます。
「この危機には強いジェンダーの力学が働いています。ウクライナ国内および周辺国に避難している人々の大半は女性が占めていますが、対応の一環として互いに支え合うために立ち上がっています」と、CAREインターナショナル事務局長のソフィア・シュプレヒマン・シネイロはいいます。
ウクライナ国内の避難民540万人のうち、女性は59%を占めています。ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、ドイツなどに避難している800万人のうち86%が女性と子どもという驚異的な数字になっています。 過去1年間、ウクライナの女性や女子たちの間でジェンダーに基づく暴力が増加し、レイプ事件が260%増加したと報告されています。
「スーツケース1つにどうやって自分の人生すべてを詰め込めばいいのかわかりませんでした」と、8歳の息子ティモフィと義理の両親を避難させるのに、たった1時間しかなかったナタリアさんは振り返ります。現在、ナタリアさんは息子と夫の病気の両親の世話をし、CAREのパートナーNGOである「女性の視点」が運営するリヴィウのシェルターで小さな部屋を共有しています。ティモフィはオンラインで授業を受けていますが、彼の一番の夢は「ただ友だちと一緒に学校に行く」ことなのです。
ポーランドにおけるパートナー団体「Federation for Women and Family Planning(以下、FEDERA)」のクリスティナ・カプラ会長は、「1年前、私たちは迅速に行動しなければならないことを知りました。難民の女性や女子に対する性と生殖に関する健康サービスのニーズに応えるため、ウクライナ語を話す人を探さなければなりませんでした」といいます。 現在、FEDERAのホットラインにかかってくる電話の3件に1件は、婦人科医を必要としているウクライナからの難民からのものといいます。
実際、多くのウクライナ難民の女性が、このような団体でボランティアとして働いています。リュドミラさんは38歳、自身も紛争で家を失いましたが、200人の病人の訪問看護をしています。「多くは高齢で一人身。1週間も食べていない90歳の女性を訪ねたこともあります」と彼女はいいます。
地元の市民社会組織や難民コミュニティにおいてこのような連帯が広がっているにもかかわらず、非常に大きな悪影響が生じています。例えば、ウクライナのチェルカシュにあるCAREが資金提供を行っている安全な地帯では、心のケアへの需要が急増し、女性は予約のためにほぼ1か月待たなければならなくなりました。 安全な場所で働く心理学者のインナ・カニヴェッツさんは、「隠れる場所がないこと、常に緊張していること、自分自身や家族、父親、兄弟、前線の親戚のことが心配で、大きな不安を引き起こしています」といいます。
「1年経った今、ウクライナとその周辺国の両方で、勇敢な女性たちと彼女たちとともに活動する組織への支援を維持することが、これまで以上に重要です」とソフィア・シュプレヒマン-シネロCARE事務総長はいいます。「私たちはマラソンをしているのです。そして、マラソンで最も困難なのは、最初の数分でも、最後の数分でもなく、その途中なのです」
苦しい状況におかれているのは、ウクライナ人だけではありません。今年の「Global Humanitarian Overview」は、前例のない2億3千万人を対象とし、そのために515億ドルの資金調達を目指しています。そしてこれは、トルコやシリア北西部で甚大な地震が発生する前のことです。どんなに困難な課題に見えても、国際社会は人類を第一に考え、あらゆる場所で、区別なく人道支援を行わなければなりません。そのためには、ジェンダー平等、女性と女子のエンパワメントと保護、そしてそれらを支援する組織への資金提供を中心にすえることが重要です。
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